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トランプ時代のグローバル株式投資

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マーク・フェルプス (写真)
アライアンス・バーンスタイン・リミテッド
グローバル成長株集中投資戦略  最高投資責任者
 
 
 
デブ・チャクラバルティ    
アライアンス・バーンスタイン・リミテッド
グローバル成長株集中投資戦略 ポートフォリオ・マネジャー/シニア・リサーチ・アナリスト 
 
 
 

 

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2017年4月14日

 
 
 
米国の経済政策は常に世界の投資家にとって重要な意味を持ってきた。トランプ大統領の政策はまだ全容が明らかになっていないが、グローバル株式市場においてどの企業が勝ち組、あるいは負け組となるのかをおおまかに判断するための材料は揃いつつある。
 
当ブログでは先日、政策が予測困難な時代に適応力のある米国企業を選別するためのチェック・リストについて述べた(以前の記事『トランプ時代の投資のためのチェック・リスト』ご参照)。米国政府の政策による影響を最も大きく受けるのは米国の企業だが、他国の企業も影響を免れ得ない。変化の著しいグローバル株式市場で適切な銘柄選択を行うためのフレームワークを定めるためには、グローバルな視点からあらゆる問題を考察することが重要だ(図表)。 
 
 
 
トランプ政権のもたらす変化が生み出す勝者と敗者.png
 
 
 

貿易問題の位置づけ 

トランプ政権の掲げる通商政策と新たな関税は市場の大きな注目を集めている。しかし、米国の産業を守ることを目指す新政策が及ぼし得る影響は、まだ明らかではない。
 
米国による関税引上げは、実は一部の海外企業にとっては追い風となる可能性がある。矛盾しているように聞こえるかもしれないが、関税引上げによって輸入品の競争力が低下すれば、米市場向けに米国内で大規模に生産を行っている海外の多国籍企業にとっては有利となる可能性がある。
 
国別に見れば、中国は広く考えられているほど大きな悪影響を受けずに済むかもしれない。世界最大の人口を抱える中国は米国から大量の商品を購入しているため、トランプ大統領は中国に対しては強硬な政策を思いとどまる可能性がある。一方、ドイツは多額の対米貿易黒字を計上していることから、関税によって予想以上の打撃を被ることもあり得る。各国の経済見通しに基づき国別配分を行う「トップ・ダウン」方式でポートフォリオ構築を行うべきだとは思わないが、こうしたマクロ的なダイナミズムも、個別企業の分析を進める上で重要な意味を持つ。 
 

減税は多国籍企業にも影響

米国における減税は純粋に米国の国内問題というわけではない。米国で高い税率を適用されている海外の多国籍企業もトランプ政権による減税の恩恵を受ける可能性がある。一方、米国で支払う税額を減らすために国際的な租税条約を駆使している多国籍企業は、租税回避行為を防ごうとするトランプ政権の方針による影響を受けやすい。
 
トランプ政権では財政支出の優先度が変わる可能性が高い。これは、米国のインフラ関連産業や国防産業を顧客とする海外のサプライヤーに恩恵をもたらす可能性がある。一方、医薬品などのセクターは、トランプ政権の政策の犠牲となりそうだ。医療支出を減らすために医薬品の高価格が狙い撃ちされれば、米国で大規模に事業を展開している海外の製薬会社が大きな打撃を受ける恐れがある。
 
トランプ大統領が掲げる政策の多くは、米ドルの持続的な上昇を支える要因となり得る。米国で多額の売上を計上している海外企業にとって、それは自国通貨に換算した利益を押し上げる要因となる。一方、米ドル高は原材料価格の上昇につながるため、利益が圧迫される企業もある。 
 

金利と設備投資の償却 

米ドル相場の上昇は、トランプ政権下で米国のインフレ率が上昇し金利の持続的な上昇を促すとの見方を反映している。これも海外企業に様々な影響を与えうる。米ドル建て債務を抱えた企業は資金調達コストの上昇にさらされやすい。米ドル建ての借入れが一般的な新興国の企業は、とりわけ大きな影響を受ける可能性がある。
 
トランプ政権はさらに、企業が投資を迅速に償却できるような控除拡大を示唆している。これはグローバル企業による米国への投資拡大を促す可能性があり、特にテクノロジー・セクターで大きな効果が期待できる。同時に、金利コストを費用計上することが認められなくなる見通しで、これは米国企業にとって企業買収や自社株買いに充当できる資金が減ることを意味する。米国企業と海外企業はこれまで必ずしも平等な金利控除を受けられるわけではなかったが、この措置により両者が同じ扱いを受けられることになれば、一部の海外企業の魅力が高まる可能性がある。 
 

複雑な政策変更の影響を解明する  

以上のことを総合的に考えれば、トランプ政権が世界の市場に与える影響を乗り切るためのロードマップ作成に取り掛かることができる(図表)。減税、関税、米ドル相場の3つの主な変数を図式化すれば、米国の中小型銘柄は国内市場に焦点を合わせていることが追い風となり、あらゆる面で非常に魅力的であるように見える(以前の記事『トランプ政権誕生は米国小型株に追い風か』ご参照)。
 
米国で製造を行っている多国籍企業も減税や輸入障壁の引上げによる恩恵を受けそうだ。一方、米国に輸出している海外企業や、ドイツやメキシコなどの国は、保護主義的な動きや為替相場の逆風によって米国における市場ポジションが低下し、敗者となる可能性がある。
 
当然ながら、米国の新たな政策がもたらすであろう影響は、企業の事業環境、収益ドライバー、バランスシートに関する徹底的なファンダメンタル分析を行う上での一要素に過ぎない。しかし、不透明感のかなり高い時期でも着実なリターンを創出し得る銘柄を選別するためには、政策が与える潜在的な影響にも目を配ることがますます重要になっている。  
 
 
 
 
当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

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