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中国A株:グローバル指数組入れに、より現実的なアプローチ

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ジョン・リン 
アライアンス・バーンスタイン・香港・リミテッド
中国株式運用 ポートフォリオ・マネジャー
 
 

 

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2017年5月25日

 
 
 
中国本土の取引所に上場している人民元建て株式(中国A株)が、近々初めて主要グローバル株式指数に組み入れられる見通しだ。この取組はこれまでよりも周到に進められており、中国市場のグローバル市場への統合を促進するであろう。
 
世界各地の株式指数を算出しているMSCI社は、2014年から毎年、中国A株をMSCIエマージング指数に組み入れることについて市場関係者の意見を募ってきた。昨年までは見送りという結論となっていたが、今年は組入れを決定する公算が高い。
 
これは、指数構成銘柄の基準に関し、敷居の高かった従来の方式をMSCIが取り下げ、より漸進的で実用的な方法を提案しているためだ。同社は当初の組入銘柄数を絞り、従来案に比べて制度上の手続きが簡素な方式を採用すると見られる。
 
この動きは2つの理由から興味深いと言える。第一に、当初の組入銘柄数が限定的であったとしても、時価総額が7.5兆米ドルに相当する中国株式市場をグローバル資本市場に完全に組み入れていく、意義深い第一歩になるからだ。
 
第二に、中国当局が自国の資本市場の近代化という大きな課題に取り組むに当たって用いた慎重なアプローチを、西側企業であるMSCIも取り入れようとしているからだ。 
 

従来案はハードルが高かっ た

海外投資家が中国A株を取引するためには3つの方法がある。そのうち2つは制度上の認可を受けて取引する方法で、もう1つは上海証券取引所および深圳証券取引所と香港証券取引所との間の、相互接続取決めの下で取引する方法だ。
 
2002年に導入された適格外国機関投資家制度(QFII)および2011年に導入された人民元適格外国機関投資家制度(RQFII)により、海外投資家も中国市場に直接アクセスすることが可能になった。しかし、いずれも適格外国機関投資家として認可を受ける必要があり、投資枠の割当ておよび償還に関する送金に制限が設けられている。
 
また、2014年に上海証券取引所が、そして2016年12月に深圳証券取引所が、「ストック・コネクト」と呼ばれる制度により香港証券取引所との相互接続を開始した。この制度を用いれば、海外投資家はRQFIIよりも緩い制限の下で中国A株の購入が可能となっている。
 
昨年までのMSCIによる中国A株の指数組入案は、QFIIおよび RQFIIの枠組みを踏まえたもので、448銘柄を候補としていた。しかし、QFIIの認可にかかる規約と条件が市場関係者に二の足を踏ませる要因になっていた。
 

今回は漸進的なアプローチ

 
MSCIは教訓を得たようだ。中国当局がQFIIの導入からRQFIIの導入までに9年の歳月をかけ、上海証券取引所のストック・コネクト導入と深圳証券取引所における導入の間にも2年をかけたのと同様に、MSCIは緩やかに物事を進めようとしている。
 
MSCIの新しい案は、ストック・コネクトの枠組内の中国A株に限って指数に組み込むことを提起している。投資可能な株式のユニバースは限定されるが、ストック・コネクトはQFIIのような規制の縛りを受けないため、この新案は受け入れられる現実味を帯びてきた。
 
新案では、まず169銘柄が指数に組み入れられると見られる。それによりMSCIエマージング指数において中国が占める割合(香港や海外の取引所に上場した銘柄を含む)は28.6%となる見込みだ。これは僅か0.5%の増加に過ぎないが、将来振り返って見れば氷山の一角だったということになるだろう 。
 
2018年6月と想定される組入開始時の中国A株のウェイトは低いが、次の段階では引き上げられ、当初の0.5%から8.6%に上昇すると見られる。また、それで終わりではない。現在ストック・コネクトの総銘柄数は1,479銘柄で、2,900銘柄を超えるQFII制度を大きく下回っているからだ。ストック・コネクトの拡大と並行して中国A株の指数組入れが順調に進めば、中国が占めるシェアは全体で40%近くまで達すると見ている(下図参照)。  
 
 
 
 
 
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MSCI オールカントリー・ワールド(ACWI)指数における中国のシェアも3%から4%に上昇し、現在の6位から米国、日本、英国に次ぐ第4位となり、フランス、カナダ、ドイツを上回るだろう。 
 

グローバル株式市場における資産配分への影響

近年の政策リスクや経済成長の減速が、中国の大きな可能性に影を落としていると捉える投資家もいる。しかし、かのナポレオン・ボナパルトはこう言った。「中国は眠れる巨人である。今は眠らせておくがよい。中国が目覚める時、世界は震撼するだろう。」
 
ナポレオンの中国に対するこの評価は、今日の状況にもそのまま当てはまる。遅かれ早かれと言われてきた中国A株の主要指数組入れが間もなく実現すれば、巨人が目を覚ました際には、株式投資家の資産配分に多大なる影響を与えることが再認識されるだろう 。
 
来るべきその時に備えて、中国の当局者やMSCIと同様に、長期的視野を持つことが最も重要だ。すなわち、目下の中国における不透明感に気を取られることなく、グローバル市場における中国の存在感の拡大に向けて着実かつ周到に準備を整えるということである。  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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