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中国A株のMSCI指数組入れを受け、投資家は何をすべきか

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ジョン・リン 
アライアンス・バーンスタイン・香港・リミテッド
中国株式運用 ポートフォリオ・マネジャー
 
 

 

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2017年7月13日

 
 
 
中国本土の証券取引所に上場している人民元建て株式(中国A株)が、グローバルな新興国株式投資で広く用いられているMSCI エマージング指数に組み入れられることが正式に決定した。これは、世界中の投資家が中国の巨大な株式市場とどう向き合うかを考えなければならない時が来たことを意味する。
 
株価指数の世界最大手MSCI社が2017年6月20日に発表したこの決定は、世界中の株式投資家にとって大きな転換点となる。中国A株市場は世界第2位の規模を持ち、時価総額は7.5兆米ドル相当に上る。しかし、従来は主要なグローバル新興国指数に組み入れられていなかったこともあり、ほとんどの投資家にとっては投資する術が極めて限られていた。多くの新興国ファンドが扱うのは、香港証券取引所に上場された中国H株など、オフショア市場で取引される一部の銘柄に限定されていた。
 
これからはそうではなくなる。当初は一部の銘柄に限られるとはいえ、MSCI エマージング指数に中国A株が組み入れられたことにより、中国市場への扉は正式に開かれた。今回の組入れを巡る動きには、眠れる巨大市場を目覚めさせるにあたって、緩やかに物事を進めようとするMSCIの慎重な姿勢が窺える。MSCIは中国A株のうち、まずは上海および深センの証券取引所と香港証券取引所の相互乗入れ制度である「ストック・コネクト」の枠組内にある222銘柄のみを組み入れる予定だ。中国本土で取引される総銘柄数が3,000を超えることを考えると、投資ユニバースとして小規模ではあるものの、時価総額では中国本土銘柄の40%を越える規模であり、世界最大の発展途上国である中国がついに本格的にMSCIエマージング指数に加わったという点で、大変意味深い第一歩だ。
 
これを受けて、投資家は何をすべきだろうか?当面は様子見をする投資家もいるだろうし、中国A株だけの単独型戦略を資産配分に加える投資家もいるかもしれない。しかし、今後グローバル新興国指数における中国の存在感が更に増していくことを勘案すれば、新興国株式市場における、より広範な分散投資について再検討し始めるべきではないだろうか。
 

投資機会を逃さないために

中国A株への投資を見送ろうと考えている投資家は、より長期的な投資機会を見落としているかも知れない。確かに今回組入れが決まった銘柄がMSCIエマージング指数に占める割合は小さい。しかし、この割合はいずれ大幅に増加する見通しである。また、ここで中国A株を無視すると、現在進行形の魅力的な投資機会やユニークな投資テーマを逃してしまう可能性がある。例えば、急速に拡大する中国の中間所得層に後押しされる消費財ブランドや、環境関連政策の転換の恩恵を受けるであろう世界水準の製造業者や革新的な分野の企業などだ。
 
中国A株市場は、非常に規模が大きく流動性も高いが、まだ成長過程にある。このため、長期的な収益パターンに基づいた投資ではなく、その時々の市場の流行に乗った短期売買をしがちな個人投資家が日々の出来高の約8割を占める。市場の非効率性によって生じた歪みを逆手に取り、長期的なファンダメンタルズに基づいた投資機会を見極めることが出来れば、アクティブ運用には理想的な市場環境と言え、魅力的なリターンを得られる可能性がある。
 

単独型戦略 

中国A株市場は巨大であるため、一部の投資家は単独の資産クラスとして扱い、自ら中国株へのエクスポージャーを管理する方法を選択するであろう。これは、パッシブ運用の上場投資信託(ETF)を活用すれば比較的容易にできるように思われるかもしれない。しかし、中国A株市場のように成熟度が低く、非効率性が残る市場においては、パッシブ運用には非常に大きなリスクが伴う。
 
実際に2013年から2015年にかけて、当時人気を博した、あるETFのリターンは、中国A株主要50銘柄で構成されるFTSE中国A50指数(FTSE A 50)のリターンを33%以上も下回った。そのETFはデリバティブを使ってベンチマーク指数に追従しようとしていたが、規制変更によってデリバティブ市場の流動性が低下してしまったのだ。十分なリサーチに基づいたアクティブ運用による単独型戦略であれば、このような落とし穴を回避する一助となり、当局による急な規制変更にも対応できるであろう。
 
もちろん、アクティブ運用もリスクに十分留意する必要がある。特に、中国A株の単独型戦略を採用する場合、新興国株式全体のポートフォリオと意図せざる重複が生じていないか注意する必要がある。今後MSCIエマージング指数における中国のウェイトが増加していく中、これは重要なポイントだ。
 

新興国株式市場の分割

2016年3月にMSCIが発表したデータによると、将来的に中国A株とH株の全てがMSCIエマージング指数に組み込まれると、中国は指数全体の約40%のシェアを占める可能性があるという。指数は本来、広範な市場をカバーし分散投資に寄与するはずのものだが、一つの国がここまで大きなシェアを占めるようになってしまうと、その分散効果を失ってしまう。
 
そのためABでは、新興国株式市場を「中国(A株に加え、H株や米国預託証券を含む)」と「中国を除く新興国」に分割することを検討すべきだと考えている。今回のMSCIの決定を受けて、市場はその方向に発展していくと見ている。新興国株式市場をこのように分割することが、中国固有の投資テーマと投資機会を捉えながら、同時に、中国以外の幅広い新興国市場へのエクスポージャーを維持することを可能にする最善の策だと考えている。
 
今回のMSCIの発表はビッグ・ニュースとして取り上げられたが、実際には海外投資家に中国株式市場を開放する小さな第一歩に過ぎない。今後どのようなタイムテーブルで組入れが進むかは分からないが、ABは最終的に全ての中国A株市場がMSCI指数に組み入れられると見ている。戦略的なアプローチをもって、急速に変化する中国市場の投資機会の捉え方を検討することが、今後のグローバル株式投資および新興国株式投資のリターン向上に貢献するカギとなろう。  

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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