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現地通貨建て新興国債券を取り巻く環境が改善

 

シャマイラ・カーン (写真)
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アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
エマージング・マーケット債券 ディレクター
 
クリスチャン・ディクレメンティ    
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
エマージング・マーケット債券 ポートフォリオ・マネジャー
 
 

 

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2017年8月22日

 
 
 
債券ポートフォリオのインカムを高めつつ一層の分散投資を図るなら、現地通貨建て新興国債券に目を向けてみるのに良いタイミングかもしれない。
 
1年ほど前から新興国債券への関心が急速に高まっているが、それには十分な理由がある。途上国経済の成長見通しが総じて改善している上に、多くの国で政府が経済改革を掲げ、外的ショックに対する脆弱さの克服に取り組み、腐敗防止に乗り出している。
 
それでも、未だに多くの投資家が米ドル建て債券を選好している(図表)。世界金融危機後に現地通貨建て債券に投資してみたものの、市場で「リスク・オフ」が進む中、痛手を被った投資家が多いことが、その理由の一つだろう。  
 
 
 
 
投資家は現地通貨建て債券に再度振り向くか.png
 
 
2013年から2015年にかけて、多くの新興国が抱えていた巨額の対外収支の赤字や米国金利上昇への懸念から、投資家は新興国市場の現地通貨建て債券から一斉に逃避した(以前の記事『「フラジャイル」を脱却: 新興国通貨・債券の投資機会』ご参照)。新興国通貨も暴落し、新興国の現地通貨建て債券の動向を反映するJPモルガン・ガバメント・ボンド・インデックス-エマージング・マーケッツは約30%下落した。
 
新興国の資産市場全般にとって、それが厳しい時期であったことは間違いない。特に現地通貨建て債券にとっては。しかし、今日の債券市場で最も急速な成長を遂げているのは現地通貨建て新興国債券なのだ。現在、この資産クラスにはさまざまな面でアピールがある。
 
具体的には以下の4点が挙げられる。
 
•新興国通貨は魅力的な水準にある。例えば、複数のアジア通貨が対米ドルで、過去10年間のレンジの下限近くにある。
 
•ブラジル、インド、インドネシアなどでは、政府が緊縮財政を断行している。
 
•新興国のインフレ率は横ばい、ないし低下しており、中央銀行が金利引下げを行う余地がある。
 
•インフレ調整後の実質利回りが、先進国との相対ベースでは歴史的高水準にある。
 
米国金利の上昇についても、それが緩やかなものである限り、あまり神経質になり過ぎない方が良いであろう。米国金利が上昇するということは、米国の経済成長が加速しているということで、コモディディ生産国や輸出主導型経済であることが多い新興国にとっては好ましいはずだ。
 

投資機会拡大と分散投資の一挙両得  

こうしたマクロ面での良好な条件に加え、グローバル投資家を呼び戻すために各国が対策を講じており、今後現地通貨建て債券の発行体は徐々に増えて行くと思われる。例えば、中国は国内債券市場の自由化を推し進めており、今後1年ほどの間に人民元建て債券がグローバル債券指数に組み入れられる可能性がある。また、アルゼンチン・ペソ建て債券は今年そうした指数に組み入れられた。新興国企業による現地通貨建て社債の発行も増加すると見られる。
 
こうした動きは全て、新興国経済のファンダメンタルズ改善がもたらす恩恵を享受するとともに、米ドル建てに偏った債券ポートフォリオのエクスポージャーを分散する機会を投資家に提供する。
 
こうした通貨エクスポージャーの分散は重大な影響を持つ。足元で米ドルはやや割高な水準にあると見られるが、輸出競争力の回復を重要課題と位置づける米トランプ政権の貿易政策は米ドル安を指向する可能性がある。  
 

グローバルに視野を広げ、しかし厳しく選別 

現地通貨建て債券に関しては、広範な地域にわたり魅力的な投資機会が広がっている。多くのラテンアメリカ諸国では、政治的・経済的ポピュリズムを脱し、中道的な政策をめざす動きがある。アジアでは、底堅い経済成長、安定した金融システム、そして健全な経常収支が地域経済を下支えするだろう。
 
とは言え、十分なリサーチを行い、どのようなリスクを取るのかに関し選別的なスタンスを保つことも重要だ。国別配分やセクター配分も、もちろん重要だが、それに加えてインフレや景気がどの段階にあるのか、イールドカーブのどの部分に投資妙味があるのかといったことを見極めることも重要だ。最も魅力的な投資機会は、ある国では中期債かもしれないが、他の国ではもっと長期ゾーンにあるかも知れない。
 
もう一つ考慮すべき重要な点として、通貨リスクをヘッジ出来るかどうかがある。現地通貨建て債券への投資では時に債券と為替の両面で魅力的な場合があり、実際に、現在は多くの新興国債券市場でそのような状況になっている。しかし、そうでない場合は、通貨のエクスポージャーはその一部ないし全部をヘッジしてしまうことで、債券のみのエクスポージャーを取ることが理に適っているだろう。臨機応変な対応が大切だ。
 
また、通貨間で相対的なポジションを取ることも考慮すべきだろう。割安な通貨を買い持ちにし、割高な通貨を売り持ちにすれば、新たなリターンの源泉となる可能性がある。
 
新興国市場への投資がもたらす価値については、広く知られている。しかし、その最も魅力的な部分は、米ドル建てではない市場の一角に隠れていることもあるのだ。
 
 
 

 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

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当資料は、2017年7月18日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。当資料中の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。アライアンス・バーンスタインおよびABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。
 
 
 

 

 

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