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グリーンスパンさん、本当に債券バブルですか?

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ダグラス・ピーブルズ 
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
債券部門 最高投資責任者(CIO) 
 
 
 

 

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2017年9月5日

 
 
 
市場が発するサインを読み取るのは難しい。かのアラン・グリーンスパン氏ですら、米連邦準備制度理事会(FRB)の議長を務めていた当時、不動産バブルの兆候に早い段階で気づくことができなかった。そのグリーンスパン氏が先日、現在の債券相場でバブルが発生しており間もなく破裂するとの警鐘を鳴らしたが、これに関してアライアンス・バーンスタイン(AB)では異なる意見を持っている。
 
米国債市場の30年にわたる上昇相場が終わりを告げ、今後米国金利が上昇するという点については、グリーンスパン氏と同じ見方である。しかし、FRBによる短期金利引上げを受けて長期金利が急上昇し債券相場が急落するという点については、同意できない。
 
最初に言葉の定義を確認しておくことが大切だろう。ABでは、バブルとは、投資家がバリュエーションを無視し、単により高い価格で売り抜けられれば良いと考えて、割高な資産に投資している場合に発生するものだと考えている。
 
しかし、現在の市場はそうした状況にはないであろう。利回り1.75%の米国5年債を購入する投資家は、短期間で儲けようとしている訳ではない。ここで視野を広げて市場を見回すと、5年物フォワード・レートから算出される2022年における米国5年債の利回りは2.7%となっている。つまり、今後数年間の各国中央銀行の金融政策やインフレ見通しを踏まえれば十分妥当と思われるような緩やかな金利上昇を、市場は予想している。
 
また、米国債は通常、金利サイクルの変化によって市場のボラティリティが上昇すれば、直ちに投資家が買い進む資産だ。仮に現在のフォワード曲線が正しく、かつ5年後における米国5年債の利回りが3%近くになっていると仮定しよう。その場合、ほぼ間違いなく5年債を買おうとする投資家はもっと増えるだろう。
 
グリーンスパン氏がおよそ20年前に、「根拠なき熱狂」という言葉を用いて金融市場に警告を発したことは良く知られている。しかし、根拠なき熱狂は、そもそも米国債のような低リスク資産には当てはまらない。 
 

ゆっくり着実に  

大規模な量的緩和により世界金融危機後の市場と実体経済を支えた中央銀行が、今度はその膨大な流動性を縮小するという未踏の領域に足を踏み入れようとしていることは確かだ。FRBは4.5兆米ドルに拡大したバランスシートの圧縮を年内にも始めると見られており、欧州中央銀行(ECB)も、今年後半には債券購入のペースを緩め、2018年にバランスシートの縮小に着手する可能性がある。
 
世界金融危機後の中央銀行による流動性供給が金融資産に与えた影響は計りしれない。したがって、中央銀行のバランスシート縮小が始まればボラティリティが上昇すると予想するのは当然のことだ。しかし、バランスシート縮小は時間をかけて緩やかに行われると見られ、これは市場にとって良いことである。FRBは過去1年半に4回しか利上げしておらず、ある意味、すでに現在の金融政策サイクルにおける政策変更のペースを示唆している。 
 

高金利はリターン上昇につながる可能性   

金融政策引締めや金利引上げというのは、債券投資家に不安を覚えさせるものだ。しかし、過度に心配すべきではない。金利が上昇すれば利回りも上昇するだろうか?おそらく間違いなく上昇するだろう。しかし、それは高いリターンを得るための舞台が整うということだ。と言うのも、債券利回りは将来得られるリターン水準を最も的確に反映するものだからだ。
 
実際、過去の投資期間において、例えば3年から5年の期間を見てみると、購入時の債券利回りは最終的なリターンとほぼ同じになっている。言い換えれば、総リターンの大部分を占めるのは債券がもたらすインカム収入だということだ。この単純な相関関係は、米国債のような低リスク資産にも、ハイイールド社債のような高リターン狙いの資産にも、同様に当てはまる。
 
2004年から2006年にかけてFRBが徐々に金利を引き上げた局面において債券市場が全般的に好リターンを上げたことも、このことで説明できる(図表)。 
 
 
 
 
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イールドカーブがフラット化すれば、国債は有利   

心に留めておくべきポイントはもう一つある。FRBの政策引締局面においては、米国債のイールドカーブ(残存期間の異なる債券の利回りを表示する曲線)はフラット化する傾向があるということだ。これは、短期金利と比べて長期金利の方が上昇が遅いか、むしろ下落するためである。実は、この結果、直近4回の利上げ局面のうち3回は、10年債の利回りが2年債の利回りを下回る「逆イールド」状態に至っている。
 
これは、金利上昇が成長を鈍化させることにより起こる。成長鈍化の結果、長期債の利回りは、グリーンスパン氏が警告したように上昇するのではなく、むしろ低下する。そして、金利低下は、経済の回復を促す。
 
このような市場サイクルにおいて、米国債は社債などのクレジット資産をアウトパフォームする傾向がある。したがって、このような局面におけるクレジット資産の投資家は、米国債を避けるのではなく、ポートフォリオのエクスポージャーを分散するためにむしろ米国債に資産配分を傾斜すべきであろう。そのためには、米国債とクレジット資産の両方を保有し、市場動向やバリュエーションの変化に応じて両者のバランスを調整する「クレジット・バーベル戦略」が有効であろう。
 

ただ暴落に怯えるよりも、ボラティリティ上昇への対策を   

より高いリターンを追求する高リスクな債券は、中央銀行の金融政策正常化により痛手を受けるだろうか?もちろん受けざるを得ないだろう。そもそも中央銀行の極端な緩和政策は、投資家に社債や株式の購入を促すことで資産価格の上昇、消費拡大、経済回復を呼び起こすことを狙ったものだったのだから。
 
この緩和策は金融危機からの回復局面ではうまく機能した。しかし、その結果、米国債などの安全資産が相対的に割安となったため、投資家は当面、そうした安全資産を重視することも考えるべきであろう。
 
それでも、社債などのクレジット資産は、分散型債券ポートフォリオにおいて重要な役割を果たすものであり、全くあきらめてしまうのは正しくない。ハイイールド債のような資産は一時的に急落することも珍しくはないが、過去を振り返れば、急落後は急速に回復している。そして前述の通り、高利回りは高いリターンを示唆する。
 
総括すると、1981年から2013年までのように米国債が年率8%ものリターンを生み出すことを期待するのは無理がある。債券投資の黄金時代は終わったのだ。しかし、債券市場の急落の可能性を過度に恐れる必要もない。債券投資は、もともと変動が比較的小さいことを特長としており、金利上昇局面であっても資産配分の一部とすべきものであるからだ。
 
 
 
 
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