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新興国債券市場の回復はまだ道半ば

 

シャマイラ・カーン (写真)
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アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
エマージング・マーケット債券 ディレクター
 
クリスチャン・ディクレメンティ    
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
エマージング・マーケット債券 ポートフォリオ・マネジャー
 
 

 

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2017年10月16日

 
 
 
あなたは新興国市場の回復相場に乗り損ねてしまったと案じていないだろうか?心配し過ぎる必要はない。なぜなら、多くの新興国で信頼に足る政策や現実指向的な政治が根付き、経済の見通しが明るくなっていることから、市場の回復はまだまだ続く余地があるためだ。
 
この1年間、新興国債券は米ドル建て/現地通貨建てを問わず、高いリターンを実現している。しかし、ここへ来て投資家の間では、米国金利の上昇が新興国からの資本逃避を誘発し、新興国の政府や企業のバランスシートに悪影響をもたらすのではないかという不安が広がっている。
 
確かに過去にはそのような予想が妥当だった時代もあった。しかし、昨年来指摘してきたとおり(以前の記事『「フラジャイル」を脱却: 新興国通貨・債券の投資機会』ご参照)、新興国は全体として資本流出に対する脆弱性を数年前から大幅に改善させている。その大きな理由は、多くの新興国で対外金融収支の赤字幅が縮小していることだ。それにより各国の通貨が回復しており、さらに上昇する可能性もある。
 
同時に、コモディティ価格が安定的に推移していることも手伝ってインフレ率が抑制されているため、新興国債券のインフレ調整後の実質利回りは、投資可能な債券の中で最も高いものの一つとなっている。
 
また、新興国の政府は規律ある財政運営と現実的な政治を行うようになっている。例えば、ブラジルの議会は政府支出に上限を設ける法案を可決し、膨れあがった年金制度の改革にも乗り出した。それが功を奏し、同国の経済成長は改善しており、この傾向は持続すると予想される。  
 

世界的に投資家は新興国債券に出遅れ気味   

このような状況であるにもかかわらず、グローバル投資家のポートフォリオは概して新興国債券に十分投資していない。現地通貨建て債券に関しては特にそうだ(以前の記事『現地通貨建て新興国債券を取り巻く環境が改善』ご参照)。2013年から2016年にかけて、世界経済や新興国のファンダメンタルズが不調だったため、多くの投資家が新興国投資を縮小した。これは、グローバル債券市場における他セクターの債券が既に割高になってしまった現状においては、新興国債券のバリュエーションが相対的に魅力的であることを意味している。
 
そうは言っても、新興国投資で実際どのようなエクスポージャーを取るのかについて、投資家は選別的になるべきだ。
いかなる市場でも万能薬的な投資はまず無いが、新興国市場では特にそうだ。国やセクターを厳選する必要がある。
 
例えば、ラテンアメリカを見てみよう。ブラジルとベネズエラは国境を接しているが、両国の経済見通しは全くかけ離れたものとなっている。ブラジルが改革に取り組み続ける一方で、ベネズエラは深刻な政治危機に見舞われ、経済も荒廃している。それでもベネズエラは主要な新興国債券指数に依然として含まれている。新興国投資を行う投資家にとって、ベンチマークに囚われないアクティブな運用が重要である理由がここにある 。  
 

米連邦準備制度理事会は緩やかに政策を正常化   

もちろん、リスクの中には新興国の政策当局がコントロールできないようなものもある。コモディティ価格の急落や、グローバル投資家のリスク回避指向再燃などだ。
 
また、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策も懸念材料だ。昨年末に開始した金利引上げに加えて、大幅に膨らんだバランスシートの縮小を近く開始する。FRBは、世界金融危機後に大量に買い入れた債券に関し、その一部の償還分の再投資をやめる形で保有残高を段階的に減らしていく。
 
このFRBによる金融緩和政策からの撤退が実際にどのような影響を与えるのかは、誰にも分からない。しかし、FRBはバランスシートの縮小に関しては十分に時間をかけて徐々に行うと強調している。さらに、金利を引き上げた時にそうであったように、彼らの意図を市場に明確に伝えてから政策変更を実行すると思われる。
 
サプライズさえ無ければ、FRBによる金融引締めが新興国市場に壊滅的な打撃を与えることはないと見ている。繰り返しになるが、前回金融引締懸念が新興国市場に動揺をもたらした2013年当時と比べて、現在の新興国諸国のファンダメンタルズはずっと強固なものになっているからだ。
 
総括すると、経済ファンダメンタルズの改善、経済および政治的な改革の推進、魅力的なバリュエーションなど、現在の新興国市場を選好する理由は数多くある。そしてそれは、新興国市場の回復がまだまだ続く可能性を明確に示している 。
 
 
 
 
 
 

 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

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