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ヘッジファンド投資の環境に改善の動き

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スチュアート・デービス
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
カスタム・オルタナティブ・ソリューション 共同責任者
 
 
 
 
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ヴィカス・カプーア    
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
カスタム・オルタナティブ・ソリューション 共同責任者
 
 
 
 
 
 

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2017年11月14日

 

ここ数年ヘッジファンドに対する世論は厳しかった。2015年および2016年前半にヘッジファンド全般の運用リターンが低迷したことが主な原因だろう。また、アクティブ運用の意義に関する論争、特にヘッジファンドの手数料に関する論議が広がる中、カリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)など複数の米国機関投資家がヘッジファンド投資を手仕舞いしたり縮小したことも影響しているだろう。そうした批判の中には妥当なものもあるが、ヘッジファンド全体を十把一絡げに色眼鏡で見るのは適切ではないだろう 。
 
と言うのも、まだ歴史の浅いヘッジファンド業界において、いくつか前向きな変化が見られるからだ。例えば、手数料体系の見直し、透明性や顧客サービスの改善、組織としてのインフラ整備といった動きである。
 
その上、市場環境も改善しており、超過収益を追求する新たな手法も生まれつつある。この2点については後述するとして、まずはヘッジファンドが機関投資家などの適格投資家のポートフォリオにどのような恩恵をもたらし、どのような役割を果たすことができるのか考えてみよう。 
 

ヘッジファンドの効用

ヘッジファンドは、顧客から得る手数料を運用成果に連動させることにより、より高いパフォーマンスを生み出すインセンティブを運用責任者に与えている。さらに、ヘッジファンドの運用責任者は自らの個人資産のかなりの部分を顧客資産と一緒に投資していることが多く、このことはより高い運用収益の実現を目指す更なる動機づけになっている。
 
ヘッジファンドの運用ガイドラインは、投資制約があまり無い柔軟なものであることが多い。上場証券および非上場証券からデリバティブまで、幅広い資産クラスや地域に投資できるようになっていることが一般的だ。彼らは、企業の事業サイクルや市場サイクルの変遷に応じて、新たな投資機会に資金をシフトすることもできれば、厳しい局面ではリスクの取り方を絞り込むこともできる。伝統的な株式運用や債券運用では、そこまでの柔軟性は与えられていない場合が多い。もちろん、投資制約の少ないヘッジファンドは投資スタイルがぶれやすいという問題もあるが、多くの場合、そのマイナス面を差し引いても十分に大きな恩恵があると言えよう。
 
また、ヘッジファンドは、伝統的な資産クラスの運用とは相関度の低い、魅力的なリターンを実現してきた実績がある。それは、上述したようなヘッジファンドの成功報酬体系と運用面での柔軟性が、優れた人材を惹きつけてきたことも一因となっている。
 
もちろん、ヘッジファンドは万人向けの投資ではない。ヘッジファンドに投資することができるのは適格投資家のみである。また、一般的にヘッジファンドへの投資は、資産の一部分に留めておくべきだ。ヘッジファンドの手数料は概してロング・オンリー戦略と比較して高く、リスクも異質である。個々のファンド固有のリスクはそれぞれ異なるため、細心の注意を払ったデュー・デリジェンスの実施が不可欠だ。
 

市場環境の改善  

ヘッジファンドを巡るさまざまな論議や複数の大手投資家による解約といった最近の出来事にもかかわらず、ヘッジファンド業界全体の受託資産総額は世界全体で3.1兆米ドルと過去最高の水準に達している。運用成績が改善しているファンドも多い。バリュエーションが伸び切ってしまった債券などの伝統的資産クラスからは高いリターンを期待しにくくなる中、多くの投資家がヘッジファンドへの資産配分を拡大している。優れた運用者の手による、十分に分散投資されたヘッジファンド・ポートフォリオは、伝統的な投資戦略とは相関度の低い魅力的なリターンをもたらす可能性がある。
 
ヘッジファンドも通常のアクティブ運用も、ここ数年は確かに優れた実績を上げたとは言い難い。各国中央銀行による大規模な金融緩和と緩慢な経済成長によってリスクプレミアムが縮小し、資産クラス内、資産クラス間、或いは国・地域間におけるリターンのばらつきが著しく縮小してしまったことが背景にある。今後も金利は急上昇するわけではないだろうが、米国に続き各国で進むであろう金融政策の正常化の動きにより、徐々にリスクがより適正なレベルで価格に織り込まれていくと考えられる。
 
その意味することは何か? 一つは、個別銘柄選択の重要性が高まるということであろう。今後2~3年間、どのような株式や社債を保有するべきか? 何を売るべきか? 投資家は各国の政策や経済見通しを見直し、通貨、債券、株式の価値も適宜再評価するだろう。こうした動きは全て、ヘッジファンドやアクティブ運用にとって大きな機会となるはずだ。
 
バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチによる最近の調査によれば、ヘッジファンドの様々な戦略に興味を示す投資家が増えている。マクロ戦略、マネージド・フューチャーズ、コモディティ/為替戦略等への需要が減る一方で、その他の運用手法への需要は高まっている。特に目立つのは、株式ロング・ショート、株式マーケット・ニュートラル、イベント・ドリブン、そしてディストレスト証券だ(図表)。
 
 
 
 
 
ヘッジファンド市場における需要の推移.png
 
 
 
 
 

新手法の出現   

現在もう一つ重要な変化が起きている。一定のルールに基づきシステマチックに特定の収益源を追求する、新型の合併アービトラージのような戦略が活性化しているのだ。合併アービトラージでは、企業買収案件が生じた際に、値上がりが予想される企業(一般的には被買収企業)の株式をロングにする一方で、値下がりが予想される企業(一般的には買収側の企業)の株式をショートにすることで利益を得ようとする。つい最近まで、一般投資家は投資すべき案件を正しく選別することができるとされるヘッジファンドを通じてしかこのような収益機会にアクセスすることは出来ず、仮に投資できたとしても獲得されたアルファが手数料を上回ることを祈るしかなかった。しかし、今では、パッシブ運用的な手法によって進行中のさまざまな買収案件についてロングおよびショート・ポジションを取る戦略に投資することが可能になっている。こうした戦略は非常に低コストで魅力的なリターンを上げている。
 
結論として、最近のヘッジファンド市場では注目すべき変化が起きている。市場環境は良い方向に向かっており、ヘッジファンドの戦略やスタイルもより多様化している。さらに、手数料控除後リターンを重視した低コスト戦略も生まれている。これらは、総じて前向きな動きであると言えよう。
 
 
 
 
 
 
 
 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

https://blog.alliancebernstein.com/post/bernstein/2017/09/davies_hedge-funds-evolve

 

 

 

 

 

 

 

 

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当資料は、2017年9月7日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。当資料中の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。アライアンス・バーンスタインおよびABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。
 
 
 
 

 

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