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新興国株式投資は収益重視でスター発掘を

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鈴木 清一郎
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
ストラテジック・コア株式運用
ポートフォリオ・マネジャー
 

 

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2017年11月22日

 
 
 
新興国株式は最近大幅に上昇している。しかし、この市場では無差別な購入を避けるべきだ。マクロ経済の動向よりも個別企業の業績を重視することが、リスクを抑制し、より高いリターンを得ることにつながるだろう。
 
MSCI エマージング・マーケット指数は、2017年9月までのわずか21カ月の間に約42%も急騰した。これは先進国株式を対象としたMSCI ワールド指数の約2倍の上昇率だ。新興国市場は、数年間の低迷を経て、ようやく投資家の期待に応えつつある。押さえつけられていた力を一気に解放するかのように、力強いリターンを生み出し始めた。
 
この勢いを支えているものは何だろう?それはマクロ経済的な要因よりも、企業収益だ。実は、通説に反し、新興国におけるGDP成長率と株価の相関度はほぼゼロだ。一方、企業収益と株価はより強く結びついている(図表1)。
 
 
 
新興国株式の原動力は収益.png
 
 
これは理にかなっている。株式投資家は、つまるところ企業に投資しているのであって、国に投資しているわけではないからだ。そして現在、新興国企業の収益見通しは力強く、市場のコンセンサス予想では今後2年間で30%を超える増収が見込まれている。
 

収益予想の変化に注意  

収益成長が重要であるのと同等以上に、収益予想の変化も重要だ。前向きな収益予想が株価にすでに織り込まれている場合は特にそうだ。過去数年間の収益予想の変化を見ると、なぜ2016年央まで新興国市場が低調だったのか、そしてなぜそれが最近になって回復したのか、理解しやすい。図表2の左図から分かるとおり、最近は収益予想が大幅に上方修正されている。 
 
 
 
 
収益予想は改善傾向だが、セクターによりまちまち.png
 
 
 
 

好調が際立つセクターに注目   

新興国株式の回復をけん引したのは、どのセクターだったのか? 2016年年初来、新興国市場の企業収益に最も貢献したのは、情報技術セクターと素材セクターだった(図表2、右図)。また、これらほどではないものの、金融セクターや生活必需品セクターも改善を見せた。一方、公益事業と電気通信サービスのセクターは低調だった。
 
新興国における情報技術、コモディディ、金融の各セクターに対して楽観的な見方が広がったのは理解し易い。中国の電子商取引企業は優れた業績を上げており、時に欧米の同業者をしのぐ革新性を見せている。また、コモディディ価格は、グローバルな需要の高まりや、環境汚染の元凶だった旧式な生産設備に対する中国政府の取締り強化を受け、需給が改善している。銀行業界では金利の安定と不良債権の減少により、好ましい動きが強まっている。当面、こうした改善傾向はおおむね持続すると見られる。
 
一方、収益予想がさほど良くないセクターもある。新興国の電気通信サービス上位5社のうち4社は、競争の激化により収益が圧迫されている。また、公益事業セクターでは、料金体系が規制されている電力会社の収益が伸び悩んでいる。 
 

引き続き個別企業に集中   

全般的な見通しが明るい中においても個別銘柄選択が鍵となるのはこのためだ。例えば、中国のある梱包用段ボール製造会社は、ネット通販の大規模な普及の恩恵を受けている。この新たに創造された需要がこの企業の収益予想に与える影響は、世界経済全体の動向が与える影響よりもはるかに大きい。また、東欧に目を向けると、銀行業界は外貨建て住宅ローンの不良債権化の問題からおおむね立ち直っている。資産のポートフォリオが優良な一部の銀行は、十分な自己資本を持っており、今後の金利上昇による恩恵を受ける上で有利な立場にある。
 
インドにおける銘柄選択には複雑なジレンマが生じている。インド経済の長期的な見通しは明るく、その恩恵を受ける企業もあるが、大きな問題に直面しているセクターもある。例えば、製薬業界は薬価引下げ圧力が高まっていることから収益予想の下方修正に見舞われている。またIT業界でも成長鈍化や利ざや縮小が見られる。
 
新興国市場の天気図を見渡してみると、一様に「ここは強い」、あるいは「ここは弱い」と言える国やセクターは、あまりない。世界中どこを見ても、強弱が入り混じり方向感もまちまちだ。 
 

隠れたリスクに注意   

企業の収益見通しが様々な問題に直面しているという現実は、リスクを考慮したアプローチの必要性を裏付ける。確かにMSCI エマージング・マーケット指数のボラティリティは2017年に入り35%下落しているが、それで油断するのは間違っている。個別に分析すると、指数構成銘柄のうちおよそ1割が2017年に30%を超えるボラティリティの急上昇を経験している。どんなに全般的な環境が安定している場合でも、回避したい不透明性は必ずどこかに潜んでいるものだ。
 
新興国投資には常に市場ボラティリティという明白なリスクが伴う。中央銀行による極端な金融緩和の巻き戻しから朝鮮半島における地政学的な緊張まで、投資家を怯えさせる材料には事欠かない。新興国投資で成功するかどうかは、いつかはやってくる市場の下落局面で資産を守れるか否かにかかっていると言える。
 
新興国株式に投資するならば、相場には修正局面があるということを認識していなければならない。たとえ収益が成長中でバリュエーションも魅力的であったとしても、個別企業の株式や市場全体が下落に転じるリスクは常にあることを忘れてはならない。個別企業のファンダメンタルズに集中し、市場の下落局面で抵抗力を発揮できるような銘柄選択を行えば、相場の波を乗り越え優れた長期的リターンを生み出す舵取りができるだろう。
 
 
 
 
 

 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

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