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著者
村上尚己Naoki Murakami
マーケット・ストラテジスト
外資系および国内系証券会社や日本経済研究センターなどシンクタンクにてエコノミストを歴任。経済予測分析や金融政策の分析に精通し、日経ヴェリタスやインスティテュショナル・インベスター誌のアナリスト・ランキングにおいて、エコノミスト部門にランキングされた経験を持つ。著書に「インフレ貧乏にならない資産防衛術」(東洋経済新報社)、「日本人はなぜ貧乏になったか?」(中経出版)、「円安大転換後の日本経済」(光文社)などがある。

Vol.33 米株式市場と米債券市場の「かい離の縮小」が始まった

2017年07月24日

各中銀のタカ派的な政策姿勢は株式市場のリスク

①米国株 vs 米国長期金利_201707.png

4月半ばに地政学リスクへの警戒を背景に世界的に株安と金利低下が起きた後に、株式市場と債券市場には値動きのかい離が始まった。

 

4月後半から世界的に株式市場は反転し、7月まで米国株は最高値を更新する一方で、米国の長期金利は一時2.1%台まで下がるなど低下基調を辿った。

 

ただ、この値動きのかい離は縮小し始めた可能性がある。6月後半から、BOEなど複数の中央銀行が金融緩和政策の出口を目指す動きをみせ、欧州国債金利が大きく上昇、インフレが鈍い中で米国金利も上昇し、世界的に長期金利が上昇しつつある。

 

もっとも大幅な金利上昇となった欧州では株式市場が調整するなど、世界的な株高に歯止めがかかりつつある。 

 

村上コメント

5、6月には、米株式市場と債券市場の値動きのかい離について、筆者は警戒的に紹介しましたが、「かい離の縮小」は始まったばかりで当面続くと見ています。トランプ政権への失望に加えて、各国中銀による早すぎる政策転換への警戒感も、米株の短期調整をもたらす可能性があります。

欧州国債金利の上昇は持続可能か

②先進各国の10年国債金利_201707.png

6月末に開催されたECB主催のカンファレンスで、各国の中銀総裁の要人が集まったが、同会議におけるドラギECB総裁などの発言をきっかけに、各国中銀が出口政策に前向きになっているとの思惑が高まった。

 

その後、欧州国債市場では大きく国債金利が上昇。ドイツ10年金利は2017年初から続いた0.2~0.4%のレンジを上抜けして、0.6%前後まで、英10年金利も2017年初以来の水準まで上昇した。

 

ドラギECB総裁、カーニーBOE総裁の発言は、緩和縮小あるいは早期利上げを示唆していたとは限らない。ただ、総裁以外のメンバーが政策正常化を意識しておりて、FRBも複数メンバーが資産価格上昇に警戒を示すなど、各中銀が金融政策正常化の早期実現に向かいつつある。

村上コメント

ECB、BOEのそれぞれの総裁の、政策スタンスはこれまでと変わっていないと筆者は見ていますが、6月末から、市場では早期利上げ期待で国債価格下落が起きました。ただ、英経済はピークアウトしており、一部BOEメンバーが示唆するような、年内利上げに踏み切る可能性は低く、市場の早期利上げ期待は年末までに沈静化するとみています。

米インフレ停滞をFRBは一時的と認識

③米コア消費者物価_201707.png

6月米消費者物価指数は、コアベースで前月比+0.1%と、事前予想を下回り2か月連続で低い伸びに留まった。

 

米労働市場では順調な雇用創出がみられているが、賃金の伸びは鈍化しており同様にインフレ率も停滞しFRBの想定よりもインフレ率は低いままとなっている。。

 

2017年4-6月は、個人消費、設備投資関連指標の伸びは高まらなかったことも、インフレの伸びが鈍い一因とみられる。一方でイエレンFRB議長などは、最近のインフレ率の下振れは一時的であるとの見方を強調している。  

 

 

 

 

村上コメント

7月中旬に判明した消費者物価や小売売上などハードデータの鈍さが、調整気味だった米国債市場の買戻しをもたらし、米長期金利は再び低下しました。FRBはインフレの鈍化を一時的とみなしていますが、こうしたFRBの認識が、市場とのミスコミュニケーションを引き起こすリスクがあると見ています。

 

経済のお天気予報

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出所:アライアンス・バーンスタイン株式会社

 

         

 

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