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著者
村上尚己Naoki Murakami
マーケット・ストラテジスト
外資系および国内系証券会社や日本経済研究センターなどシンクタンクにてエコノミストを歴任。経済予測分析や金融政策の分析に精通し、日経ヴェリタスやインスティテュショナル・インベスター誌のアナリスト・ランキングにおいて、エコノミスト部門にランキングされた経験を持つ。著書に「インフレ貧乏にならない資産防衛術」(東洋経済新報社)、「日本人はなぜ貧乏になったか?」(中経出版)、「円安大転換後の日本経済」(光文社)などがある。

Vol.40 株式市場の急落は貴重な投資機会

2018年02月16日

米国株急落はバブル崩壊の始まりか?

①米国株 vs VIX指数_201802.png

2月月初に1月分の米国雇用統計が発表されたが、その後、米国株は連日で急落し、年初から楽観的なムードに包まれていた金融市場の景色は一変した。

 

米国株市場が、1日に4%を超える大幅下落となったのは2011年以来である。ボラティリティ低下にベットし積み上がったポジションの損失が株安を後押し、そしてテクニカルサインをシグナルとするプログラムトレードの取引が値幅を拡大させたことが米国株市場の株価下落をもたらしたとみられる。

 

企業業績や経済動向に関する材料は株式・債券市場にほとんど影響せず、主要株価指数のテクニカルラインや急騰したVIXの値動きに、株式・債券の価格が翻弄される場面が2月から散見される。

 

ボラティリティという「新たな資産クラス」のブーム崩壊は、局所的なバブル崩壊とも言えるかもしれない。 

 

村上コメント

2月からの株価急落が、ファンダメンタルズを反映しない金融市場の値動きであり、ファンダメンタルズからオーバーシュートが起きていると言えます。
アクティブな投資家にとって、貴重な投資機会になると筆者は考えています。

米国金利の大幅上昇をどうみるか?

②米国株 vs 米10年国債金利_201802.png

2月からの米国株急落の一因として、米欧における長期金利の大幅上昇が挙げられる。

 

1月後半に米国の10年国債金利が2.6%台まで上昇、月末には2.7%台まで一気に上昇した。

 

短期間での大幅な金利上昇は、経済指標の改善よりも、テクニカルな節目を越えたことで、債券価格の下落が更なる下落を招く場面がみられた。

 

そして2月に米国株が急落する中でも、米国長期金利はほとんど低下せず2.8%台と高止まっている。米国長期金利の上昇が、米国株のバリュエーション調整を大きくしている側面がある。

村上コメント

米国経済の堅調な成長を想定しているABは、2018年の米国10年金利が3.25%まで上昇すると予想しています。
それと比べると、1月後半からの長期金利上昇ピッチはやや早過ぎるとみています。

米欧の財政政策の転換で緩やかに長期金利は上昇

③先進各国の10年国債金利_201802.png

1月後半から米欧の長期金利が大きく上昇した要因として、米欧において財政政策が転換しつつあることが影響していることが挙げられる。

 

米国のトランプ政権は2017年末に大型の減税政策の可決に成功、更に2月には2018/19会計年度の歳出上限額の引上げが実現2018年半ばから政府歳出が大きく伸びるとみられる。

 

その結果、減税+歳出拡大の双方が、米国の経済成長率を一段と高める公算が大きい。また、ドイツでも連立政権成立によって、これまでのメルケル政権による緊縮的な財政政策が、拡大方向に転じる可能性が浮上している。

 

 

 

 

 

村上コメント

2017年までの長期金利が低位で安定する構図が、米欧における拡張的な財政政策によって2018年は大きく変わるため、長期金利の上昇は避けられないでしょう。
ただ、拡張的な財政政策によって米国のインフレ率が急伸を招くなど、長期金利が大きく上昇するリスクは低いと見ています。

 

経済のお天気予報

Vol40-Global-Map.jpg

ABのエコノミストは、2018年のユーロ圏の経済成長率予想を3.0%に上方修正しました。今後の方向性を、従来の曇りから晴れに変更します。

過去の分析および予測(経済のお天気予報(アライアンス・バーンスタイン(以下「AB」)が予測する潜在成長率を基準とした経済見通し)を含む)は将来の運用成果等を示唆・保証するものではありません。予測は今後変更される可能性があります。

出所:アライアンス・バーンスタイン株式会社

 

         

 

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