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著者
村上尚己Naoki Murakami
マーケット・ストラテジスト
外資系および国内系証券会社や日本経済研究センターなどシンクタンクにてエコノミストを歴任。経済予測分析や金融政策の分析に精通し、日経ヴェリタスやインスティテュショナル・インベスター誌のアナリスト・ランキングにおいて、エコノミスト部門にランキングされた経験を持つ。著書に「インフレ貧乏にならない資産防衛術」(東洋経済新報社)、「日本人はなぜ貧乏になったか?」(中経出版)、「円安大転換後の日本経済」(光文社)などがある。

Vol.41 トランプ政権に起因する不確実性に対する付き合い方

2018年03月19日

世界貿易戦争はテールリスクに過ぎない

①米国株 vs VIX指数_201803.png

2月初旬に続き、3月初旬にはトランプ大統領が、鉄鋼等の関税引上げをアナウンスで、再び米国株市場が下落する場面があった。

 

2月初旬の株安の要因になった、長期金利上昇、VIX指数安定にベットしたポジション解消に加え、トランプ政権の保護主義政策が世界的な貿易戦争を招くリスクが意識された。

 

その後、3月初旬の下げが一旦2番底となり米国株市場は反転した。トランプ政権が掲げる関税引上げは、外交交渉のツールとなっている側面が大きく、それ自体は新たな懸念材料とは言えず金融市場の動揺は数日にとどまったとみられる。

 

3月12日にはナスダック指数が最高値更新、VIX指数が15付近まで低下するなど落ち着きを取り戻しつつある。 

 

村上コメント

米国の保護主義政策が世界貿易戦争にいたるのは従来からテールリスクと、筆者は位置づけていますが、そのリスクが実現する可能性が最近高まっているとはみていません。
今後のトランプ大統領による政治的行動やニュースで、引き続き金融市場は上下する可能性がありますが、米国経済拡大は続くと予想します。

米国経済は力強く成長、インフレは緩やかに上昇

②米国平均時給 vs 雇用コスト指数_201803.png

2月米国の非農業部門雇用者数は前月差+31.3万人と大幅に増加、過去2か月分も合計で+5.4万人と上方修正された。

 

失業率は4.1%と横ばいだったが、労働参加率に大幅な上昇がみられた。寒波からの反動という特殊要因を割り引いても、雇用者数は強く伸びており、米国経済の強さを示している。

 

一方で、同月の平均時給は前年比+2.6%と、前月(同+2.8%)からやや伸びが鈍った。雇用者数の大幅増加は、賃金加速ではなく賃金の緩やかな上昇をもたらしている。

 

また、2月の米国コアCPIは前月比+0.2%と、前月(同+0.3%)から伸びが鈍化した。1、2月の米国の長期金利上昇をもたらしたインフレ率が2%を超えて大きく伸びるとの懸念は杞憂で、インフレ率は緩やかに上昇していることが示された。

村上コメント

米国経済は、(1)年4回の利上げが必要になるほど、財政政策拡大で経済成長率が高まる、(2)2017年まで停滞していたインフレ率の大幅上昇を招くほど経済や労働市場が過熱するにはまだ距離がある、とみています

日本に起因する円高の思惑は薄れる見込み

③米ドル/円 vs ユーロ/米ドル_201803.png

3月に入ってから、為替市場において一時1ドル=105円台までドル安円高が進んだ。金融市場が動揺し米国株などのリスク資産価格が下落する中で、為替市場では明確なロジックもなく、ドル安期待が強まっているようにみえる。

 

2月中旬までは、ユーロドル相場を含め、全面的なドル安だったが、ユーロドルは2月中旬に1ユーロ=1.25ドル台がドル安のピークで、2月後半からはユーロ安ドル高となっている。

 

つまり、2月後半からのドル円の円高は、日本側に起因する「円高」が起きていたことを示している。

 

日本銀行が「早期に金融引締めに踏み出す」という観測が影響しているとみられ、3月2日の衆議院議院運営委員会での黒田日銀総裁の所信聴取において、某通信社が「2019年度ごろ出口を検討していることは間違いない」と報じたことで、ドル円が105円台に円高に動く場面があった。 

 

村上コメント

黒田総裁自身が早期の出口政策に傾いている、というのは飛躍した解釈で、黒田総裁の発言の一部を切り取った報道に、為替市場が円高に反応したと言えます。
4月から新たな日銀執行部になることをきっかけに、停滞していた決定会合での議論が再び活性化し、それが円高修正のきっかけになる可能性があるとみています。

 

経済のお天気予報

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過去の分析および予測(経済のお天気予報(アライアンス・バーンスタイン(以下「AB」)が予測する潜在成長率を基準とした経済見通し)を含む)は将来の運用成果等を示唆・保証するものではありません。予測は今後変更される可能性があります。

出所:アライアンス・バーンスタイン株式会社

 

         

 

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