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日本版スチュワードシップ・コード

株式

日本版スチュワードシップ・コードとは

スチュワードシップ・コードとは、機関投資家の行動規範を明文化したガイダンスのことです。

日本国内の経済全体を向上させるためには、個々の企業の健全な成長が欠かせません。そして、企業が健全に成長していくためには、企業に資金を提供している投資家(株主)が、投資先企業を深く理解し、持続的成長を促していく必要があります。

日本取引所グループ「2017年度株式分布状況調査の調査結果について<要約版>」によると、日本の証券取引所で売買される株の8割以上は、機関投資家が保有しています。そのため、機関投資家に企業の持続的成長を促すような行動を求めるスチュワードシップ・コードは、企業の健全な成長を促すために非常に重要な意味を持っているのです。

 

スチュワードシップ・コードが生まれた背景

スチュワードシップ・コードは、2010年にイギリスで生まれました。スチュワードシップ・コードが生まれた背景には、2008年にリーマンショックが起きたのは、企業自身と企業に出資する投資家双方による、コーポレート・ガバナンス(企業統治:企業を適切に運営し、企業の健全な発展を図るためのしくみ作り)の取組みが不十分であったとする反省があったからです。また、同時期に作られた、上場企業が守るべき行動規範を規定した「コーポレートガバナンス・コード」とは、車の両輪のような関係にあります。

 

スチュワードシップ・コードもコーポレートガバナンス・コードも、最終的な目的は、経済の発展と国民の財産形成の促進です。

これまで、日本では機関投資家である金融機関が投資先の事業会社の株を保有したり、企業グループ内でお互いに株を保有したりする「株式持ち合い」が一般化していました。このような株式持ち合いは、「投資がグループ内で完結するため情報開示コストが少なくて済む」「有益な投資案件があればすぐに投資が可能」といったメリットがあり、高度経済成長期には、日本型経営として世界から注目されました。しかし、十分な検討を行わずに投資が行われることも多く、バブル期のリゾート開発投資のように、リスク評価を十分に行わない投資にもつながりました。

 

このような過去の事例から、健全な経済の発展と国民の財産形成のためには、機関投資家が出資者以外の利益を優先することを規制する必要があるということです。

 

スチュワードシップ・コードの原則と導入

スチュワードシップ・コードは、次の7つの原則で構成されています。

 

スチュワードシップ・コードの原則

・受託者責任の果たし方の方針公表

・利益相反の管理に関する方針公表

・投資先企業の経営モニタリング

・受託者活動強化のタイミングと方法のガイドラインの設定

・他の投資家との協働

・議決権行使の方針と行使結果の公表

・受託者行動と議決権行使活動の定期的報告

 

スチュワードシップ・コードの導入は、2012年12月から始まった安倍内閣の政策「3本の矢」の3本目「民間投資を喚起する成長戦略」を実現するための施策のひとつです。そのため、機関投資家には企業と建設的な対話を行い、投資先企業の持続的成長を助ける責任を果たすことや、投資家(顧客)から資金を預かる受託者として、顧客の利益を追求する責任を果たすことが求められているのです。

 

スチュワードシップ・コードの影響

スチュワードシップ・コードは機関投資家に対する規範であり、直接企業に働きかけるものではありません。コーポレート・ガバナンスを確立できるかどうかは、最終的に企業の対応次第です。そのため、変化には時間がかかりますし、現時点では大きな変化は見られていない印象もあります。

 

それでも、日本版スチュワードシップ・コードが導入された意味は大きく、機関投資家の行動は変わりつつあります。特に、「受託者責任の果たし方の方針」「利益相反の管理に関する方針」「議決権行使の方針と行使結果」などの公表が義務付けられたことで、どういう事例があるのかも含めて開示されるようになりました。また、一番重要な点である、機関投資家と企業の対話は、明らかに増えているようです。

 

一方、スチュワードシップ・コードの問題点も指摘されています。例えば「パッシブ運用を行うため1,000社以上の株式を持っている機関投資家は、個々の企業と十分な対話を行い、議決権を行使することは事実上不可能ではないか」といった点です。ですが、そのような機関投資家も、「3期連続で赤字なら、取締役の再任には反対する」といった一定のルールを設けることで、企業側が「株を持ち続けてもらうためには、このような改革が必要だ」と考えるきっかけとなる可能性はあるでしょう。

今後の展望

ご紹介したように、スチュワードシップ・コード導入の影響は、現在は限定的かもしれません。しかし、企業との対話に特化したエンゲージメント投資によって成長した企業が経済をけん引するようになれば、一気に状況が変化し、経済向上に向けて活性化する可能性はあります。

ですが、企業側からすれば情報公開・機関投資家との対話はコストがかかりますので、どのようなペースでスチュワードシップ・コードが浸透するかは、今後の展開次第です。

 

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