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銀行規制の強化がもたらす新たな投資機会

 

Jorgen Kjaersgaard .jpg

ヨーゲン・ヤースガード(写真)
アライアンス・バーンスタイン・リミテッド 
欧州クレジット・ポートフォリオ 責任者

スティーブ・ハッシー
アライアンス・バーンスタイン・リミテッド
金融機関クレジット・リサーチ 責任者

 



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2014年7月23日


欧州の銀行は、破たんなどの危機に陥った際に損失吸収される劣後債の新規発行を進めている。アライアンス・バーンスタインの分析では、このリスクを取れる投資家はこういった劣後債に投資することで、最近のリターンが低い社債に投資するよりも高いリターンを得ることができると考える。

このような劣後債はバーゼルⅢにおける新しい自己資本規制に対応して発行された。これは、2008年の世界的金融危機時に銀行を救済したのは主に納税者であって、債券保有者はほぼ損失を免れた事実を教訓にしている。この劣後債は銀行の自己資本比率が一定の水準を下回った場合、株式に変換するか、または弁済を完全に免れることで損失を吸収することを目的としている。

つまり債券保有者は2008年の金融危機時とは異なり、損失の一部を負担することになる。これにより、理論上銀行は危機に直面しても運営を継続することができ、同時に金融システムの安定も保てるはずである。
このような劣後債市場はまだ初期段階にあるが、今後大きく成長する可能性がある。


供給は急増する見込み          

アライアンス・バーンスタインでは、銀行が危機に陥った際に最初に元本毀損リスクが生じるAT1債(その他Tier1債)に最も投資妙味があると見ている。またAT1債と同様、事前に定めたトリガーを下回った場合に株式に変換されるTier2偶発転換社債(Tier2 CoCo債)も魅力的である。Tier2 CoCo債には償還期日が定められており、一方でAT1債は永久債だが、発行体が債券を買い取ることのできるコール・オプションが付いている。

欧州銀行は現時点で310億米ドル規模のTier2 CoCo債および500億米ドル規模のAT1債を発行している。欧州銀行がこれらの債券の発行を増大していけば、世界におけるシェアも大きくなると言える(図表1) 。

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このような劣後債は全ての投資家のニーズを満たすものではないが、その利回りはリスクに見合うものであるように思える。BB格の欧州AT1債の平均利回りは6%で同格のハイイールド社債を上回っており、CCC格のジャンク債と同水準となっている(図表2)。
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銀行の財務健全性に関する見通しは改善           

リスクを評価するには、アナリストが予想する潜在的な損失を検討することが挙げられる。銀行がデフォルトした場合、投資家は、強制的な損失吸収条項や株式転換条項により、従来の社債を保有していた場合よりも大きな損失を被る可能性がある。しかし、アライアンス・バーンスタインのリサーチでは、銀行がデフォルトする可能性は低下してきていることが分かった。

デフォルトが起こりにくくなっている理由の一つとして、銀行は金融危機以来バランスシートのリスクを軽減しており、損失に備えて自己資本比率を高めてきていることが挙げられる。

加えて、欧州中央銀行は量的金融緩和政策を続行し、また銀行が経営難に直面した際に低コストでの資金調達を可能にする体制を整えることで、間接的に銀行を支援している。しかし、ユーロ圏の経済は回復し始めており、欧州の全ての銀行が危機に陥る可能性は低いと考える。


ボラティリティには注意が必要

当然リスクも存在する。2013年にオランダの銀行SNSレアールが国有化された際は、株主と同様に劣後債保有者も損失を被った。またオーストリアのハイポ・アルプ・アドリア銀行でも債券保有者に損失を強いることが検討されている。これらは、なかには破たんする銀行もあることを示唆している。

また、銀行がAT1債のクーポン支払いを先延ばしにする前に、規制機関は措置を講じるにあたって、自己資本比率が事前に定めた水準まで下がるのを待つ必要はないことも、頭に入れておく必要がある。規制機関は銀行が問題を抱えていると気付いた時点で自らアクションを起こすことができる。市場がこのリスクを織込済みかどうかは不明である。このリスクから得られる利益は相対的に魅力的ではあるものの、一つのリスクとして認識されるべきであろう。

さらに当市場における現時点での最大の保有者はハイイールド債券ファンドとなっており、続いてヘッジファンド、富裕層向けファンドとなっている。しかしこれらのファンドによって急速に流入した資金は、同じように急速に流出するかもしれない。したがって、保険会社やその他の大規模な機関投資家が長期保有を目的として安定的に購入するようになるまでは、変動の激しい売買が続くと考えられる。


注意深い銘柄選択がカギ      

各銀行の信用力を徹底的に調査する投資家にとっては、劣後債市場には魅力的な投資機会が存在すると思われる。現在のクレジット市場はスプレッドがタイト化しているため、我々はリテール業務中心の銀行が発行するAT1債を選好している。その理由は、リテール銀行はボラティリティが低いビジネスモデルを有しており、商業銀行や投資銀行と比べて資本保全バッファーを失う可能性が相対的に低いからだ。しかし、今後スプレッドが拡大すれば、商業銀行や投資銀行にも投資機会が生じる可能性もある。

現在のように利回りが低い環境において多少の変動を許容できる投資家には、この種の証券に投資することでリターンを改善する可能性が十分にある。


 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

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当資料は、2014年7月11日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。アライアンス・バーンスタインはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。上記の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。
 

 

 

 

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