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エマージング株式市場への投資タイミング

 

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大矢 卓司

アライアンス・バーンスタイン株式会社
株式運用調査部 シニア・ポートフォリオ・マネジャー




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2014年8月6日


エマージング株式市場の先進国株式市場に対するパフォーマンスは、ほぼ拮抗していた2012年をはさみ3年以上も低迷が続いているが、この春頃からようやく底打ちの兆候が見られる。背景としては、昨年米連邦準備制度理事会(FRB)が量的緩和縮小(テーパリング)を開始したことによって広がったエマージング市場からの資金流出懸念が一巡したことや、輸出先である先進国の景気回復がより力強さを増してきたことなどがあるだろう。

しかし、中国でのシャドーバンキング問題や年初からのロシア・ウクライナ情勢、アルゼンチンの通貨不安、イラクの政情混乱など、依然として不安材料には事欠かない。また、トルコや南アフリカなど外国資本への依存度が高い経常赤字国の脆弱性が投資家に再認識されたこともあり、エマージング株式への本格投資やアロケーション引上げを躊躇している投資家も多くいるのではないだろうか。

市場では、エマージング株式のバリュエーションが絶対で見ても相対で見ても非常に割安な水準であるとして、買い推奨するリサーチも多くでてきている。しかし、そう指摘されながら、かなり長期間アンダーパフォームが続いてきたし、割安状況を持続させると思われる材料も多い。

では、エマージング株式への投資では、何を考慮すべきなのか?
言うまでもなく、長期的な高成長は魅力的であるが、先進国株式以上に注意すべきリスク要因が多い。具体的には、1)マクロ経済リスク(先進国経済への依存度を含む)、2)政治社会リスク、3)流動性リスク、4)通貨リスク、5)企業のガバナンス・リスク、6)コモディティ価格、7)投資家のリスク許容度などである。そして、各国市場の規模や厚み、海外投資家への依存度を考えると、こうしたリスク要因は全て先進国との相対的な変化で捉えることが必要で、エマージング株式投資には多岐にわたる調査分析とエネルギーを要することがわかる。


EPSのトレンドがカギ

しかし、簡便な方法でパフォーマンスの転換点、つまり投資タイミングを確認できないだろうか。実は、エマージング市場と先進国市場の相対株価と相対EPS(一株当たり利益率)のトレンドを見ると、この2つは綺麗に連動している(図表1)。つまり、上記のように多くの変数があるにも関わらず、全体として見れば利益トレンドの説明力がもっとも高く、極めてストレートな結果と言える。

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では、このEPSトレンドの転換をどう捉えるか。景気先行指標であるPMI(購買担当者景況指数)で、エマージング市場と先進国の相対トレンドを見てみた(図表2)。すると、ここ数ヶ月の動きからは、エマージング市場の利益トレンドが先進国のそれを下回り続ける可能性は低下し、エマージング市場のアンダーパフォーム・トレンドは終息したように見える。

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ただし、2009年から2010年に見られたアウトパフォーム時期と比較すると、今回はその強さやパターンは相当に異なる可能性が高い。理由は、第1に先進国との利益成長格差があまりないこと。第2に、時価ウェイトの高い主要国間の利益成長格差が大きいことである(図表3)。このため、現在の投資環境は、エマージング市場全体の上昇を捉えるというより、個々の市場や個別銘柄を選別するアクティブな投資スタイルがより有効な状況であると考えられる。

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