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大規模な株価調整が今すぐ起こる可能性は?

 

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ヴァディーム・ズロトニコフ

アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
チーフ・マーケット・ストラテジスト 兼
マルチアセット・ソリューション部門共同責任者 兼
システマチック/インデックス戦略最高投資責任者



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2014年10月1日

米国株式市場がいつ調整局面を迎えてもおかしくないと思っている投資家は多い。米国株の上昇局面があまりにも長く続き、FRB(連邦準備制度理事会)もなかなか金融緩和政策を終了できずにいるため、行き過ぎが生じていると考えているのだ。こうした見方が広がっていることは、大幅な株価調整が差し迫っていることを示唆しているのだろうか? アライアンス・バーンスタインでは、そのような調整は今すぐには起こらないと見ている。

S&P 500指数を見てみると、1927年以降、1年で15%以上調整した局面が16回存在する。こうした調整は株価急騰の直後に起こっており、足下の株価上昇はこうしたパターン動向と重なっているように見える。あまりにも楽観的な見方が広がると、市場は下落に転じるという経験則が当てはまりそうだというわけだ。

2007年の市場下落などの過去を振り返ると、株価調整は市場の慢心が引き起こすと言われるが、実はこれは実証されていない。世界金融危機以前のボラティリティと資産価格の相関性—つまりリスクの「価格」—は過去平均とほぼ同等であった。むろん、市場の慢心が株価調整の原因でないにしても、注意は必要である。過去を振り返って言えることは、低コストの資金が潤沢に存在する時は、合理的と思われるよりも長期にわたり資産価格が上昇し続けることがあるということだ。現在の市場環境においては、過剰な流動性やリスクの過小評価により過熱した領域を回避することが重要である。


長期的な視点    

1950年以降、ほぼ全ての景気後退期はイールド・カーブがフラットまたは逆イールドとなった後に起こっている。また、ほとんどの株価調整局面もイールド・カーブがフラット化したあとに生じている。これに対し、現在のイールド・カーブは、過去の水準と比較すると非常にスティープな状態にある。とはいえ、足下で起こっているフラット化は、FRBの金融政策の正常化が後手に回っており、いずれ生じる流動性の低下により経済成長が鈍化するとの懸念が反映されている。ただ、結局重要なのはタイミングである。通常、利上げ局面の初期段階では株式市場は上昇することが多く、金利上昇が将来の経済成長を鈍化させるとの認識が広がってから市場は下落に転じる。また、金利が非常に低い水準から上昇する時に、株式市場は最も力強いリターンを実現している (図表1)。
 

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企業業績やバリュエーションは株価調整を示唆するだろうか? 意外にも、1950年以降の市場調整局面のうち、EPS(1株当たり利益)が下落していたのは半分程度にすぎない。多くの投資家の見方は2000-2001年や2008年に起こった株価調整の経験に基づいているため、これはかなり実感と異なるデータである。しかし、こうした最近の調整は景気後退期に起こったものであり、当時の収益悪化の度合いはかなり極端であった。

バリュエーションについてはどうだろうか。市場の調整が起こる直前の株価収益率(PER)は高めであることが多く(過去平均は18.3倍)、今年7月末の値(17.9倍)がこれに近い水準であったことから、懸念が生じる原因となった。しかし、他の主要なバリュエーション指標は、調整を示唆していない。例えば、現在の株式の益回りと債券の利回りの差は3%で、過去の調整直前の平均値である-0.3%よりはるかに高い。長期金利が非常に低いことを考えると、株式のバリュエーションはそれほど割高ではないという意見が多く聞かれるが、このデータはそれを裏付けている。
 

予測性はあるのか?

重要なのは、企業業績やバリュエーションによって市場の調整を説明できるかどうかではなく、予測できるかどうかということだ。つまり、投資判断を行うにあたり、大幅な株価上昇、イールド・カーブのフラット化、高水準のバリュエーション、または収益予想の低下といった要素のみに基づいて判断することは正しいのか、ということである。ほとんどの場合、正しいとは言えない。

これらの指標に基づくと、実際よりも頻繁に市場の調整が予測されてしまう(図表2)。特に、収益成長と市場のパフォーマンスの相関が低いことは、たいへん意外に思われるかもしれない。S&P 500指数の今後3-5年の収益成長を完全に正確に予測できたとしても、リターンの予想には繋がらないのだ。このことや、アライアンス・バーンスタインが行ってきた他の分析の結果を考慮すると、収益は株式市場の動向を決定づけるものではないという意外な結論に達する。
 

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再び現在の市況に目を向けると、収益成長や利益率が2015年に低下することにより市場が下落すると憶測することは可能だが、過剰な雇用や設備投資、あるいは企業買収やIPO(新規株式公開)の過熱といった、循環的な行き過ぎの兆候はまだ見受けられない。これらは今後起こると思われるが、今すぐではない。また、収益予想の下方修正が相次ぐ兆しも見られず、ファンダメンタルズは欧州を除く大半の地域で安定または改善している。
 

注意深いエクスポージャー管理を

大規模な株価調整が起こるのは、イールド・カーブのフラット化がさらに進行するか、企業の行動により明確な過剰性が見られるようになった時だと考えている。しかし、もちろん、市場センチメントの変化や成長サイクルにおける成長の質的変化などによって5-10%程度の緩やかな調整が起こる可能性はある。

過去の例を見ると、こうした市場の変化期には、それまで人気の集中していた投資対象が最も影響を受ける。2000-2001年に起こった米国ITバブル崩壊が端的な例である。2008年以降に新興国株式へと押し寄せた投資家が、米国の量的緩和解除を前にあわてて引き揚げたのも同様である。直近では、過剰な買い持ちポジションがたまっていたニュージーランド・ドルが、7月24日のニュージーランド準備銀行による為替介入や口先介入を受けてアンダーパフォームしている。

過熱した銘柄を完全に避けることで、市場センチメントに変化が生じても痛みを伴わないような投資を目指す方法もあるが、そのような銘柄に全く投資しないことによってリスク回避を行うことは、投資家にとって最善の方法ではないと思われる。代替案としては、そういった銘柄へのエクスポージャーを選別的に減らすか、またはプット・オプションを用いることでヘッジする方法が挙げられる。現在過熱気味と思われるセクターは、米国株式や日本株式における一般消費財、金融、ヘルスケア、また、新興国株式や高利回り株式などであると考えられる。また、株式のベータ・エクスポージャーの継続的な分散についても考慮する必要があると思われる。


 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

http://blog.alliancebernstein.com/index.php/2014/08/20/is-a-big-equity-correction-imminent-not-yet/

 

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当資料は、2014年8月20日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。アライアンス・バーンスタインはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。


 

 

 

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