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債券市場の流動性低下に対処する5つの方法

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ダグラス・ピーブルズ
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
債券部門 最高投資責任者(CIO)兼ヘッド

 

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2014年11月4日


債券投資家にとって金利リスクや信用リスクの管理はもはや当然のものとなっているが、世界金融危機を経験してからは、流動性リスクの管理が同様に重要になる時があることも知られるようになった。我々は、今まさにそうした局面にある。

なぜ現在の債券市場では流動性リスクがここまで広がったのであろうか?

流動性リスクが重要になった理由は、単純に言えば流動性が大幅に減少してしまったということに尽きる。規制強化によって銀行はリスク資産に対する自己資本の比率を引き上げざるを得なくなり、分子である自己資本を拡充するとともに分母である社債などの資産を削減するようになった。その結果、市場に売り手が現れたときにその取引相手となるマーケット・メーカーとしての役割を果たせなくなっているのだ。

流動性を巡るこうした変化は、足元におけるハイイールド債やバンクローンの下落を拡大させたと考えられる。来年に予想される米連邦準備制度理事会(FRB)による金融政策引締めによってどの程度市場金利が上昇するのかは不明だが、金利が上昇することはほぼ間違いないと考えられ、その結果債券に対する売り圧力は強まるだろう。最悪の場合、債券の売却注文が殺到し、速やかに取引ができない投資家が出てくる可能性もある。

しかし、プラス面に目を向けると、流動性リスクは管理可能と考えられるし、また投資ホライゾンによっては魅力的な投資機会にもなり得る。例えば、あるセクターの流動性が低下した時、別のセクターでは流動性が高まっている可能性がある。流動性を適切に管理することで、リターンの源泉を増やすことにもなり得るのだ。

以下に、流動性をうまく活用するための5つの方法を示す。


1) 複数のセクターに目を向ける

流動性は一時的なものであり、セクターによって影響の表れ方が異なる。例えばハイイールド債やエマージング債といった単一のセクターにのみ投資していた場合、そのセクターの流動性が干上がった時に投資家は身動きがとれなくなる可能性がある。アライアンス・バーンスタインでは、幅広いセクターを対象に柔軟な資産配分を行える機動的なマルチセクター・アプローチを採用することが、特定のセクターの流動性枯渇への備えとなると考えている(次ページの図表)。

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2) キャッシュとデリバティブを活用する

FRBがリスクフリー金利の低下を後押ししたため、この6年間、キャッシュ比率を高く保つことはポートフォリオのリターン向上につながらなかった。しかし、流動性が低い環境でファンド等の顧客による償還請求に対応するためには、キャッシュが非常に有用であった。このため、モーニングスターによると、米国のミューチュアル・ファンドは2014年8月末時点で平均9%のキャッシュを保有していた。これと比較すると、世界金融危機の最中にあった2008年12月時点の平均キャッシュ比率はわずか1.6%に過ぎず、当時の投資家は流動性低下への備えが不十分であった。キャッシュがパフォーマンスを低下させないようにするには、デリバティブ市場に目を向けて合成証券へのエクスポージャーを追加することができる。デリバティブ市場は流動性が高いことも多く、投資家に新たな流動性の源泉を提供する。


3) 市場に精通した有能なトレーダーを探す

従来、資産運用会社のトレーダーの役割は主に注文を執行することであったが、銀行の債券取引業務が縮小するにつれて、そうしたトレーダーの役割が増してきている。流動性の源泉を首尾よく見つけ出し、その変化が生み出す投資機会を巧みに利用できるトレーダーこそ、最良のトレーダーと言える。従来からトレーダーがより積極的な役割を担ってきた資産運用会社は、流動性リスクのより効率的な管理に関して有利であると考えられる。


4) 投資ホライズンを柔軟に調整する

流動性の低下がトレーディング環境の柔軟性を低下させている場合、投資ホライゾンに着目することも重要である。流動性が潤沢な場合は、投資テーマ達成時の売却は容易であるが、現在の債券市場では、いつでも十分な流動性が存在すると見なすべきではない。したがって、あらゆる投資の可能性を入念に調査することが重要であると考える。例えば、債券の分析を行う際は「満期までの保有」を含めた複数の投資ホライズンを考慮に入れるべきである。もし現在の市場環境では満期まで保有すると魅力的なリターンを得られないのであれば、その証券には投資しない方が良いかもしれない。


5)プライベート・クレジット市場を活用して選別的な投資を行う

これは「希望の兆し」とも言えよう。流動性の低下を招いている規制強化や自己資本規制の厳格化は、同時にプライベート・クレジット市場における投資機会をもたらしている。例えば、銀行による居住用/商業用不動産ローンの組成や中堅企業向け貸出の減少によって、資産運用会社の役割が増している。プライベート・クレジット資産の平均的な利回りは、当然のことながらその流動性の低さにより、伝統的な債券と比べてかなり高い。しかし、債券市場全体で流動性が疑わしくなっているため、こうした資産の上乗せ利回りは魅力度が高まっていると言える。特に投資ホライズンが長い投資家は、こういった「流動性の低さがもたらすプレミアム」の活用を視野に入れることが有益かもしれない。

市場の流動性が低下する中、こうしたアプローチを検討してみることが運用の効率改善に資すると考えている。





当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。 

http://blog.alliancebernstein.com/index.php/2014/10/13/five-ways-to-keep-out-of-the-bond-liquidity-trap/

 

本文中の見解はリサーチ、投資助言、売買推奨ではなく、必ずしもアライアンス・バーンスタイン・ポートフォリオ運用チームの見解とは限りません。本文中で言及した資産クラスの過去のパフォーマンスは将来の運用成果等を示唆・保証するものではありません。
当資料は、2014年10月13日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。アライアンス・バーンスタインはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。

 

 

 

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