AllianceBernstein アライアンス・バーンスタイン株式会社

knowledge openspace 知の広場

knowledge openspace 知の広場

新興国債券投資 ~高成長の終焉が長期的な投資リターンを底上げ~

NMurakami.jpg

 

 

村上 尚己

マーケット・ストラテジスト

 

PDF版をご希望の方はこちら pdf

2014年11月20日



2014年も年末に近づきつつあるが、今年の債券投資パフォーマンスを振り返ると、新興国債券投資のリターンが堅調だった(図表1)。年初に新興国への懸念が高まった時こそ新興国通貨や株債券への売りが広がったが、春先に金融市場が落ち着くと、新興国通貨も上昇し新興国債券スプレッドも縮小、新興国への資金フローも流入に転じた。


Chart1.jpg

2014年の世界経済は米国頼みで、それ以外の多くの国が景気減速した。欧州のデフレ懸念が最も重要なテーマになったが、その背景には新興国経済の減速や、ロシア発の地政学リスクの高まりも影響した。こうした中で、米連邦準備制度理事会(FRB)の量的金融緩和縮小が続き、中東欧だけではなく中南米経済も減速が続くなど、新興国投資へのリスクがより意識されてもおかしくない年だった。

ただそれでも「リスク資産」と認識されている新興国株は、先行国とそん色ないパフォーマンスとなりそうだ。そして、冒頭で説明したように新興国債券投資のリターンが高い状況となりそうだが、これをどう考えればよいだろうか?

一つの解釈は、2013年5月のバーナンキ前FRB議長が量的金融緩和を示唆した時に浮上した、新興国を巡るマネーフローの逆回転に対する思惑で新興国資産が極端に売られたが、それが過度な悲観による売られ過ぎだったという考えだ。その反動で2014年は新興国への資金流入に転じたというわけだ。テーパリングを開始したFRBによる出口戦略が極めて慎重に行われ、資金フローの変動に伴う新興国投資の懸念が和らいだ、という理解である。

この解釈に基づくと、今後の新興国債券投資のパフォーマンスは、FRBの出口戦略とそれに対する市場参加者の思惑次第となる。2014年10月末にFRBは量的金融緩和政策を終了させたが、2015年に予想される利上げ開始とそれに伴う市場の思惑が再び揺れ動けば、2013年のように新興国資産に厳しい場面が訪れるかもしれない。

多くの投資家がこの点を依然意識していると思われるが、筆者はこの点については、大きなリスクにならないと考えている。一方、2014年に新興国債券投資のリターンが高まったもう一つの要因が、より重要だと考えている。

それは新興国経済の、すう勢的な経済成長率が長期的に低下する局面に入ったことがもたらす変化である。リーマンショック以前は、中国が年10%前後の高成長を謳歌していたが、所得水準が高まった同国は既に中成長国に変わりつつある。同様に多くの新興国が10年前のような高成長を保つことが難しくなり、すう勢的に経済成長率が低下する局面に入っていることである(図表2)。

Chart2.jpg


この認識が正しければ、新興国全般の名目長期金利水準が低下する、長期トレンドに入っていることを意味する。債券投資である限り、経済成長率やインフレ率というファンダメンタルズが債券投資のリターンを決定づける。実質経済成長率の低下とインフレ鎮静化が長期間続けば、米ドル建ての新興国債券投資リターンが底上げされる長期的なフェーズに入ったと言えるということだ。

新興国債券投資については、政治リスク、そして先進国の金融政策によるマネーフローの動きに基づいた視点で議論されることが多い。また、新興国の対外収支や公的債務の持続性などから、潜在的リスクについても議論される。そのうえで、米国金利とのスプレッドとして観察されるリスクプレミアムの動きが強く意識されている。

筆者が重視したいのは、そうした視点よりもより俯瞰的な、新興国経済全体が、成熟化した先進国に近づくというすう勢的な成長率減速が、新興国の名目長期金利の低下をもたらす大きな変化である。それを前提に新興国債券に投資するという発想が重要ということだ。金利水準がすう勢的に低下する国の債券投資は、先進国よりも高いクーポンに加えて、債券価格が上昇し続ける余地が大きいという意味で投資妙味が高まる。

実際に、リーマンショック以降の世界的な景気回復局面が続いているが、一方で、中国をはじめ新興各国の成長率は減速しており、リーマンショック以前のような高成長によって世界経済全体を牽引する状況には戻っていない。そして、2014年は米国経済が堅調さを保ち、そのおかげでアジアなど新興国の経済の回復が支えられた。

冒頭で説明したように、2014年の新興国の債券、社債投資のリターンが高まったのは、実は新興国経済の成長率が低下、もっといえば先進国に近い経済成長率まで緩やかに収れんするというすう勢的な動きが実は始まっており、この大きな動きが新興国債券投資のリターンを高める最初の年が2014年だったかもしれないということだ。

2015年にかけてFRBが政策金利引き上げを始める一方で、欧州、日本では超金融緩和政策が長期化する中で、世界的に低インフレ、低金利が長期化する可能性がある。今後、投資家による、「利回り」に対する需要が更に強まる中で、新興国債券が重要な投資先として存在感が更に強まるのではないだろうか。






当資料は、2014年11月10日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン株式会社が作成した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また当資料の記載内容、データ等は今後予告なしに変更することがあります。アライアンス・バーンスタインはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。

 


 

 

 

当資料についてのご意見、コメント、お問い合せ等はjpmarcom@alliancebernstein.comまでお寄せください。

運用サービス

  • 債券
  • 株式
  • マルチアセット
  • オルタナティブ
  • リスク抑制
  • リターン追求
  • 更なる分散

アライアンス・バーンスタイン株式会社

金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第303号 
【加入協会】一般社団法人投資信託協会/一般社団法人日本投資顧問業協会/日本証券業協会/一般社団法人第二種金融商品取引業協会
http://www.alliancebernstein.co.jp

 当資料についての重要情報

当資料は、投資判断のご参考となる情報提供を目的としており勧誘を目的としたものではありません。特定の投資信託の取得をご希望の場合には、販売会社において投資信託説明書(交付目論見書)をお渡ししますので、必ず詳細をご確認のうえ、投資に関する最終決定はご自身で判断なさるようお願いします。以下の内容は、投資信託をお申込みされる際に、投資家の皆様に、ご確認いただきたい事項としてお知らせするものです。

投資信託のリスクについて
アライアンス・バーンスタイン株式会社の設定・運用する投資信託は、株式・債券等の値動きのある金融商品等に投資します(外貨建資産には為替変動リスクもあります。)ので、基準価額は変動し、投資元本を割り込むことがあります。したがって、元金が保証されているものではありません。投資信託の運用による損益は、全て投資者の皆様に帰属します。投資信託は預貯金と異なります。リスクの要因については、各投資信託が投資する金融商品等により異なりますので、お申込みにあたっては、各投資信託の投資信託説明書(交付目論見書)、契約締結前交付書面等をご覧ください。


お客様にご負担いただく費用:投資信託のご購入時や運用期間中には以下の費用がかかります
● 申込時に直接ご負担いただく費用 …申込手数料 上限3.3%(税抜3.0%)です。
● 換金時に直接ご負担いただく費用…信託財産留保金 上限0.5%です。
● 保有期間に間接的にご負担いただく費用…信託報酬 上限2.068%(税抜1.880%)です。

その他費用:上記以外に保有期間に応じてご負担いただく費用があります。投資信託説明書(交付目論見書)、契約締結前交付書面等でご確認ください。

上記に記載しているリスクや費用項目につきましては、一般的な投資信託を想定しております。費用の料率につきましては、アライアンス・バーンスタイン株式会社が運用する全ての投資信託のうち、徴収するそれぞれの費用における最高の料率を記載しております。

ご注意

アライアンス・バーンスタイン株式会社の運用戦略や商品は、値動きのある金融商品等を投資対象として運用を行いますので、運用ポートフォリオの運用実績は、組入れられた金融商品等の値動きの変化による影響を受けます。また、金融商品取引業者等と取引を行うため、その業務または財産の状況の変化による影響も受けます。デリバティブ取引を行う場合は、これらの影響により保証金を超過する損失が発生する可能性があります。資産の価値の減少を含むリスクはお客様に帰属します。したがって、元金および利回りのいずれも保証されているものではありません。運用戦略や商品によって投資対象資産の種類や投資制限、取引市場、投資対象国等が異なることから、リスクの内容や性質が異なります。また、ご投資に伴う運用報酬や保有期間中に間接的にご負担いただく費用、その他費用等及びその合計額も異なりますので、その金額をあらかじめ表示することができません。上記の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。

戻る