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BRICsブーム終焉で重要性が高まる新興国投資の判断力

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村上 尚己

マーケット・ストラテジスト

 

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2015年3月19日


ゼロ成長でインフレ高進に直面するブラジル
 

ブラジル中央銀行は3月4日の金融政策委員会で政策金利を50ベーシス・ポイント引き上げて12.75%に変更、3回連続で政策金利を引き上げた。ブラジルでは景気低迷が続く中でインフレ圧力が依然高いため、中銀はインフレ抑制のための利上げを続けている。2000年代にはBRICsの一角を占めて高成長を謳歌し、2016年のオリンピック開催を控える同国だが、リーマンショック以降世界経済が回復を辿る中で経済状況の悪化が著しい。

同国は、2014年後半から成長率がゼロ近傍まで落ち込んでいるのに、なおインフレ加速に直面している。現在起きているインフレ上昇と同時に起きる景気減速の原因は、総需要側ではなく総供給側の問題に求められる。ワールドカップやオリンピックの開催に備え、2010年以降インフラ投資などが拡大したが、それらを含めた財政支出拡大が資源配分の歪みを引き起こしたとみられる。

つまり、金融政策を中心とした経済安定化策の不出来の問題よりも、民間市場に対する政府部門の行き過ぎた介入が、経済成長率低下を引き起こした面が大きいと考えられる。ルセフ大統領による所得分配政策も、資源配分の歪みをもたらしたと指摘する声もある。このため、同国の成長改善をもたらすのは、非効率で過剰な政府投資の抑制を通じて政府部門の肥大化に歯止めをかけることである。

第2次ルセフ政権において2015年初に新たに財務大臣に就任したレビィ氏は、この点を十分理解しているとみられる。アライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)のエコノミストが、この2月にNYにおいてレビィ氏から直接話を聞く機会があったが、そうしたレビィ氏の認識が確認された。具体的には、2015年からのプライマリバランスの改善に数字目標を掲げ、その実現を見据え政策運営を行う意志は固い。

ただABエコノミストは、レビィ氏が目指す財政支出抑制などの改革が実現するという楽観シナリオに対する過度な期待は難しいと判断している。レビィ氏以外のルセフ大統領を含めた政権メンバーが、現在の経済問題について十分理解しているか不透明なことが 、一つの理由である。


金融緩和にかなり積極的なインド

一方、ブラジルは現在多くの新興諸国の中でも特別な位置付けにある。他の新興各国においては、2014年末からの原油価格急落をきっかけに、インフレ率が低下しており、金融政策が緩和方向に大きくシフトしているからだ。特に、BRICsの中で中国の次に注目を集めたインドにおいて、ラジャン氏率いるインド準備銀行(中央銀行)の金融緩和姿勢が鮮明になっている。

3月4日に、インド中銀は定例の会合と異なるタイミングで、2回目の緊急利下げに踏み出した。声明文においては、「ディスインフレが進むピッチが想定よりも早い」ことを理由に挙げている。あえて定例会合ではない日に金融緩和に踏み出したことについて、市場の見方は様々だ。インド政府の新年度予算案公表とタイミングを合わせたのであれば、財政政策と整合をとることで景気刺激策としての金融緩和効果を強める意図があったのかもしれない。

あるいは、将来ディスインフレが続く事態を「予防する」ために、「先を見据えた政策判断」を重視している可能性もある。いずれにしても、インフレ目標を明確に定めるなど、経済学者であるラジャン氏が2013年9月に中銀総裁に就任してから、モディ新政権の誕生を挟んで、停滞が続く新興国の中でインド株やインド通貨のパフォーマンスは相対的に底堅い(図表)。


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BRICsブームの終焉と新興国投資の目利き

筆者がかつて米系証券会社で勤務していた時、当時の同僚らが新興5カ国をBRICsと称して、これらの国々の分析に力を入れていた。因果関係はともかく、彼らがこれらの国々に注力して分析し始めた時期は、BRICs諸国はいずれも高成長を謳歌した。

ウクライナを巡り2013年から欧米諸国と対立しているロシアは、かつてはBRICsの一角を占めていたが、今や経済は深刻な減速を余儀なくされている。1990年代後半のロシア国債のデフォルトと同様の混乱を想定する見解が浮上するほど(ABエコノミストは1990年代後半と現在は異なる点が多いと認識)、かつてのブーム期の頃と比べて 同国は様変わりした。

2014年に、ウクライナ情勢の緊迫化や原油価格急落が市場の大きなテーマになったため、BRICsブーム終焉の象徴としてロシアに関心が意識されている。ただ、それ以外の国についても、BRICsブーム終焉によって、先に紹介したインドとブラジルのように成長率・インフレ率のパフォーマンス格差が広がっている。そして各国経済状況、それぞれが直面する課題も異なっている。

2日3日の知の広場「新興国経済の成熟化がもたらす債券市場の構造変化」では、2015年に新興国経済減速が続く中で新興国債券リターンが高まり、債券投資家にとっての新興投資の重要性が一段と高まる可能性について述べた。BRICsブーム終焉でより鮮明化しつつある新興各国経済のバラツキは、新興国投資の目利きがかつてよりも重要になっていることを示している。

 






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