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日銀のインフレ目標、実現はまだ先

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ガイ・ブルーテン
アライアンス・バーンスタイン・オーストラリア・リミテッド
アジア太平洋シニア・エコノミスト


 

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2015年3月27日


今後3カ月くらいで、日本の消費者物価の下落は誰の目にも明らかになりそうだ。その結果、「アベノミクス」は失敗だったと結論付ける声が出るのは間違いないだろう。しかしながら、実体はそれほど単純なものではなく、コア・インフレ率の持続的な上昇トレンドに沿ったものと考えるべきであろう。

 

デフレに逆戻り?

日本の総合ベースのインフレ率は過去2-3年にわたり、大きな変動を繰り返してきた。

日本銀行の黒田東彦総裁が2013年4月に「質的・量的緩和(QQE)」プログラムに着手する前は、年間のインフレ率はマイナス0.5%前後で推移しており、デフレが構造的に定着しているとの認識であった。

しかし、日銀が「黒田バズーカ」による量的緩和に踏み切って以来、インフレ率は急速に上昇した。当初はエネルギー価格の上昇、2011年3月の東日本大震災後の化石燃料消費の拡大、急激な円安などの相互作用がインフレ率を押し上げたが、2014年4月の消費税率引上げがインフレ率の上昇に一段と拍車をかける要因となった。

だが、それ以降はインフレ率が徐々に低下している。円安による価格への直接的な影響が薄れつつあるほか、原油価格下落による影響も現れ始めている。原油やガス価格の変動が電力料金に反映されるまでに時間がかかることを考えれば、今後もしばらくは原油安によるインフレ抑制効果が続きそうだ。しかも、2015年4月からは前年の消費税率引上げによるインフレ率押し上げ効果が剥落し、総合ベースの消費者物価指数(CPI)が前年比2.1%程度押し下げられることになる。そのため、5月か6月までには総合インフレ率がマイナス圏に逆戻りすることはほとんど避けられそうにない。日銀のインフレ目標である2%は、まだ依然として遠い先にある(図表1)。


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インフレ率は改善しつつある

しかしながら、これらの数字は、コア・インフレ率が着実に上昇しているという事実を覆い隠している。変動の大きな食品とエネルギーを除いた「コアコア」CPIは前年比0.3-0.4%増で推移しており、QQEが実施される直前の水準を0.75%ポイント程度上回っている。その改善幅は確かにわずかもしれないが、正しい方向に向かっている。しかも、物価改善は物品とサービスにバランスよく見ることができる(図表2)。
 

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サービス部門のインフレ率改善は、賃金の伸びが主因だと解釈することができる(図表3)。今後さらに上昇することもほぼ間違いない。これは労働市場がひっ迫していることや、春闘を通じて賃上げを求める政治的圧力が高まったことが背景にある。

 

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CPIを構成する「家賃」もいずれ上向き始める可能性がある。実際、住宅やオフィスなど、様々な不動産価格を測る指標の大半に着実な価格上昇を示す兆しが現れつつある(図表4)。
 

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日銀は2015年も現行政策継続か?  

需給ひっ迫を背景に賃金や資産価格の上昇が続いているという事実は、インフレ率の改善が着実に進んでいると言い張るのに十分な理由を日銀に与えている。ABの基本シナリオは、日銀は今年いっぱい年間80兆円の資産買入れペースを維持するというものである。

リスクシナリオは、インフレ目標を下げるよりは追加緩和の方にあると考えている。黒田総裁が政策委員会の一部メンバーのアドバイスに従ってインフレ目標を引き下げるつもりがないことは明らかだ。また、黒田総裁が最近のスピーチでQQEをロケット発射に例えたことは、さらなる積極的な緩和策が準備されていることを示唆したものと解釈することも可能である。

ただし、追加緩和の場合に制約要因となるのは、今よりも積極的な姿勢を示すためにQQEプログラムをどうするかということだ。ABが最近指摘したように(「Rising JGB Yields: Trend or Noise?」 Japan Perspectives 2015年2月20日付 (PDFが開きます) )、日銀による現行の国債買入れプログラムはすでに日本の国債市場に問題を引き起こしている。よって、市場では、より少額でアナウンスメント効果のありそうな株式上場投資信託(ETF)の購入やその他のリスク資産に購入対象を拡大する可能性が取りざたされている。CPIが今年半ばにかけて再びマイナスの領域に落ち込めば、そうした議論が著しく高まることが予想される。
 


 

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