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資産運用会社の合併・買収戦略(エッセイ)

 

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山本 誠一郎(写真)

アライアンス・バーンスタイン株式会社
代表取締役社長

 

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2015年6月3日

資産運用業界は栄枯盛衰の激しい業界である。欧米の資産運用業界では、1990年中頃から「ニューパラダイム論争」が起こり、生き残る資産運用会社の理想像をめぐって熱い議論が展開された。目指すべき戦略類型として大きく2つのモデルが提唱された。1つは、総合的な運用サービスを提供する「戦略的パートナーシップ・モデル」、もう1つは少数の運用商品に特化した「ベスト&ブライテスト・モデル」である。将来は超大手の運用機関かブティック系運用機関しか存続せず、中規模の運用機関はすべて消滅するという衝撃的なレポートが発表されたりもした。

その後の動きを見てみよう。ニューパラダイム論争を背景に、顧客の多様なニーズに対応するため、1990年代の終わりから2000年初めにかけて数多くの資産運用会社の合併・買収がグローバルに行われた。2000年初めのITバブルの発生と崩壊、さらに2008年のリーマン・ショックは運用会社の経営戦略に大きな影響を与えた。なかでも、ボルカー・ルール、とりわけドッド=フランク法の制定に代表される金融規制強化の影響は大きく、近年では大手コングロマリット系を中心に事業コアを資産運用業へ戦略シフトしているところも出てきている。今日の運用会社を戦略別に見た場合、大きく3つに分類できよう。

1. グローバル・ワンブランド運用機関

2. グローバル・マルチブランド運用機関

3. 地域特化型運用機関

1は、1つの企業ブランドの下、自律的な成長を目指すモデルである。運用戦略の補完目的で運用会社を買収するケースもあるが、あくまで1つのブランドを共有し、他社を自社内に取り込むモデルである。運用競争力とともに文化の共有を大事にしている。

2は、企業ブランドは1つであるが、その傘下に異なるブランドや競争力を持つ運用会社を持つモデルである。各運用戦略のオーナーシップを尊重し、徹底的に競争力を磨き上げるモデルである。1と2は、世界中に運用拠点と販売網を持ち、豊富な経営資源のレバレッジを効かせ、顧客サービスを展開するという点で共通している。

3は、特定の地域に運用や販売といった経営資源を集中させるモデルである。自由闊達で家族的な文化の下、他を圧倒する持続的な運用パフォーマンスによる差別化を図るモデルである。

かくいうアライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)の経営戦略モデルは上記1に当てはまる。ABは2000年にアライアンス・キャピタルとサンフォード・C・バーンスタインが合併してできた会社である(それぞれの運用会社としての歴史は40年以上にのぼる)。合併直後は、伝統的な運用資産クラス、伝統的な運用戦略に特化していたが、2008年以降、運用戦略が劇的に多様化している。2009年には、米国不動産チームが投資銀行から移籍、2011年には米国株式のロング・ショート戦略で著名なCaxton社から運用責任者とチームが移籍。2013年には米国集中株式に強みをもつWPS社、2014年にはグローバル・コア株式運用に強みをもつCPH社を買収。直近ではインフラ・デットやミドルマーケットに特化した債券運用チームが移籍するなど様々な運用クラスで運用戦略が多様化している。

一般論として、資産運用業界における合併・買収は成功するのが難しいと言われている。顧客の視点に立った場合、数多くの理由が指摘されている。

第一に企業文化の融合の問題

第二に運用パフォーマンスへの一時的な影響の懸念

第三に経営資源のレバレッジが効くまでの時間

第四に従業員の離職リスクの増大

実際に、組織統合前後では、社内でさまざまなプロジェクトが立ち上がる。その際、重要なことは、組織アジェンダが顧客の視点に立っているか、優先順位が明確でメンバー間で十分に共有されているか、プロジェクトの規模がマネージできる許容範囲内かなどである。過去の成功事例を紐解くと、最初から完璧を目指さず、顧客への説明責任を意識し、徐々に成功を目指す「局所成功型」のアプローチが望ましいとも言われている。

いずれにしろ、受託者責任を担っている運用会社の合併・買収戦略は、最終的に顧客に利益をもたらすものでなければならない。運用力の高度化こそが最優先の組織アジェンダでなければならない。「運用力」とは、文化、組織、人をマネージする能力と一体である。組織体に大きな変化があったとしても、どうやって優秀な運用担当者やアナリストを動機付け、価値創造につなげるか。我々運用会社の果たすべき使命は大きい。

 

 


当資料は、2015年5月26日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン株式会社が作成した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また当資料の記載内容、データ等は、今後予告なしに変更することがあります。上記の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。ABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。

 

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