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コーポレート・ガバナンスと日本の社債投資

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花井 ゆき子(写真) 

アライアンス・バーンスタイン株式会社
執行役員 債券運用調査部担当 クレジット・アナリスト


ガイ・ブルーテン
アライアンス・バーンスタイン・オーストラリア・リミテッド
アジア太平洋シニア・エコノミスト


 

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2015年8月14日

 

日本版コーポレート・ガバナンスの始動

アベノミクス第三の矢の重要施策であるコーポレート・ガバナンス(企業統治)改革の取組みとして、2015年6月にコーポレートガバナンス・コードの適用が始まった。株式投資の観点からはすでにさまざまな場所で議論がなされているが、社債投資にとってはどのような意味があるだろうか。より直接的な債務比率の変化を初め、長期的な事業戦略や資本政策の変更など、さまざまな観点から影響が予想されるので、整理してみたい。


資本効率の向上など、様々なポジティブな効果

コーポレートガバナンス・コードの基本原則は、①株主の権利・平等性の確保、②株主以外のステークホルダーとの適切な協働、③適切な情報開示と透明性の確保、④取締役会等の責務、⑤株主との対話の5つであるが、詳細には取締役の人数や買収防衛策の説明、女性の活躍促進に対する考えの開示など、かなり具体的な原則が盛り込まれている。

こうしたコーポレート・ガバナンス強化によって、健全なアクティビズム(積極的な株主関与)が発展すると、様々な効果が期待できる。その中でも注目されているものは、資本効率の向上であろう。

日本では長く続いたデフレや持合株の影響もあり、企業の現預金保有水準が高く、資本効率が悪い傾向がある。コーポレート・ガバナンス改革によって、この余剰資金が、設備投資や買収、自社株買いや増配、または賃金などに積極的に利用されれば、企業の資本効率は上昇し、マクロ面でもポジティブな効果が期待できる。結果として、企業のレバレッジ*は平均で若干上昇する可能性はあるが、「正常化する」という範囲に留まれば、社債投資家への影響は限定的であろう。

一方、社債発行企業の資金余剰は上場企業の平均と比べれば低いため、資産や事業の入替えなどによる事業再編が継続的な利益成長の鍵となる。コーポレート・ガバナンス強化によって、透明性を向上させて株主との対話を進めることで、横並びを脱しダイナミックに「変わる」ことが評価されるようになろう(図表)。

 
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レバレッジ急上昇の可能性は当面限定的

資本市場が発達している米国は、クレジット・サイクルの後期に入り、利益成長が見込めなくなると、さまざまな手法で株主価値の引き上げを狙う行動が増加する。足元の米国社債市場では自社株買いや戦略的企業買収が多く見られ、レバレッジの平均値が徐々に上昇している。このような環境下では、選別的に分散したポートフォリオをアクティブに運用していくことが、大変重要であるとアライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)では考えている(「信用サイクルの把握が債券投資にもたらすメリットとは?」ご参照)。

日本のクレジット市場でも、コーポレート・ガバナンス改革を機に自社株買いや増配をする企業は多い。ただし、こういった行動は基本的にキャッシュフローの範囲内で行われており、株主価値向上の為に、資本構成を変更する(あるいはレバレッジを上昇させる)手法はまだ広く受け入れられていない。また、日本のクレジット市場はまだクレジット・サイクルの前半期にあり、未だレバレッジの低下を優先課題としている発行体も多く、レバレッジ上昇圧力は米国よりは穏やかであろう。


アクティビズムの発展による財務戦略の多様化への期待

中長期的には、コーポレート・ガバナンス改革による健全なアクティビズムの発展によって、日本企業の財務戦略がより柔軟で多様性のあるものになっていくことが期待される。一部の産業が成熟期に到達するなか、企業にとって買収による事業ポートフォリオの変更は重要な戦略であり、その調達を支える一つの手段として、ダイナミックな社債市場が求められるだろう。戦略的買収と資本構成の変更によって継続的に株主価値を上昇させるという考え方が、企業にも投資家にも広く受け入れられるようになる可能性はある。

多様な企業の財務戦略を支える社債市場では、社債の含有する様々なリスクとリターンを、ボトムアップの信用分析、市場テクニカルズ判断、マクロ分析、資金フローと流動性動向など、色々な角度から長期的視点で検討し、相対価値の高い銘柄を機動的に選別するアクティブな社債運用が求められるだろう。

 

*レバレッジ:収益に対する負債の割合

 

 

当資料は、2015年7月6日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン株式会社が作成した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また当資料の記載内容、データ等は今後予告なしに変更することがあります。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。アライアンス・バーンスタインおよびABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社はABの日本拠点です。

 

 

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