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スマート・ベータはどのくらいスマートであるべきか?

 

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ヴァディーム・ズロトニコフ

アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
チーフ・マーケット・ストラテジスト 兼
マルチアセット・ソリューション部門共同責任者 兼
システマチック/インデックス戦略最高投資責任者


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2015年9月9日

 

スマート・ベータと呼ばれる投資手法の人気が上昇してきており、数多くの戦略が投資家に提供されている。重要なのは、スマート・ベータは意図しないリスクをどのくらい積極的に回避すべきか、ということだ。
 
根本的に、スマート・ベータ戦略では、時価総額加重平均型指数とは異なる方法でポートフォリオを構築する。同戦略では、複数銘柄のポートフォリオによりバリュー、株価モメンタム、ディフェンシブなど特定のリスク・プレミアムへのエクスポージャーを構築する。バリューを例にとると、力強いリターンを創出するであろう割安な銘柄を保有することを意味する。
 
スマート・ベータ戦略の歴史は長いが、特に注目を浴びるようになったのは2008年以降である。その理由は、運用手法の透明性と低コストに対する需要が増えてきており、また市場全体との相関度が低いポートフォリオが好まれているからだ。さらに、スマート・ベータ戦略は、株式だけでなく債券の運用にも取り入れられている。
 
スマート・ベータには数多くの運用アプローチが存在する。第三者が提供するインデックスを使い、ルールに基づいた単純なインデックス運用を行うものから(ほとんどのパッシブ・スマート・ベータがこれに該当する)、ポートフォリオの中核部分を補完する複数のリスク・プレミアムを組み合わせた、完全カスタマイズ型のアクティブ運用を行うものまで幅広い。
 
 
意図しないリスクに注意
 
投資家にとっては、コスト、流動性、透明性、意図しないリスク、有効性のすべてをバランスよく考慮したアプローチを選ぶことが理想である。しかし、それは簡単なことではない。スマート・ベータ戦略を選ぶ際は、同戦略がポートフォリオの既存のリスクを増大させる可能性があることを認識しておくべきである。
 
そのリスクを認識していないとどのような影響が及ぶのか? ここで、MSCI ワールド指数の構成銘柄を使用し、バリューと株価モメンタムのプレミアムを基準にした3つの株式スマート・ベータ戦略を比較してみよう。1つ目はシンプルな戦略で、バリューと株価モメンタムの観点から最も魅力的な株式を選ぶ。2つ目はMSCI スタイル・インデックスを用い、独自のアプローチでバリューと株価モメンタムに重点を置いたポートフォリオを構築する。そして3つ目は純粋なファクター・スマート・ベータ・ポートフォリオで、リスク・モデルを使ってセクター、スタイル、市場ベータ、その他の特性に対するリスクを最小限に抑える戦略である。
 
これら3つのスマート・ベータ戦略の相関度は、2008年以降、比較的高い水準にあったが、セクター配分の違いが主な理由となってパフォーマンスは異なるものとなった。バリューの観点で見ると、1つ目のシンプルな戦略と2つ目のスタイル・インデックスを使用した戦略は、金融セクターをオーバーウェイト、情報技術セクターをアンダーウェイトとしていたが、現在このセクター配分は、3つ目の純粋なスマート・ベータ・ポートフォリオと比較して、パフォーマンスが下回る原因の3分の2以上を占めている。
 
仮に情報技術セクターが下落し、金融セクターが回復したら、おそらく3つ目の戦略は2つ目の戦略よりパフォーマンスが劣るだろう。つまり、純粋なスマート・ベータ・ポートフォリオは、意図しないリスクを低減するために、バリューで選択した株式への集中度をいくらか犠牲にしている。株価モメンタムを重視したインデックスに基づく戦略は、バリューの影響を受けず、セクター配分あるいは国別配分の影響を大きく受ける可能性がある。スマート・ベータ戦略が持つバイアスは時とともに変化するため、共通のリスク特性が増大しないように注意深い管理が必要である。
 
 
スマート・ベータをもっとスマートに
 
共通のリスク特性の増大を避け、最大下落幅を抑える方法として、マクロ経済の変化にしたがって異なるファクターのパフォーマンスがどのように変化するかをきちんと認識することが挙げられる(図表1)。
 

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利回りが低下し、ボラティリティが上昇する環境を考えてみよう。この状況は経済が混乱して安全資産への逃避が起こるシナリオと一致する。この環境で良好なパフォーマンスをあげることが予想されるのは、デュレーションと連動する戦略(割安度の高い債券など)、ディフェンス型(利益率の高い株式など)、市場のけん引役の変化に素早く適応するもの(株価モメンタム・ファクター)である。
 
リスク・プレミアムの有効性はマクロ経済環境に応じて変化するため、スマート・ベータ戦略のパフォーマンスを強化するには、戦術的な資産配分が必要となる。長期的には各リスク・プレミアムのリスク調整後リターンはある程度似ているものの、パフォーマンスの動きは異なるため、リスクを各ファクターに均等に配分したポートフォリオを構築することが可能である。その上で、バリュエーションやビジネス・サイクルが変化するのにしたがい、より魅力的なファクターにリスクを積極的に配分できる。
 
 
まとめ:投資機会を見極める
 
どのファクターが魅力的かを特定する最善の方法は、総合的な分析を行うことだとABでは考える。その分析では、パフォーマンス上昇の可能性に関する計量的な評価、マクロ経済環境の評価、そして最後に判断を行う必要がある。この分析に基づくと、欧州のディストレスト証券においてディープ・バリューの株式に対するバリュエーションのスプレッドが拡大しており、魅力的な投資機会を提供していることが分かる(図表2)。
 
 
Chart2.png
 
むろん、バリュエーションのスプレッドは2009年以降拡大し続けているため、投資家は特定の投資テーマを受け入れる必要がある。つまり、量的金融緩和や信用創造の促進によって、より魅力的な投資機会という観点から、投資家の目がバリュー株式に向かうという見方である。
 
すべてのスマート・ベータ戦略において、低コストでより高い透明性が得られるとともに、ポートフォリオを補完するリターン源泉を手に入れることができる。ただし、いくつかのアプローチにはメリット、デメリットが存在し、また意図しないリスクを回避することが重要であることも認識すべきである。言い換えると、投資家は、スマート・ベータにどの程度スマートでいてほしいか決める必要がある。
 
 
 

 

 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

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当資料は、2015年8月11日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。アライアンス・バーンスタインおよびABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。
 
 
 
 


 

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