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市場の歪みにさらされるパッシブ・ポートフォリオ

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シャロン・フェイ
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー 
株式部門責任者 兼 最高投資責任者


 

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2015年10月28日


世界の株式市場は長年にわたり着々と上昇を続け、価格の歪みが常態化している。現在ではパッシブ型ポートフォリオを保有する投資家がさらされる可能性のある、大きな市場の不均衡がいくつか存在するとアライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)では考える。

市場に歪みをもたらす要因は数多くある。ベンチマークの構成比率は人気のあるセクターや地域に過度に集中しているかもしれない。新商品などへの夢がバブルを膨らませる。バリュエーションには企業の真の経済的価値でなく、つかの間の熱気が反映されている可能性がある。しかし、いいニュースもある。それは、投資家は世界の株式市場における不均衡を把握することにより、それを避ける措置を取ることができるということだ。
 

なくならない安全プレミアム

現在、安全には大きなプレミアムがついている。世界金融危機から7年近く経ったにもかかわらず、度重なる市場の混乱は、依然として投資家にディフェンシブな反応をとらせている。その結果、一般的に安全性が高いと考えられている世界の低ベータ銘柄とリスクの高い高ベータ銘柄の株価純資産倍率に、41%の格差が生じている(図表1、左図)。市場全体に対するそのバリュエーションの格差は、1972年以降の期間全体の90%の期間よりも大きい。

そうした傾向は欧州で顕著に見られる。ギリシャ危機で欧州が他の地域よりも本質的にリスクが高いとの懸念が高まったことから、高ベータ銘柄と低ベータ銘柄のバリュエーション格差は137%に拡大した(図表1、右図)。これは1986年以来の最高水準である。このことは、欧州市場では安全性が高いと見なされる銘柄に対し、投資家が著しく高いプレミアム(最もベータ値の高い銘柄の3倍)を支払っていることを意味する。だが、安全性を重視するトレンドが反転すれば、安全とされる銘柄もリスクが極めて高くなる可能性がある。

アジアも質のバブルに直面しており、最近の中国市場の乱高下がそれに拍車をかけている。アジア(日本を除く)で最も収益性の高い企業上位20%は、下位20%の企業に比べ3.3倍の水準で株価が推移している。そのプレミアムは世界金融危機当時を上回り、過去最高水準に達している。地域別に見ると、過去数年間は一般的に安全性が高いと考えられている東南アジアの銘柄が、リスクが高いと見なされている北アジアの銘柄よりもはるかに好調なパフォーマンスを示してきた。アジア地域の投資家は、利益の質に対して過剰なプレミアムを支払っているようだ。
 

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新興国株式市場のベンチマークの姿

もっと広い視点で見れば、新興国市場が特に大きな問題を抱えている。例えば、新興国の株式市場では国有企業の比率がかなり高い。中国では、政府の持ち株比率が20%を上回る企業が上海総合株価指数構成銘柄の61%を占めている。ロシアでも、そうした企業の比率はベンチマークの48%に達している。

問題は、国有企業は経営に問題を抱えているケースが多いことだ。雇用創出や経済成長の支援を重視する政府の姿勢は、必ずしも株主の利益と一致するとは限らない。そのことはブラジルの国営石油会社であるペトロブラスの汚職疑惑を見れば分かる。だが、新興国の株価指数に基づいて投資すれば、多くの国有企業に投資するのと同じことになる。

コモディティも難しい問題をはらんでいる。多くの新興国(ブラジル、ロシア、南アフリカを含む)はコモディティを大量に輸出している。実際、コモディティ産出国11カ国がMSCI エマージング・マーケット指数に占める比重は約3分の1に達している。そのため、この指数に投資すれば、長期的なコモディティ市場の低迷から直接的な影響を受けている国々に多額の資金を投じていることになる。
 

バイオテクノロジー業界はバブル?

米国に目を向けると、バイオテクノロジー業界はバブルのように見える。投資家が147銘柄で構成される上場投資信託を通じてバイオテクノロジー業界で起こっている刺激的な動きに投資したいと考えたとすれば、どうなるのだろうか? まず、投資家は構成する企業の57%が利益を出していない指数を購入することになる。次に、その指数においては上位5社が占める構成比率は39%に過ぎないのに対し、利益はその5社が全体の84%を占めている(図表2)。

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バイオテクノロジー指数を構成する企業は二つのタイプに分けられる。一つは確立されたビジネスを展開して利益を上げている企業のグループで、もう一つは小規模な企業から成る投機的なグループだ。どちらも好ましい投資対象かもしれないが、吟味せずにそれらすべてを保有するのはリスクが大きい。ABはバイオテクノロジー革命がもたらす途方もなく大きな潜在的成長力から利益を得るため、活気あるこのセクターのバリュエーションを注視しながら、有望な分野で明確な優位性を持っている一部の企業に焦点を合わせる方針を取っている。
 

金融株式への過剰な集中

現在、指数やスマート・ベータ・アプローチを利用して過小評価されている銘柄を見つけ出そうとすると、困難な問題に直面する。現在、バリュー株は金融およびエネルギー・セクターに集中している。例えば、ラッセル1000バリュー指数では、7月31日時点でベンチマークの30%を金融セクター、12%をエネルギー・セクターが占めている。米国株式全体から最も割安な銘柄を抽出すると、その62%が金融株、15%がエネルギー株となる。

これは、パッシブ型あるいはスマート・ベータのアプローチを通じてバリュー銘柄に投資している投資家は、多様なリターン源泉を持つポートフォリオを保有する代わりに、金融やエネルギー・セクターに対して過度のエクスポージャーを取っている可能性があることを意味する。もちろん、それらのセクターにはそれぞれの投資機会がある。しかし、著しい困難に直面しているセクターに無差別的なエクスポージャーを持つことは、リスクを抱えることにつながる。
 

パッシブ投資は資産保全につながらない

上記の例はパッシブ型ポートフォリオが資産を保全する役割を果たさない場合があることを示している。異なるタイプの指数戦略に投資する投資家は、絶対ベースで多額のコストをもたらしかねない価格の歪みに意図せぬうちにさらされていることに気付く可能性がある。

パッシブ型ポートフォリオは重要である。しかし、株式市場に仕掛けられている罠を避けるためには、不均衡を把握するとともに、最も高いリターンが得られる銘柄を厳選している信頼性の高い株式戦略と組み合わせて用いるべきだと考える。

 

 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

https://blog.abglobal.com/post/en/2015/09/dont-submit-to-market-distortions

 

 


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当資料は、2015年9月16日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。上記の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。アライアンス・バーンスタインおよびABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。



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