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アジア社債投資はアクティブ運用で

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花井 ゆき子(写真) 

アライアンス・バーンスタイン株式会社
執行役員 債券運用調査部担当 クレジット・アナリスト

 

ヘイデン・ブリスコー 

アライアンス・バーンスタイン・香港・リミテッド
アジア太平洋債券運用 ディレクター

 

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2015年10月30日


アジア経済は、足元では米国の利上げ観測による新興国からの投資資金の流出や、中国の景気減速の影響などが心配されているが、アジアの社債市場はこの10年で大きな成長を遂げてきた。アジア企業の資金調達をサポートする社債市場の規模や特徴を整理し、ダイナミックに市場をまたぐアクティブ運用の有効性について考えてみた。
 

中国企業による発行が市場規模を拡大

米ドル建てアジア社債市場の代表的な指数であるJPモルガン・アジア・クレジット指数(JACI)の2015年9月末時点の時価総額は6,161億米ドルで、10年間で5倍以上になった。これは米国社債市場の1割前後に過ぎないが、すでに日本の国内社債市場を超え、英ポンド建て社債市場に追いつく勢いである(図表1)。

図1.png

JACI は投資適格債が約8割を占める指数であり、平均格付はBBB上位で欧米の社債指数よりも1ノッチ程度低い。産業では金融セクターのウェイトが21%、準ソブリン債が20%、不動産セクターが14%で突出している。国別では中国企業(ソブリン債を含む)の時価総額が全体の40%と高く、韓国の12%、香港の11%がこれに続いている。10年前は中国企業(ソブリン債を含む)の割合は7%と低く、24%の韓国と22%の香港が主導していたのに比べ、中国の発行増が顕著である。中国企業は、規制によりこれら海外で調達した資金を自由に国内に持ち込むことができないが、それでも米ドル建てアジア社債市場からの調達がコスト面で魅力的であったために増加してきた。

中国では、2007年頃から国内社債市場の発行が増加し、2015年6月末時点で、銀行債やコマーシャル・ペーパーなどを含め約12兆元(約2兆米ドル)の社債残高がある(アジア開発銀行調べ)。中国では金融市場の自由化が徐々に進んでおり、将来的には、中国企業は国内社債市場と米ドル建て社債市場を比較しながら、最適な調達方法を選ぶようになるものと考える。

現在これ以外に、「ディム・サム債(点心債)」と呼ばれる、オフショアのみで流通する人民元(CHN)建て債券を発行する市場があり、スタンダード・チャータード銀行の集計によると、2015年6月末時点の発行残高は銀行発行のCDも含み約7,500億人民元(約1,180億米ドル)に上り、その9割近くは中国ソブリンおよび中国企業の発行であると考えられる。将来的に、国内で流通する人民元(CNY)とオフショアで流通する人民元(CHN)が統合された場合には、日本のサムライ債市場や米国のヤンキー債市場のように、主に外国企業が人民元建て資金を調達する市場へと変化していくかもしれない。
 

ベンチマークに捉われないダイナミックな運用に妙味

JACI にはハイイールド債が約2割(時価総額は1,314億米ドル)含まれており、その約4割が不動産会社の発行で、分散度は低い。ハイイールド部分の2015年9月末の平均スプレッドは約641ベーシス・ポイント(bps)で、投資適格部分のスプレッド242bpsから大きくかい離しており、リスク・リターン特性の大きく異なる資産クラスにより成り立っていることが分かる(図表2)。一方、ディム・サム債市場は、前述のとおり時価総額が小さく、発行体に偏りがある。また、HSBCのアジア現地通貨債て指数(ALBI)もよく利用される指数であるが、8割強が政府債であり、規制や流動性の面から外国人投資家には投資が難しい現地通貨債市場も含まれている。


図2.png
 

このように、アジアの社債市場が未だ発展段階にあり、近年のように市場の流動性が局地的に大きく変化する中にあっては、ベンチマークに拘束されないダイナミックなアクティブ運用を行う効用は高い。運用機関にとっては、市場の特性を十分に理解し、その時々に生じている歪みをうまく捉えるスキルが試される。
 

グローバルなリサーチ体制の効用

社債アクティブ運用の鍵となるのはリサーチ体制である。アジアの多くの国々は発展段階にある新興国であり、企業の情報開示やコーポレート・ガバナンスは相対的に弱い。また、歴史の短い企業や、業績のボラティリティが高い企業も多いため、国境をまたいでファンダメンタルズ分析をボトムアップで行うリサーチ体制は欠かせない。先入観や地元バイアスに左右されずに、大きな産業構造の変化も視野に入れて将来を見据えた判断をすることが重要となろう。さらに、国の政策や経済発展が企業に大きく影響を与えるため、マクロ経済や政治状況の理解も重要であり、エコノミストとの協業体制が重要である。また、アジア社債(特に米ドル建て)は、個人投資家がファンドを通じて保有するケースが多いことから、個人投資家の資金フローに債券価格が左右される。

アジア社債は、地域諸国の経済や資本市場のダイナミックな発展により生じる投資機会を捉える絶好の資産クラスであると言える。このような市場では、グローバルな運用・リサーチ体制を擁し、世界の資金フローや、世界的な産業動向を把握する能力が非常に重要であり、これが個人投資家にとっては投資するファンドを見極めるポイントとなろう。

 



 

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