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リスク管理の強化が市場の流動性低下に拍車

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ダグラス・ピーブルズ(写真)   
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
債券部門 最高投資責任者(CIO)兼ヘッド
 
アシッシュ・シャー 
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
グローバル・クレジット運用責任者
 

 

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2015年11月11日

 

投資家にとってボラティリティほど胸騒ぎを起こさせるものはない。だが通常、気持ちを落ち着かせるには深呼吸し、嵐が過ぎ去るのを待つのが最善の方法だ。残念ながら、最近ではそうした行動を取る大規模な投資家は少なくなっている。これは懸念すべき問題である。

その理由は、債券市場の流動性が干上がりつつあり(以前の記事『需要と供給が作り出す流動性危機』ご参照)、大規模な投資家の間では投資期間を短縮し、短期的なボラティリティの上昇に対処しようとする傾向が高まっているからだ。これによって状況が悪化する恐れがある。

年金基金から保険会社、そして富裕層の個人投資家にいたるまで、大規模な投資家の多くが「リスクを意識した」戦略を取り入れているのはそれが理由である。彼らはポートフォリオのリスク・レベルを測るため、ボラティリティを管理する指標、つまりバリュー・アット・リスク(VaR)を用いている。リスクのレベルが低下すれば、運用マネジャーはたいてい資産を買い増す。リスクが上昇して一定レベルを上回れば、彼らはリスクを定められた水準に抑えるため資産を売却する。こうした行動は危険であり、特に固定されたルールに基づく投資プロセスを利用する場合には危険度が高まる。
 

リスク管理にフォーカス

こうした戦略が一般的になったのは、世界金融危機の後である。その理由は簡単だ。2008年に壊滅的な損失を被った投資家は、そうしたパフォーマンスが繰り返されるのを避けようと固く決心したのだ。

しかし、VaR戦略とは、市場における流動性の需給バランスが均衡している時に最もうまく機能するものである。その理由は、リスク指標が変化した場合、運用マネジャーはポートフォリオ構成を修正できる必要があるからだ。流動性の需要が供給を大幅に上回っている場合には、不利な価格で注文が執行されることになる。
 

取引の集中

あまりに多くの投資家がそうした戦略を使用すれば、彼らによる売却そのものがボラティリティの急激な上昇を引き起こす可能性がある。それはボラティリティに起因する売りをさらに誘い、すでにひっ迫している流動性の状況を悪化させかねない。別の言い方をすれば、リスクの抑制を試みる投資家の行動が、皮肉にも市場に新たなリスクを生み出すことになる。

ABの試算では、リスク管理を重視した保険商品に約3,000億米ドルの資金が投じられている。特定のリスク基準を目標とし、リスクの高い資産(株式やクレジットなど)と安全性の高い資産(国債など)で均等にリスクを配分するリスク・パリティ商品の運用資産は、最大で5,000億米ドルに達している可能性がある。しかし、多くのリスク・パリティ型ファンドが用いているレバレッジを考慮すれば、その数字は2兆米ドル近くに膨れ上がる。

これは膨大な額であり、取引は混雑を極める。リスクを管理する際、ボラティリティに目を光らせることは常に有意なことではあるが、他の投資家も同じ行動を取っていることに留意する必要がある。流動性が低い局面では、こうした群集心理が予想以上に大きな市場の変動を引き起こす可能性がある。

強制的な売り(その多くはリスク・パリティ戦略やその他のVaR関連戦略に起因する)は2013年のテーパリング(資産購入の段階的縮小)騒動の際に極めて大きな要因となったほか、2015年8月の株価急落の一因となった可能性もある(図表)。

分かりやすく言うと、今日の市場では、VaRに基づく戦略が流動性に与える影響は、ガソリンを火に注ぐのと同じ関係かもしれない。

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高値で買い、安値で売る

近いうちにボラティリティが消えてなくなるとは考えにくい。新興国の成長が鈍化し、米連邦準備制度理事会(FRB)によるほぼ10年ぶりの利上げのタイミングが依然として不透明な現状においては、ボラティリティが低下することはなさそうだ。

それは、短期的なボラティリティの変動に応じて資産配分を決定すれば、リターンが失望を招くものになりかねないことを意味している。ボラティリティが低下した場面で資産を買い入れ、ボラティリティが上昇した場面でそれを売却すれば、高値で買い、安値で売ることを意味することを覚えておく必要がある。そして、これは高いリターンを獲得する手段とはなり得ない。
 

投資期間の短縮がもたらす危機

大型の機関投資家にとっては、これはとりわけ疑問を抱える戦略だ。彼らは大規模なバランスシートと長い投資期間という2つの利点に恵まれているため、長期的な視点を持って短期的なボラティリティを乗り切ることが望ましい。

VaRに基づく戦略は、10年あるいは20年にわたる投資を念頭にポートフォリオを運用すべき投資家に対し、3-6カ月先に焦点を当てるよう強いることで、投資期間の長さという利点を奪い取っている。

これらの戦略の最大の欠点は、短期的なボラティリティの変動が生じた際に機械的に資産の購入や売却を強いることだ。この戦略を用いている運用マネジャーは、ボラティリティが急激に上昇した場合、すでに価格が下落している資産を売却することになる。
 

パッシブではなく、アクティブな運用を

では、代わりにどんな手法を取り入れればいいのだろうか? 望ましいのは、自らの判断で運用するアクティブなアプローチだ。能力の高いアクティブ運用マネジャーは、資産価格が安い局面で購入し、高くなった局面で売却する戦略を構築することができる。これにより投資リターンが向上する可能性が高まる。

また、アクティブな運用マネジャーは流動性に起因する急激な市場の変動から資産を守るため、コール・オプションやプット・オプション(将来、事前に定められた価格で資産を購入(コール)あるいは売却(プット)する権利)を購入する選択肢も持つ。

大規模な投資家は今こそ基本に立ち返り、短期的な市場の変動ではなく、長期的な価値を測る指標に基づく意思決定を始めるべき時であるとABでは考える。そうした投資家、そしてその他の数少ない投資家(以前の記事『流動性リスクを管理する最善のアプローチとは?』ご参照)は、今日の低い流動性を追い風に変えることができるかもしれない。


 


当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。
https://blog.abglobal.com/post/en/2015/09/fill-in-the-blank-var-is-to-illiquidity-as-gasoline-is-to

 

 

 

 

 

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当資料は、2015年9月29日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。アライアンス・バーンスタインおよびABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。
 



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