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流動性リスクの正しい理解

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ダグラス・ピーブルズ(写真)   
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
債券部門 最高投資責任者(CIO)兼ヘッド
 
アシッシュ・シャー 
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
グローバル・クレジット運用責任者
 

 

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2015年11月20日

 

目の不自由な人たちと象の話をご存じだろうか? 一人は尻尾を、別の人は鼻を、もう一人は牙を触って象がどのようなものか説明する、という話だ。自分が触った部分だけから象の全体像を想像して意見を言い合い、結局象がどのような動物か分からなかった。流動性リスクは象のようなものである。全体像を正しく理解することは難しく、誤った管理を行いがちだ。

投資家はこのリスクの存在に気付いてはいる。また、債券の運用マネジャーは流動性に対してこれまでよりも深い注意を払っており、顧客に対して適切な運用サービスを提供している面もある。しかし、以前の記事(『需要と供給が作り出す流動性危機』)でも述べたように、債券市場の流動性が枯渇してきている理由は数多くあり、いくつかの市場の動向はその状況を悪化させている。

市場の流動性の全体像を理解していない、あるいはそのリスクについて部分的な対応しか行っていない運用マネジャーは、顧客のポートフォリオを危険にさらしている可能性がある。

全体像を捉えていないとはどういうことか? 以下に例を挙げる。
 

トレーダーの役割に注目を

一部の資産運用会社では、債券市場の流動性が干上がってきている第一の原因は規制強化にあると見ている。つまり、銀行に対し損失に備えてより多くの資本を確保し、また自らの利益を目的とした取引を制限する新しい規制のせいにしているのである。

これらの新しい規制は市場の流動性が低下する原因となっていることは確かだが、他にも理由はある。それでも、多くの資産運用会社が、取引相手の証券会社の幅を広げることで流動性リスクに対応できると考えている。これは、銀行や政府公認のプライマリー・ディーラーなどが従来提供してきた安定的な流動性を補完するために、比較的小規模の証券会社を利用することを意味する。

そのアプローチ自体に問題はない。しかし、十分な対応とは言えない。資産運用会社にとって流動性を確保するための最善の方法は、有能なトレーダーを揃えることであるとABでは考える。

銀行が債券の売買業務を縮小する中、流動性が乏しい時にその源泉を首尾よく見つけ出し、流動性の変化が生み出す投資機会を巧みに利用できる優れたトレーダーを有することの重要性がこれまで以上に増している。以前は資産運用会社のトレーダーの役割は主に注文を執行することであったが、彼らの役割はもはやそれだけには留まらない。

こういった問題は、いずれ電子化がより進んだ市場形式によるトレーディング・プラットフォームの発達によって、多くの買い手と売り手の取引に伴う大規模な数の注文を短時間で処理できるようになることで解決に近付くかもしれない。しかし、社内に優れたトレーディング機能を有することは非常に重要なポイントである。
 

キャッシュがもたらすのは機会コストか投資機会か?

資産運用会社は、流動性が低い環境でキャッシュを手元に残しておくことの利点を認識している。しかし、彼らの多くがその利点は単に投資家が一斉に解約請求を行った場合への備えとなる点にあると見ている。

むろん、解約に対応できることは重要だ。しかし、その点のみに注目していては、キャッシュが持つ別の効果、つまり流動性環境の変化がもたらす投資機会を素早く活用できる点を見逃すことになる。例えば、2013年のテーパリング(資産購入の段階的縮小)騒動で流動性が干上がった際、人気が集中していた債券に飛びつくことなく手元にキャッシュを残していた投資家は、魅力度の高い資産をより低価格でスムーズに購入できた。これは、他の多くの投資家が流動性を必要としていた時に、逆に流動性を提供できたからである。

金利が低水準に留まっているため、キャッシュを保有することは当然のことながら機会コストにつながる。しかし、流動性の高いデリバティブを比較的多く取り入れることで「合成」証券へのエクスポージャーを構築すれば、キャッシュの保有によるパフォーマンスへの影響を一部抑えることができる。

 

短期的なボラティリティを管理するだけでは不十分

世界金融危機がもたらした極度に高いボラティリティを受けて、多くの人が「リスクを意識した」戦略を取り入れている(以前の記事『リスク管理の強化が市場の流動性低下に拍車』ご参照)。このような戦略では、ダウンサイド・リスクを抑制するためにボラティリティを管理する指標、つまりバリュー・アット・リスク(VaR)を用いる。

一見したところこのアプローチが魅力的に見えるのはもっともである。しかし、そういったリスク管理にフォーカスした戦略を採用する投資家の数は近年激増しているため、多くの人々が同時に同じ行動を取っていることになる。リスク管理重視の戦略が万能の解決策であると考える資産運用会社は、流動性をさらに低下させている可能性があることに気付いていないかもしれない。

なぜなら、ボラティリティが上昇すると、VaR戦略の運用マネジャーはたいていの場合、ポートフォリオのリスクを定められた水準に抑えるために資産を売却しなくてはならなくなるからだ。これによって各資産のリターンは悪化する(価格が下がっている時に売却するため)と同時に、市場の流動性が全体的に低下する(他の投資家と一緒になって売却するため)可能性が高まる。

リスクを管理する際にボラティリティに注意することは常に大切である。しかし、資産の価格が下落する時に購入し、価格が上昇する時に売却できるアプローチの方が優れているとABでは考える。そして、これを可能にする唯一の方法は、投資ホライズンを長期化することである。

ボラティリティが高く、流動性が低い局面で投資ホライズンを長期的に捉えるということは、忍耐力を持ってしっかり腰を据え、資産価格の下落に一喜一憂することなく、嵐が過ぎ去るのを待つことを意味する。長い目で見れば、こういったアプローチの方が投資リターンをより高める可能性があると考える。
 

全体像を捉える

現在の債券市場における投資機会を捉えるには、リスクと潜在リターンの両方を考慮し、流動性の全体像を把握することが必要である。冒頭で述べた目の不自由な人たちと象の話のように、暗闇の中で流動性の動向を手探りで捉えようとしている運用マネジャーは、顧客のポートフォリオを守ることに苦労するだろう。



 


当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。
https://blog.abglobal.com/post/en/2015/10/liquidity-risk-what-bond-managers-arent-getting-right

 

 

 

 

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当資料は、2015年10月13日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。アライアンス・バーンスタインおよびABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。
 



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