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流動性低下がもたらすクレジットの投資機会

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ガーション・ディステンフェルド
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
ハイイールド債券担当ディレクター

 

 

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2015年11月25日

 

債券投資家が現在抱えている最も大きな悩みは、一言で言えば「流動性」であろう。しかし、流動性についてきちんと理解し、取るリスクを厳選すれば、流動性が低い環境から投資機会を見出すことができるかもしれない。
 
アライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)が重要視していることは、流動性に関する投資家の懸念をなくすことではなく、流動性リスクをどのように管理すべきかという点である(以前の記事『あなたの債券ポートフォリオの運用マネジャーは流動性をうまく管理できているか?』ご参照)。リスクを過小評価している、もしくはリスクに対する注意が足りない運用マネジャーは、流動性が干上がった際に損失覚悟で売却しなければならないリスクを負うことになる。
 
例えば、足元でのクレジット市場の下落について見てみよう。この下落は、新興国市場の成長の失速、コモディティ価格の低下、世界経済への懸念などいくつかの理由によって起こった。
 
これにより投資家は保有していた投資信託を売却した。解約の注文が殺到し、運用マネジャーは損失を被ることを知りながらも資産を大量に売却せざるを得なかった。こういった一斉売却によって、クレジット市場が過剰に反応し、証券の信用力を正しく反映しない市場になってしまう可能性がある。
 
 
忘れられたファンダメンタルズ
 
最近大きく下落した製薬業界の債券がいい例となる。いくつかの企業により薬の値段が一晩で爆発的に釣り上げられたことや、処方薬にかかるコストの削減が提案されたことなどが理由となり、多くの証券の価格が10ポイントも下落する事態が発生した。
 
注目すべき点は、こういった企業の株価は下落圧力にさらされるのに対し、債券の信用力には恐らく影響が及ばないことである。製薬事業の資本集約度はあまり高くないため、運営コストは比較的低い。それにより製薬会社が発行する社債のデフォルト率は低水準に保たれてきた。さらに、議会による監視の強化で製薬業界のM&A活動が抑制されれば、当業界の信用力は上昇するだろう。
 
では、なぜ製薬業界の債券は急落したのか? 今回もほとんどの運用マネジャーが債券を購入したかったにもかかわらず、そうすることができなかった。その理由は、投資家による解約に対応するために流動性を使い果たしてしまったからだ。
 
一方で、ポートフォリオにおいて流動性にゆとりを持たせていた投資家、つまりグローバルのマルチアセット戦略や慎重なキャッシュ管理を取り入れていた投資家は、よりスムーズに解約に対応し、さらに過小評価されている割安な資産を購入することで魅力的な投資機会を捉えることができただろう(以前の記事『流動性リスクを管理する最善のアプローチとは?』ご参照)。
 
 
選別眼が引き続き必要
 
ほんの少し視野を広げれば、現在の環境でも同じような投資機会を発見できるようだ。直近の下落により、現在のグローバル・クレジット市場全体のバリュエーションはここ数年で見て魅力度がより増している。米国ハイイールド債を含む一部のセクターでは、現在のスプレッドが2012年以降、最高またはそれに近い水準にある(図表1)。
 
 

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しかし、例外もある。例えば、欧州投資適格社債のバリュエーションはそれほど魅力的には見えない。欧州中央銀行の資産買入れプログラムによって、利回りスプレッドの拡大が抑制されているからだ。
 
とは言え、市場の多くのセクターで、投資家はクレジット・リスクを取ることで見返りを得ている。ただし、どのリスクを取るかを見極めることがカギを握る。ABでは、他よりもバリュエーションが魅力的という理由だけで利回りが最も高い証券に飛びつくようなことはない。
 
 
信用サイクルに注目を
 
例えば、社債を注意深く見ると、投資機会はセクターや国・地域ごとで異なることが分かる。次ページの図表2が示すように、ハイイールド・エネルギー・セクターを含む一部の資産は後退局面にある。当セクターの企業はエネルギー価格の低迷が続くかぎり厳しい環境に置かれることに加え、さらなる格下げに直面する可能性もある。現在のところ、多くのエネルギー会社や石油会社の価格はリスクに見合うリターンを提供する水準まで十分に下がっていない。
 
 
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エネルギーを除けば米国ハイイールド社債は依然として拡大局面にあるが、格付が相対的に低い一部の銘柄ではすでにファンダメンタルズが悪化し始めている。例えば、CCC格のジャンク債は現在1米ドル当たり約84セントという安値で取引きされているが、デフォルト率が5年累積ベースで44%と歴史的に高い水準にあり(B格は23%、BB格は10%)、価格が安いからと言ってそのリスクを埋め合わせることはできないと考える。
 
ここで重要なのは、バリュエーションが魅力的かつファンダメンタルズが強固な銘柄を探すことだ。そういった銘柄は、住宅ローン市場(商業用と居住用の両方)における信用力が高いハイイールド債や証券化商品のセクターに存在するとABでは見ている。社債とは異なり、住宅ローン・セクターは信用サイクルの中でも比較的初期段階にあり、借り手の信用力は強い。
 
世界経済や企業のファンダメンタルズに関する懸念がすぐに消え去ることはない。また、潤沢な流動性が近い将来に戻ってくることも見込めない。そのため、ボラティリティがさらに高まり、証券価格の低迷が続く可能性がある。しかし、ファンダメンタルズに注目し、流動性低下がもたらす投資機会を注意深く狙う投資家にとっては、今こそ、厳選したリスクを少しずつ増やし始める時かもしれない。
 
 
 
 
 
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当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

https://blog.abglobal.com/post/en/2015/10/in-credit-low-liquidity-can-spell-opportunity

 

 

 

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当資料は、2015年10月20日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。アライアンス・バーンスタインおよびABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。
 
 
 

 

当資料についてのご意見、コメント、お問い合せ等はjpmarcom@abglobal.comまでお寄せください。

 

 

 

 

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