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人工知能と資産運用(エッセイ)

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山本 誠一郎   
アライアンス・バーンスタイン株式会社
代表取締役社長
 


 

 

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2016年2月24日

 

大変革の時代である。人工知能やロボットの急速な技術革新により、今世界中で大論争が起こっている。その契機は、米国の科学者レイモンド・カーツワイル氏が提唱した「シンギュラリティ」の問題である*1。同氏曰く、2045年には、人工知能の学ぶ力が特異点を超え、人間の頭脳を超える可能性がある。そして、以下のような人工知能脅威論を唱える有識者もいる。

  • +「人工知能は核兵器よりも潜在的な危険をはらむため、我々は細心の注意を払う必要がある」

【イーロン・マスク氏 Twitter 2014年8月3日】

  • 「人工知能の進化は人類の終焉を意味する」

【ホーキング博士 BBCインタビュー 2014年5月】

  • 「今後人工知能は人間の存在を脅かす可能性が十分にある」(170人の研究者のうち18%が同意)、「今後人工知能が人間にとって不利益になる」(同13%)

【オックスフォード大学 ヴィンセント・ミュラー氏とニック・ボストロム氏 2014年】

 

人工知能やロボットは、資産運用の現場でも、アナリストの企業分析手法などで活用され始めている。例えば、小売大手のウォルマート・ストアーズの売上を予測する際、アナリストはさまざまな仮説を立てる。一つの仮説として、店の駐車場に止まっている車の台数とその回転率が売上げに与える影響が高いとする。実際にアナリストの肉眼でその分析を行うことは難しい。そこで、無人航空機(ドローン)を飛ばし、定点観測をする。その予測精度が高くなるにつれ、その予測は市場に織り込まれることになる。この段階では、ドローンを人間のアナリストがいかに活用するかであるが、その活用を人工知能自体が習得する日が来ないとは言えないであろう。

株式を中心としたトレーディングの分野では、もはやコンピュータを使った「アルゴリズム・トレーディング」は珍しいものではない。ヘッジファンドのコンピュータは、アルゴリズムに従って市場の動きに高速で反応し、自動で売買注文を繰り返している。しかし、人工知能を活用した新しい投資手法はそれとは大きく異なる。従来は、人間がアルゴリズムを作り、コンピュータはそれに従って作動するだけだった。ところが人工知能による投資では、最初に人間がソフトウェアを作成するものの、その後は人工知能自身がビッグデータを分析して市場の動きを予測し、人間の指示を仰ぐことなく投資戦略を立て、証券を売買する。さらに、人工知能は市場のさまざまな客観的数値だけでなく、ニュースやソーシャルメディアの言語情報も分析できるという。一部のヘッジファンドでは、すでにこの種の人工知能による投資を始めている。

ヤフー株式会社の安宅和人氏によれば、人工知能は識別・予測・実行の三つの分野で能力を発揮すると見られる。特に、過去のデータや客観的事実に基づく解析、シミュレーション、予測が得意とされている*2

 

【人工知能が得意なこと】

1. 識別

  • 情報の判別・仕分け・検索(言語、画像ほか)
  • 音声、画像、動画の意味理解
  • 異常検知・予知

2. 予測

  • 数値予測
  • ニーズ・意図予測
  • マッチング

3. 実行

  • 表現生成
  • デザイン
  • 行動の最適化
  • 作業の自動化


一方で、現時点で人工知能が苦手な分野、つまり人間が相対的に得意な分野として、コミュニケーション、身体性、発想・アイデア、直感・センス、イノベーションの5分野が指摘されている*3。つまり、人工知能には意思がなく、人の気持ちを理解したり、創造力を発揮して白いキャンバスに絵を描くことは不得意とされている。

野村総合研究所の研究成果によれば、10-20年後の将来には日本の労働人口の49%が人工知能とロボットによって代替されてしまうという(図表)。研究では、データ分析などの秩序立った仕事や、レジ・受付のような比較的定型的な仕事は代替されやすいという。一方で、サービスや交渉など他者との関係性が重要な仕事や、リベラルアーツのような抽象度の高い概念を整理する仕事は代替されにくいという。

 

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また、人工知能により新たに生まれる職業もあるという。

  • ロボット・カウンセラー
  • 企業文化のエキスパート
  • 単純化の専門家
  • 輸送アナリスト
  • マインド・インストラクター

これらの論争の行方に正解はないものの、少なくとも先進国の一般家庭内の会話は変化していくことが想定される。

かつて、母親から子供に対しては、「ちゃんと食事は残さず食べなさい。今頃、中国やインドでは食べられない人がたくさんいるのよ。」と語られていたのが、今では、「ちゃんと宿題をやりなさい。そうでないと、将来、中国やインドの人たちに仕事を奪われてしまうわよ。」となっている。実際に、中国には多くの生産工場が進出し、インドのバンガロールは最先端のコールセンター基地になっている*4

近い将来、これらの会話は次のように変化するのかもしれない。「ちゃんと考えなさい。そうでないと、将来、人工知能やロボットに仕事を奪われてしまうわよ。」

先の例にもあるように、資産運用の現場でも人工知能は確実に台頭してきている。将来、人工知能は資本市場を通じた価値創造にどれほど貢献するのか。資産運用の分野でどれほどの仕事が奪われ、どれほどの仕事が創造されるのか。もはや他人事ではない。次回はフィンテック*について、ABの取組みも含めご紹介したい。

*情報技術を駆使して新たな金融サービスを創り出す動き

 

(出所)

*1 『シンギュラリティは近い―人類が生命を超越するとき』
    (レイモンド・カーツワイル著、NHK出版)

*2 『人工知能はビジネスをどう変えるか 』
    (安宅和人著、ハーバード・ビジネス・レビュー誌
    2015年11月号)

*3 『人工知能に負けない脳』
    (茂木健一郎著、日本実業出版社)

*4 『フラット化する世界』
    (トーマス・フリードマン著、日本経済新聞社)

 

 

 

当資料は、2016年2月6日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン株式会社が作成した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また当資料の記載内容、データ等は今後予告なしに変更することがあります。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。アライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)はアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社はABの日本拠点です。
 

 

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