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流動性を損なう金融緩和戦争

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アシッシュ・シャー(写真)
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
債券部門ヘッド
グローバル・クレジット運用 最高投資責任者
 
ダグラス・ピーブルズ
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
債券部門 最高投資責任者
 

 

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2016年5月6日

 
 
 
政策当局者は実体経済を支え、銀行システムの安定を守ろうとしているが、そうすることで彼らは知らず知らずのうちに市場の流動性を損なう金融緩和戦争を繰り広げている。こうしたアプローチでは、彼らが表明している目標はいずれも達成できないのではないだろうか。

2016年に入り、日本銀行がデンマーク国立銀行、スイス国立銀行、欧州中央銀行(ECB)、スウェーデン国立銀行と同様、それまでの果敢な金融緩和策に加えてマイナス金利を導入した。また、ECBも先月、マイナス幅をさらに拡大した。このように変則的な政策をエスカレートさせることは、危険な結果を招きかねない。

持続可能な成長をサポートするとともに健全な銀行システムを守るには、政策当局者は規制策と金融政策をうまくコーディネートしなくてはならない。さもなくば、自ら深刻な危機を作り出す恐れがある。

 

新たな地平

2008年のリーマン・ブラザーズ破綻以降、中央銀行は非伝統的な金融政策の活用に踏み切り、大規模な量的緩和(QE)プログラムに着手した。それらのプログラムは実質的に「リスクフリー」金利を引き下げることにより社債や株式への投資を促すもので、その結果、各国の株式市場は足並みをそろえて上昇した。

同時に、政策当局者は2008年に起きた金融危機の再発を防ぐため、数々の規制を導入した。その中心となったのは、自己資本比率の引上げや、銀行によるリスクテイクを制限することだった。

投資家は株式や社債への資産配分を拡大することで、政策当局者の意図に応える形となった。だが、銀行同様、彼らもポートフォリオのリスク増大を抑える戦略を追求した。つまり、市場が下落に向かえば保有銘柄を売却するという行動を取った。しかし、そうした戦略は、市場がストレスにさらされるとその流動性が余計に引き締まるという好ましからざる副作用を生み出すことになった。

一方、銀行は新たな規制に対応するため、日々の資本市場における流動性プロバイダーという昔からの役割から手を引いた。その結果、何が起きただろうか? 米国債市場ですら、時おり流動性が枯渇するという事態を回避できなくなったのである。

こうして、流動性を損なう戦争の口火が切られた。


新たな世界、新たなリスク

世界経済はQEのおかげで深刻で長期的な停滞局面を避けることができたものの、力強く持続的な成長は実現しておらず、デフレ懸念も払拭されていない。新興国の低成長や中国経済がハードランディングする可能性といった新たな脅威が忍び寄る中、中央銀行は過激な解決策を見つけ出した。

マイナス金利はインフレ期待を支え、インフレ目標の信頼性を守り、自国通貨の上昇を防ぐためのなりふり構わぬ措置であるように見える。それが成功を収める確率はどの程度あるのだろうか?

ABでは、マイナス金利が政策当局者の本来の目標を達成できる可能性について、懐疑的に見ている。マイナス金利政策は、債券利回りを不必要なまでに押し下げる効果を発揮したが、経済成長を損ない、銀行の存続を危機にさらす恐れがある。

マイナス金利政策は本質的に、QEと同じ3つの波及経路(為替相場、資産価格、銀行貸出)を用いるものである。しかし、それら3つはいずれも問題を抱えている。

為替チャネルに効果を求めるのは難しい。なぜなら、他の中央銀行も同じような戦略を取っているからである。日銀がマイナス金利政策に踏み切った時に円相場が急伸したことがそれを物語っている。日本の当局が円相場の緩やかな下落を望んでいたことを思い出すべきだ。

資産市場への影響はプラスばかりではない。流動性が低下しつつある環境では、投資家は資産のボラティリティを管理する能力を疑問視するようになる。その結果、市場から手を引く投資家が増え、ボラティリティがさらに高まることになる。

銀行の貸出意欲も損なわれるかもしれない。超低金利あるいはマイナス金利は、銀行にとって自己資本の基盤となる収益源泉である利ザヤを圧縮している。より厳しい規制の影響も重なり、それは銀行の貸出意欲を損ない、すでに傷ついている市場への流動性供給能力にさらなる打撃を与えることになる。

マイナス金利は、政策当局者が望んでいるような効果的なツールではない。むしろ、それは扱いにくく、予測せぬ結果を招く恐れがあり、危険ですらある。為替市場の不安定化や市場の流動性枯渇といった異常な事態を通じてその副作用が金融市場に打撃を与えるリスクは明らかに大きすぎる。

そうだとすれば、問題はマイナス金利に代わる選択肢があるかどうかということだ。ABではあると考えている。

中央銀行は振り上げた拳を降ろし、流動性を損なう戦いを止めるべきである。そして、協調的に金融政策や規制に関する緊張緩和を図らなければならない。持続的な成長を促し、デフレを阻止し、世界の銀行システムを守るために協調して対応しなければ、何のために戦っているのか分からなくなる可能性がある。

 

 
 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。
https://blog.abglobal.com/post/en/2016/03/the-war-on-liquidity

 

 

 

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当資料は、2016年3月14日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。当資料中の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。アライアンス・バーンスタインおよびABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。
 

 

 

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