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バリュエーションはダウ平均2万米ドル到達の障害となるか?

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セス・マスターズ
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
富裕層向けサービス 最高投資責任者
 

 

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2016年8月26日

 

前回の記事(『ダウ平均の2万米ドル到達は当初予想より早まる可能性』ご参照)で、ダウ工業平均が2019年には2万米ドルに達するとの予測を披露した。米国市場の株価バリュエーションがすでに高水準にあることを懸念する投資家も多いので、本稿ではなぜそれが2万米ドル到達の障害とはならないと考えるかについて述べたい。
 
ダウ工業平均は銘柄数が少ないので分析のためにより幅広いS&P 500指数を見てみると、株価バリュエーションは米国10年国債利回りに対し大きく上下にブレてきた。しかし、一般的に株価バリュエーションは債券利回りが低い時に高く、債券利回りが高い時に低くなる。図表を見ると、青緑色のひし形のほとんどが、トレンド曲線の周囲に集中していることが明らかだ。
 
 
 
 

株式市場のバリュエーションはすでに金利上昇を織り込み済み.png
 

 

 
この相関性には、ファンダメンタルな理由がある。債券利回りが低いと、企業の借入コストが低下する傾向があり、将来の収益や配当の現在価値を高くし、債券の相対的魅力度を低下させる。債券利回りが高いと、企業の借入コストが上昇し、収益や配当の現在価値を低下させる。したがって、金利が低い時に株価収益率(PER)が高くなるのは納得のいくところだ。
 
しかし、2008年以降を取ってみると、やや異なる様相を呈している。同年に生じた金融危機後の数年間は、中央銀行金融システムの維持や景気刺激のために中央銀行がきわめて緩和的な政策を採ってきた。にもかかわらず、市場のPER(図表の黄緑のひし形)はトレンド曲線のはるか下に留まった。先行きの見通しが不透明な中、投資家は将来の収益にお金を払いたくなかったのだ。
 
2012年1月以来、世界的に金融システムや経済、企業収益などが改善する中、株価バリュエーションは上昇した。しかし、それでもなお債券利回りと比較すると非常に低い水準にとどまった(青色のひし形)。S&P 500指数のPERは、2016年6月30日現在で19.4倍となっており、これは図表で水平方向の点線とトレンド曲線の交点が示すとおり、現在の3倍の国債利回りに呼応する水準だ。
 
そのように表現すれば、納得がいくかもしれない。つまり、投資家は金利上昇を織り込んでいるのだ。米連邦準備制度理事会(FRB)は、今後金融政策を正常化させる方向性をはっきりと打ち出している。経済成長が持続する中、失業率が低く賃金は上昇しているからだ。実際、FRBは2年前に債券買い入れプログラムを停止し、2015年12月には短期金利引き上げに踏み切っている。
 
市場のPERはまた、企業業績に関する強い不透明感を反映しているようにも見える。S&P 500指数の一株当り利益(EPS)は、原油価格低下によるエネルギー関連企業の不振や米ドル高の影響により、2014年10月の史上最高水準からは低下している。しかし、エネルギー関連企業を除くと、EPSは引き続きピーク時の水準に近い。
 
景気、企業収益、株式市場の回復局面が始まってから7年以上が経つため、多くの投資家が後退局面を恐れている。しかし、株価が今後の金利上昇を織り込んでおり、企業収益も一部を除けば堅調を維持していることから、バリュエーションは名目値ほどには割高になっていないのだ。
 
 

 

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