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開かれる中国投資への道

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ブラッド・ギブソン
アライアンス・バーンスタイン・香港・リミテッド
アジア太平洋債券 ポートフォリオ・マネジャー
 
 
                      
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ジョン・リン
アライアンス・バーンスタイン・香港・リミテッド
中国株式運用 ポートフォリオ・マネジャー
 
 
 
 
 
 
 

2018年8月23日

 
 
投資家なら誰でも中国への投資を考えているだろうが、具体的な計画を持っていることは稀だ。中国はすでにアジア地域だけでなく、新興国市場や世界経済全体においても巨大な存在となっている。株価はこのところ低迷しているが、それは長期的な見通しを変えるものではない。中国における投資機会は今後も間違いなく拡大し、投資家は資産配分の見直しを余儀なくされるだろう。
 
アライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)が最近実施した調査によると、中国のこうした高い潜在能力にもかかわらず、世界の機関投資家の8割以上は中国の株式や債券を本格的にポートフォリオに組み入れる計画を持っていない。そして、機関投資家の3分の1は、判断を運用委託先に任せる計画のようだ(リサーチ・ペーパー『世界の投資家は中国に投資する準備ができてきるか?』ご参照)。
 
1つ明らかになったのは、機関投資家が中国への投資を任せたい運用機関はアクティブ運用マネジャーだということである。前述の調査では、86%の機関投資家がアクティブ運用を選好する考えを示した。中国市場においてはアクティブ運用が非常に効果的であることから、この結果は理にかなっている。
 
では、中国をポートフォリオに組み入れるアプローチについてはどうだろうか? これには基本的に2つの方法がある。1つはグローバル戦略あるいは新興国市場戦略の一部として中国に投資する方法で、もう1つは中国の株式や債券に特化したスリーブを追加する方法だ。
 
中国に投資する上で正解はあるのだろうか? 以下にABの見解を示してみたい。
 

大半の投資家は中国株式をアンダーウェイトしている

ABの経験や顧客との対話から判断する限り、大半の機関投資家は中国株式に特化した運用戦略に資産配分を行う体制を整えていない。調査した機関投資家の8割以上はグローバル戦略や新興国市場戦略を通じて中国株式に投資している。そして、残念ながら、それは最善のアプローチではないかもしれない。なぜなら、大半のベンチマーク指数において中国のウェイトは著しく低く抑えられているからだ。
 
例えば、中国株式は現在、時価総額に基づけばMSCIエマージング・マーケット(EM)指数の34%を占めている。だが、国内総生産(GDP)に応じた比率にすれば半分以上を中国が占めることになる。GDP成長率を基準にすればさらに比率が高まる。しかも、主要な株価指数における中国へのアロケーションは、より幅広い投資機会を網羅する本土市場上場銘柄(A株)ではなく、香港市場に上場している銘柄(H株)や米国など他の市場に上場している銘柄が中心となっている。
 

中国A株が超過収益獲得機会を拡大   

MSCI は最近になって中国A株をMSCI EM指数に組み入れ始めたばかりで、同指数に占めるA株の比率は今のところ0.4%にすぎない。9月にはその比率が0.8%前後に引き上げられる予定だが、それでも市場規模を完全に反映させた場合に比べるとウェイトはまだ低い。
 
中国A株市場は、オフショア市場に上場している銘柄では得られない多くの投資機会にアクセスを提供している。例えば、本土市場にはめざましく成長しているヘルスケア企業が数多く上場している。深セン市場で取引されているテクノロジー企業の多くも、オフショア市場では投資できない。さらに、爆発的な成長を遂げている中国の消費市場や、拡大を続ける中間所得層の間で人気を博している国産ブランドなどへの投資機会も豊富である。
 
A株への投資には、分散効果を高めるメリットもある。2018年3月31日までの5年間におけるMSCI中国A株指数とMSCI ワールド指数の相関度は、わずか0.30だった。対照的に、S&P 500指数とMSCI ワールド指数の相関度は0.95、MSCI EM指数とMSCI ワールド指数では0.75であった。
 
A株市場にはアルファ(超過収益)獲得機会が満ち溢れている。市場の効率性が比較的低いほか、企業のファンダメンタルズに関する重要な情報を持たない個人投資家が多く、情報の伝達も完全にはほど遠い。長期的に見れば株価はファンダメンタルズに収れんされていくだろうが、短期的な非効率性は株価とファンダメンタルズのかい離を招き、投資機会を生み出す要因となる。
 

中国のプレゼンス拡大を先取りする     

中国への資産配分をしっかり管理し、投資機会へのエクスポージャーを拡大したいと考える投資家は、中国特化型戦略をポートフォリオに追加することを検討すべきである。そうすれば、中国がもたらす投資機会をより的確に反映したポートフォリオを構築できるほか、今後予想される新興国株式及びグローバル株式ベンチマーク指数における中国株のウェイト引上げに先んじて中国株式への配分を高めることができる。
 
MSCI は、まだA株のウェイト引上げに関する具体的なスケジュールを明示していないが、今後数年のうちに実現する可能性が高い。全面的に組み入れられれば、A株やH株など全てのシェア・クラスを含めた中国株式は、MSCI EM指数の40%以上を占めると予想される。
 
MSCI EM指数をベンチマークとするアクティブ運用及びパッシブ運用を合わせた投資資金の規模を踏まえれば、中国のウェイト引上げは中国株式市場への多額の資金流入を意味する。
 
中国株式の完全な組入れを受け身で待っている投資家は出遅れることとなってしまい、魅力的な投資機会に関しアンダーウェイトの状態が続くことになる。グローバル株式や新興国株式に投資するすべてのマネジャーがこれだけ多数にのぼる中国A株市場の銘柄をリサーチし、ベンチマークに先んじて投資する能力を持っているわけではないからだ。中国A株市場には、ナスダック市場やニューヨーク証券取引所よりも多くの銘柄が上場しているのだ。
 

中国特化型戦略への2つのアプローチ    

中国特化型戦略は2つの形態を採り得る。1つはA株に特化した運用で、もう1つはA株にH株などオフショア市場で取引される中国株を組み合わせた総合的な中国株式戦略である。
 
一部の年金基金などは、独立した中国A株戦略をすでに採用しているか、あるいは採用の検討を進めているが、これは依然として少数派である。他の機関投資家は、上場している市場を限定せずにマネジャーに中国株への投資を任せる、総合的なアプローチを検討している。どちらのアプローチにも利点がある。
 
大半の投資家は、グローバル株式あるいは新興国株式のポートフォリオを通じてすでにH株に投資していることから、それを補完するためにA株に特化した戦略を採用するのは重複投資を避けることにもつながり、理にかなっている。しかし、中国本土市場とオフショア市場が収れんするのに伴い、A株とH株のどちらにも投資する総合型の「オールチャイナ」戦略を取り入れるべき強い理由もある。例えば、多くの中国企業は双方の市場に上場しているため、裁定取引を行う機会が生まれている。また、A株とH株の垣根を取り払い双方の市場に投資すれば、より幅広い投資ユニバースから最も魅力的な投資機会を選択することができる。
 
「オールチャイナ」ポートフォリオを採用すれば、既存の新興国ポートフォリオと多少の重複が生じるかもしれない。しかし、それ以上に、中国の実体経済がより正確に反映される統合されたポートフォリオのもたらす恩恵の方が大きいと思われる。
 
なお、当然のことながら、中国特化型戦略を採用する場合は、それが既存のポジションを倍増させるのではなく補完する役割を果たすよう、既存の新興国株式戦略のエクスポージャーに留意しなければならない。新興国の株価指数やグローバル市場における中国のウェイトが拡大するのに伴い、そうした配慮がいっそう重要になることは間違いない。
 
このため、新興国株式ポートフォリオを2つに分けて考え始める投資家もいるかもしれない。「オールチャイナ」ポートフォリオと、中国を除く新興国のポートフォリオに分割した資産配分である。新興国株式ユニバースにおける中国のウェイトが拡大し続けるのに伴い、市場はそうした方向に進展していく可能性が高い。
 
どのアプローチを選ぶかにかかわらず、現在は今後の動きを先取りし、中国株式へのエクスポージャーを拡大する良い機会であろう。
 

中国本土の債券市場にも巨大な投資機会   

中国の債券市場は世界第3位となる11兆米ドルの規模を持つが、海外の投資家に市場が開かれ始めたのはつい最近である。中国本土の債券市場が世界の投資家に膨大な投資機会をもたらしているのは、疑いの余地がない。
 
中国のソブリン債は、多くの先進国の国債よりも利回りが高く、主要な資産クラスとの相関度も低い。しかも、市場が全般的に急落する場面ではディフェンシブな性格が際立っている。2005年以降に「リスクオフ」志向が広がった場面では、S&P 500指数が平均で2.5%下落したのに対し、ブルームバーグ・バークレイズ・グローバル・トレジャリー指数(米ドル・ヘッジ後ベース)は1.8%上昇、ブルームバーグ・バークレイズ・チャイナ・トレジャリー指数(同)は3.1%上昇した。
 
今のところ、海外投資家は中国の債券市場にそれほど活発に参加していない。2017年末時点で、中国本土債券市場における海外投資家の保有比率はわずか2%にすぎなかった。しかし、新興国及びグローバル債券指数に占める中国のシェアが高まるのに伴い、この比率も上昇すると予想される。例えば、JPモルガン、FTSE、ブルームバーグ・バークレイズの各指数が中国のウェイトを引き上げれば、3,000億米ドル近い資金が中国市場に流入すると見込まれる。そうした資金の流入だけでも、巨大な投資機会が生じることになる。
 
中国のソブリン債はスタンダード&プアーズからA+の格付を得ているが、多くの面で新興国市場よりも先進国市場と似た動きを示しており、国債や政策銀行の債券はディフェンシブな資産クラスとしての役割を果たしている。これは、他の新興国国債が多くの場合グロース資産とみなされており、株価下落局面で資産を防衛する役割をあまり果たしていないのとは対照的だ。
 

中国債券市場のリスクを評価    

しかし、投資機会と同時に潜在的なリスクもある。中国の債券市場は、米国や欧州、英国などの債券市場ほどの厚みがなく、流動性も低い。中国の国債市場は流動性の乏しさ、資本規制、アクセスの不便さなどにより、真に中核的な先進国市場であるとみなすことは難しい。
 
中国の資本勘定が完全に自由化されるまではある程度の警戒が必要だというのがABの見方である。大半の投資家は中国への投資について、アクティブなグローバル戦略や新興国市場戦略の一部として考え、中国の債券市場に関する必要な知識や能力を持ったマネジャーに運用を委ねるべきである。中国債券がいずれ主要指数に組み入れられるのに伴い、中国へのアロケーションはさらに拡大し、その持続性も高まると予想される。
 

中国債券へのエクスポージャー拡大を求める投資家も    

しかし、中国へのエクスポージャーを、グローバル債券あるいは新興国債券のベンチマーク指数に現在組み入れられている水準よりも引き上げたいと考える投資家もいるかもしれない。その場合は、分散度の高い構造を持つ中国特化型債券ポートフォリオが検討に値すると思われる。
 
具体的には、金利への感応度が高い債券を含むバーベル型のクレジット戦略が利にかなっているだろう。金利上昇による循環的なストレスを受けにくい社債などのクレジットには優れた投資機会があるが、クレジット市場は国債市場に比べ透明性が低い。そのため、現地の債券市場やクレジットに関する綿密な分析が必要になる。
 
バーベル構造の金利側には、中国の国債と政策銀行の債券がある。中国最大の政策銀行である中国国家開発銀行が発行した債券は国債よりも流動性が高い。政策銀行の債券は国債よりも利回りが高いが、その主な理由は税の扱いに違いがあるためである。税要因を考慮したとしても、現在の環境においては中国の政策銀行債には魅力的な投資機会があると考えられる。
 
グローバル債券及び新興国債券のベンチマーク指数における中国債券のウェイトは今後も拡大が続く見通しで、それに応じてポートフォリオにおける中国債券へのアロケーションも引き上げる必要が生じる。アクティブ運用を行うグローバル及び新興国債券マネジャーには、現時点で中国国債への資産配分拡大に着手すべき大きな理由があるのだ。
 
もちろん、中国への資産配分をさらに拡大したり、それを維持するには、依然として資本規制の緩和が最大のカギとなる。規制緩和が継続され、それに持続的な改革が伴えば、中国へのエクスポージャーをさらに引き上げるべきだとより強い確信を持って言えるようになる。
 
世界の株式市場や債券市場における中国のプレゼンスが引き続き拡大することは間違いなく、それはポートフォリオの構築や利用できる投資機会に大きな影響を及ぼす。しかし、機関投資家の4分の3以上はまだ中国への投資に関する具体的な計画を持っていない。今こそ、そうした議論を始めるべき時である。
 

 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

https://www.alliancebernstein.com/sites/library/The-Road-to-Investing-in-China.htm

 

 

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当資料は、2018年6月26日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。当資料中の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。アライアンス・バーンスタインおよびABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。
 
 
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