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ヘルスケア銘柄への投資:科学ではなくビジネスに焦点

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ヴィネイ・ターパー 
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
米国成長株式運用及びインターナショナル・ヘルスケア・ポートフォリオ
ポートフォリオ・マネジャー 兼 シニア・リサーチ・アナリスト 
 
 
 

 

 

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2019年3月28日

 
 
ヘルスケア関連銘柄は、2018年に市場が下落した場面では強力な痛み止めの役割を果たした。さらに、同セクターは市場の下落から資産を守るだけにとどまらない大きな潜在力を持っている。ただし、投資家にとって重要なのは、投資対象企業がいかにすばらしい科学的成果を上げるかではなく、ビジネスの収益力であるということを忘れてはならない。
 
2018年のMSCI ワールド指数は8.7%下落したが、ヘルスケア株指数は4.8%上昇した。しかし、ヘルスケア銘柄の魅力はディフェンシブな安全資産としての役割だけにあるのではない。製薬会社、医療機器メーカー、医療サービス機関は大きな経済・社会的トレンドによる恩恵を受けており、同セクターを形作る複雑な要因を解読できれば、リターンを大きく改善できる可能性がある。
 

3つの大きなトレンド

今日のヘルスケア業界では、変化を加速させている要因が3つある。それはイノベーション、価格構造、そして政策である。しかしながら、これらの要因はしばしばお互いに衝突し、製品や企業に対する投資見通しを分かりにくいものにする。ある革新的な治療法が医療保険制度の対象にならなかった場合、人々は大金を払ってその治療を受けるだろうか? 政府は新たな診断テクノロジー開発のために十分な補助金を支出するだろうか? 現在の価格は長期的に持続可能だろうか? こうした疑問に対する回答は国によって異なり、政府による政策や国の経済、家計支出の優先度あるいは文化的な嗜好などに左右される。
 
こうした難題はあるものの、堅実な投資リターンを生み出すべく十分な情報に基づく判断を下すことは、ヘルスケア業界の幅広い領域に関して可能であると考えられる。その第一歩は、よくある間違いを避けることだ。それは、新薬の治験結果を予測しようとしてはならないということである。世界で最も優れた科学者でも治験結果を正確に予測することはできない。投資家が予測しようとすることは、ギャンブルに等しい。投資家がすべきことは、イノベーション、価格、政策が企業の収益力や成長ペースにどのような影響を及ぼすかについて明確に理解することである。
 

医療のイノベーション

科学的なイノベーションは過去何十年にもわたって医療の進歩を支えてきた。だが多くの面で、ヘルスケア分野のテクノロジー革命は依然として初期段階にある。投資家は目の前にある最新の医療機器やバイオテクノロジーに関するリサーチの先を見据え、イノベーションが業界をどのように変革するか理解する必要がある。例えば、医薬品の開発ではビッグデータの利用がまだ比較的限られているが、いずれは治験の有効性を改善する上で不可欠なツールとなろう。
 
医療に関する新たな動向は多くの分野に影響を及ぼす。ロボットはすでに手術の方法を変えつつある。アルツハイマー病や心臓疾患の治療は、人口の高齢化がもたらす経済的コストやリソースの不足に対処する一助となる。軽い風邪からがんの治療に至るまで、人々が昔から取り組んできた課題への解決策が開発されるのは時間の問題である。
 

価格破壊

それでも、強力なイノベーションがいつも経済的に理にかなうわけではない。企業の潜在的な収益力を判断するためには、新たな製品やサービスの価格がどのように決定されるかを理解することが不可欠である。
 
ヘルスケア分野ではイノベーションと価格が不思議な関係にある。テクノロジー分野では、イノベーションがパフォーマンスを改善し、コストを劇的に押し下げることがよく知られている。1960年代に米国航空宇宙局(NASA)のアポロ宇宙船打ち上げに貢献したIBMのメインフレーム・コンピューターは1台当たり何百万米ドルもしたが、その処理能力やデータ保存能力はiPhone1台にも遠く及ばない。しかしヘルスケア分野では、その逆のことが起きる。つまり、イノベーションは価格を押し上げる傾向があるのだ(図表1の左図)。例えば、20年前はがん患者が化学療法を受けるために支払う費用は月200米ドル程度だったが、成功する可能性は限られていた。今日では、一部の化学療法はほとんど副作用を引き起こさずにがんを治せるようになったが、その費用は10万米ドルもかかる 。
 
多くの場合、投資家は価格が現実的であるかどうかを問わなくてはならない。例えば、製薬会社マイランが製造するエピペンは極度のアレルギー反応を起こした場合に命を救うためによく使われる薬だが、その価格はマイランが同業のメルクのエピペンを含むジェネリック医薬品部門を買収した2017年以降、6倍以上に跳ね上がった(図表1の右図)。その価格は持続可能なのだろうか? 高価格の製品は企業の売上高や利益率を押し上げるかもしれないが、市場のダイナミクスや政策によって価格が低下した場合、それはその企業の弱みになりかねない。
 
ヘルスケア分野では価格が勝敗の分かれ目.png
 

政策の影響

政府のヘルスケア政策は、ビジネスの成否を決定付ける大きな要因となる。国民1人当たりのヘルスケア向け支出額は国によって著しく異なり、必ずしも支払った金額が多いほどサービスの質が高いというわけではない。例えば、米国のヘルスケア向け支出額は世界の大半の国よりも多いが、サービスの質は支出額がはるかに少ない英国やドイツよりも低くランクされている(図表2)。
 
政策決定は医療保険の対象となる費用や治療法を左右するため、生死を決する可能性がある。医療保険制度は世界中でコスト上昇に直面しており、増大するヘルスケアのコストを賄う責任を国民が負わされている。また、新興国ではヘルスケア需要が増大しつつあり、ヘルスケアの質を高める努力が続く中、支出が拡大すると予想される。こうしたトレンドは治療法、テクノロジー、サービスの価格に大きな影響をもたらすであろう。
 
政策動向はヘルスケア・ビジネスにとって重要なカギ.png
 

ビジネスのファンダメンタルズ 

これまでに述べた3つの要因を考慮することで、投資家はヘルスケアのビジネスを評価できる。ABでは、価格圧力や政策の変化に直面しながらも長期的に成功を収めることのできる革新的なヘルスケア企業は、次のような特性を持っていると考える。
 
+ 投下資本利益率(ROIC)が高水準または改善しつつある
+ 再投資比率が高い
+ バランスシートが健全
+ 競争上の優位性を持続できるビジネスを有する
 
収益性を犠牲にして利益成長を追求している企業には警戒が必要である。強気すぎる企業も精査する必要があり、多額の債務を抱えていたり、売上げが少数の製品に集中していたりする企業は特に慎重な対応が求められる。さらに、将来の成長が単一の医薬品の治験成功にかかっている企業については、とりわけ注意してかからなくてはならない。
 
インチュイティブ・サージカルはABが優良と考える企業の好例である。同社は医療用ロボット最大手の一角で、参入障壁の高い業界で実績あるテクノロジーを有している。ロボットを用いた手術は世界的に広がりつつあり、2018年に実施された手術件数は前年比18%増加し、約100万件に達した。インチュイティブ・サージカルはROICが高いため、事業拡大に必要な資金を自力で賄うことができるほか、手術のリスクを引き下げ、傷跡も残らない自然開口手術などの分野で新たな事業機会を追求することも可能である。
 
それとは対照的に、医薬品流通業者や病院は投資対象として問題があるケースが多い。医薬品流通関連の企業の多くは、他業界の流通業者の価格モデルのようにサイズ、重量、運送距離ではなく、貨物の値段に基づいて料金を決めているため、彼らの価格モデルは持続不可能である。病院も新たなテクノロジーの進歩により、様々な治療法を求める患者が病院から遠ざかっているため、収益が圧迫されている。
 
ヘルスケア銘柄に効果的に投資するには、独特のスキルが求められる。それは科学的な知見ではない。ヘルスケア分野のビジネスに影響を及ぼす多種多様な要因を統合することが重要で、それに基づき規律ある投資プロセスを適用すれば、ヘルスケア銘柄は株式ポートフォリオの長期的なパフォーマンスに大きく寄与するリターン源泉となり得る。
 
 
 

 
 
 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

https://blog.alliancebernstein.com/library/healthcare-stocks-invest-in-business-not-science

 

 

 

 

 

 

 

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当資料は、2019年3月8日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。当資料中の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。当資料内の格付はJPモルガンの定義に基づきます。アライアンス・バーンスタインおよびABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。
 

 

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