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逆イールドで立ち止らないために

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荒磯 亘 
アライアンス・バーンスタイン株式会社
運用戦略部長 兼 ポートフォリオ戦略室長 
 
 
                                                                                                                                                                     
 
 
 
 

 

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2019年4月24日

 
 
ここ数カ月、米国債券市場では「逆イールド」が話題になっている。2006-2007年や2001-2002年に長短金利の逆転直後に景気がピークアウトしたことから、今回も景気後退や株式市場調整の前兆なのではないかと懸念されているからだ。果たして、この金融市場の価格形成を受けて自己実現的に実体経済が減速することになるのだろうか。2つの理由からアライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)ではこのような予想が正しいとは考えていない。
 
理由の1つは、米国金融当局が過度に金融を引き締めてしまったという認識は正確ではなく、現在の金利が景気を冷やすとは考えにくい点だ。米国では物価上昇率を超えるところまで利上げが進んだかもしれないが、中央銀行のバランスシートはまだ膨れたままであり、量的緩和のストック効果は依然として金利を下押ししている(図表1)。言葉を変えれば、現在の長期金利は政策的に低く誘導されたもので、逆イールド実現の意味合いは過去の事例に比べれば薄いということである。もともと米国連邦準備制度理事会(FRB)は3%前後を利上げの到達点として想定しており、現在の利上げ休止はその途上で立ち止まったものだ。これは利上げを引っ張るだけ引っ張った2005年の状況とは大きく異なる。
 
 
米国の金融政策は依然として「緩和的」.png
 
 
もう1つの理由は、今年の1-3月期に米国景気が弱まった背景の1つとして、長期の政府機関閉鎖などの一時的な要素があったことだ。経済活動をリアルタイムで反映するナウキャスト指数からは、経済活動が底打ちしていることが読みとれる(図表2)。米国4-6月期GDP成長率に関する市場のコンセンサス予想は前期比2.6%と1-3期からリバウンドしており、また、2019年通年の予想経済成長もさほど低下していないことがわかる(図表3)。 
 
 
米国の経済成長は落ち込み一服の兆し.png
 
 
4-6月期の景気リバウンドの市場予想は崩れていない.png
 
 
実体経済に着目すれば、世界のGDPのうち米国が占めるシェアは24%だ(2017年時点)。一方、金融市場の観点からは、MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックスにおける米国株のシェアは約55%(出所MSCI、2019年3月末時点)、FTSE-WGBI 債券指数では米国債が38%(出所FTSE Russel、2019年3月末時点)、為替取引における米ドル建て通貨のシェアは44%(出所BIS、1998-2016年平均)を占め、いずれも米国実体経済の割合を超える。経済実体以上に多くの参加者の意見が反映される金融市場では、米国金融政策当局の急激な金融政策姿勢の変化に振り回された可能性があるが、米国の他地域に対する相対的な経済成長の優位は昨年ほどではないもののまだ保たれているとみている。 
 
なお、米国の10年金利だが、3月末の水準が2.40%であったのに対し、過去5年の平均は2.34%、過去10年では2.50%である。つまり、現在の水準は過去平均に極めて近い水準であり、強く景気後退(もしくはその対策としての金融緩和強化)を織り込むようなものではない。
 
このように、現在の米国景気悪化懸念は行き過ぎの可能性があると考えられるが、この分析が外れて景気が悪化に転じるリスクも踏まえつつ、どのような投資がこの「逆イールド」環境にふさわしいと考えられるだろうか?
 
ここまで述べたように、ベース・シナリオは景気がゆっくりと底打ちしていく展開であり、この観点からはリスク資産を保有し続ける基本姿勢を保つべきだ。これに加え、市場の懸念が自己実現する可能性を考慮し、資産の一定程度をヘッジ目的で分散投資すべきであろう。それには、低金利環境の恩恵を受ける不動産関連資産や、価格変動リスクが小さく利回りも長期債に劣らない短期年限の債券などが、シナリオの如何にかかわらずインカムの確保と分散効果を発揮することで、ポートフォリオの長期的なパフォーマンスに資すると考えられる 。
 

 

 

当資料は、2019年4月18日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン株式会社が作成した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また当資料の記載内容、データ等は今後予告なしに変更することがあります。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。アライアンス・バーンスタイン及びABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。
 
 
 
 
 
 
 

 

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