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日本株と「熱狂的ボラティリティ」のワナ

 

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アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
計量運用戦略 シニア・ポートフォリオ・マネジャー  兼
テールリスク・パリティ戦略共同最高投資責任者

マイケル・デパルマ
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
計量運用戦略 最高投資責任者 兼 テールリスク・パリティ戦略共同最高投資責任者

アーナブ・ニリム
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
計量運用戦略 ポートフォリオ・マネジャー

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2013年7月11日

株式市場が活気にあふれ、楽観ムードが強い時は、ボラティリティに対する恐怖は薄れる傾向にある。しかし、最近の日本株の急落は、熱狂そのものが混乱の原因となり得ることを再認識させた。

たいていの人はボラティリティの上昇を弱気な市場環境と結び付ける。下げ相場では、一段安の恐怖が強まり、価格下落に対する防御であるプット・オプションの需要が増える。こうした需要がプット価格を押し上げ、インプライド・ボラティリティが上昇する。ここでのボラティリティ上昇は、業界用語で「左のテールリスク」として知られるダウンサイドの恐怖が原因であるので、これを「悲観的ボラティリティ」と呼ぶことにする。

しかし、市場が好調な時でも、ボラティリティが高まることはある。あまり一般的でないかもしれないが、それは実際に起こることである。相場の上昇に勢いが付き、大きな利益をすぐ得られると確信する人が増えると、投資家はコール・オプションを購入し、相場上昇の恩恵を受けるポジションのレバレッジを高める。これもまたインプライド・ボラティリティの上昇につながる。しかし、この場合は「右のテールリスク」として知られる大幅上昇の期待が原因であるため、これを「熱狂的ボラティリティ」と呼ぶことにする。 

 

日経平均の高騰でボラティリティも急上昇 

デフレ脱却を目指す安倍政権の経済政策や黒田新総裁率いる日銀の大胆な量的緩和への期待などから、日本株は年初から大幅高を演じてきた。日経平均が急上昇する一方で、そのインプライド・ボラティリティも米国のS&P 500指数に比べて大きく高まった(図表1)。

このように株価が好調な時に、どうしてボラティリティが急上昇したのだろうか。日経平均のインプライド・ボラティリティが上昇したのは、投資家が非常に大幅な上昇を織り込んだ結果、右のテールリスクが高まったためと考えられる。その証拠に、コール・オプションの価格がプット・オプションに対して上昇した。オプション価格の「スキュー(歪み)」と呼ばれるこの差が今回は低下し、マイナスに転じる場面もあった(図表2)。通常はリスクを警戒する投資家が下落に対するプロテクション(プット)に払う価格の方が割高で、スキューはたいていプラスになるため、これは大変珍しいことである。

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熱狂から失望へ  

楽観ムードに起因するボラティリティの上昇は危険をはらむことがある。市場が抑えの利かない熱狂に包まれている時は、ちょっとした失望が一段のボラティリティ上昇を招くことがある。5月23日の東京市場では実際にそうしたことが起こり、日経平均は7.3%も急落した。

米国でもITバブル時に似たようなことが起きた。1990年代半ばにはS&P 500指数のボラティリティが全般に上昇した。当時はインターネット革命が新たな経済パラダイムを創るとの期待が高まり、投資家は相場上昇に参加するためS&P 500指数のコール・オプションに殺到した。バブルが破裂して株価が急落すると、市場のボラティリティはすでに高い水準からさらに一段と急上昇した。

どちらのケースも、熱狂が冷めると、それに伴って不透明感が強まり、ボラティリティがさらに上昇することを示している。一方、悲観が後退すると、それに伴って市場が落ち着きを取り戻し、ボラティリティが低下することが多い。

ここに投資家にとって教訓がある。デリバティブ・トレーダーにとっては、高水準の悲観的ボラティリティをショートすることは高水準の熱狂的ボラティリティをショートするより危険が小さいかもしれない。ただ、一般的なボラティリティ・スプレッド取引では、二つのボラティリティは比較が難しいため、悲観的ボラティリティを買って熱狂的ボラティリティを売ることはためらわれる。

投資家全般にとっては、市場が自信にあふれて高騰している時でも、ポートフォリオをダウンサイド・リスクから守ることを検討することが賢明だろう。通常、市場が右のテールリスクを織り込み過ぎていると思われる時は、ポートフォリオを突然の急落から守るコストは比較的安い。そして、ボラティリティが急上昇すると、日本でもそうだったように、市場が急落してスキューが急上昇する時は、そうした保険のコストが上昇する可能性が高い。

先を見越したリスク管理は受け身のリスク管理よりコストが安く、苦労も少ないことが多い。市場が引き続き大きく上昇すると、そうしたプロテクションは潜在的な利益を圧迫するかもしれないが、ボラティリティが急上昇して熱狂に包まれた市場が急変する場合は、痛みを和らげることができるだろう。

 

 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

http://blog.alliancebernstein.com/index.php/2013/05/30/japans-turbulence-and-the-euphoria-trap/

 

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当資料は、2013年5月30日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。

 

 

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