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人生100年時代: 若者は債券投資で時間を味方につけよう

                                                                                                                                                                     

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中尾 尭
アライアンス・バーンスタイン株式会社
AB未来総研 研究員
運用戦略部 シニア・インベストメント・ストラテジスト





 

2020年1月6日

 
 
「人生100年」という言葉が社会に浸透して久しい。どちらかというと、長寿化を喜ぶというよりは、老後生活の長期化や少子高齢化にともなう年金制度や退職後資金の問題を語る時に用いられる傾向がある。若い世代ほどこうした社会変化の影響を大きく受けるため、若者の間では不安や不公平感が広がっているようだ。
 
しかし、あきらめてはいけない。幸い、若者には時間という心強い味方がいる。そして、超長期投資には複利効果という大きな武器があり、それを活かせる債券投資という手段もある。若者にとって、老後は遠い未来の話に思えるかもしれないが、超長期的な視点を持った資産運用に、今こそ一歩踏み出すべきだろう。
 

超長期投資時代へ

日本の平均寿命は戦後一貫して延伸しており、厚生労働省の推計によれば、2017年には男性が81.09年、女性が87.26年となっている。さらに、2065年には男性84.95年、女性91.35年に達すると予測されている。
 
人口構成においても少子高齢化が進み、65歳以上の人口に対する15~64歳の人口の割合は、2018年の2.1倍から2065年には1.3倍にまで低下する見通しだ。1965年には10.8倍であったということから、いかに少子高齢化が急速に進んできたかが分かる。2065年はたかだか45年ほど先の世界に過ぎないが、現在15~34歳の若年層はその頃になると、わずか1.3人の現役世代に支えられる高齢層の側になる。
 
このことと、実質的に賦課方式(現役世代が支払う保険料を仕送りのように高齢者などの年金給付に充てるやり方)によって運営されるわが国の公的年金制度を考え合わせれば、今の若年層が将来受け取る年金が現在の給付水準を維持できると考えるのは楽観的過ぎるだろう。
 
これが若者に将来不安を抱かせるのは当然といえるが、彼らにとって良いこともある。それは、2065年までにはまだまだ時間があるということだ。30~50年といった、これまであまり論じられてこなかったスパンでの投資を通じて未曾有の超高齢化社会へ備えることで、これらの不安を幾ばくか解消することができるはずであるし、またその必要性が日に日に増しているのだ。
 

複利という魔法

30年以上の超長期投資においては、複利効果が非常に大きな力を発揮する。複利とは、利益がさらに利益を生む仕組みである。例えば、毎年5%(税金や手数料等の費用は考慮しない)のリターンが出る運用商品があったとする。これに100万円を投資すれば、1年後には100万円は105万円に成長する。この105万円をそのままもう1年運用すれば、資金は110.25万円(=105万円×1.05)になる。つまり1年目に得た5万円の運用益が、2年目にはそれ自体が元本となって2,500円の運用益を生み出しているのだ。
 
たかが2,500円と思われるかも知れないが、これは大きな成果に向けた着実な道程の第1歩なのである。30年や50年といった超長期の投資期間で考えると、この複利効果は絶大な威力を発揮する。その力は、20世紀最高の物理学者の1人であるアルバート・アインシュタインをもって「人類最大の発見」と言わしめている。
 
百聞は一見に如かず、である。図表1 は、100万円を当初元本とした場合の複利の効果を、年率での利回り別に示したもので、縦軸に運用成果(万円)、横軸に投資期間(年)を取っている。例えば、年率8%のリターンを生む投資対象に50年間投資した場合、100万円の元本はおよそ4,700万円にまで成長する。
 
複利の効果は絶大.png
 
ここで重要なことは、複利効果を得るには投資収益を再投資し続ける必要があるという点である。投資信託でいえば、分配金受取りコースではなく、分配金再投資コースで投資するということだ。それがどれほどの違いを生むのかを確認してみよう(図表2)。例えば上の年率8%リターンの例で、投資収益を毎年引き出して(あるいは分配金として受け取って)再投資しない場合、元本は毎年100万円にリセットされるので、50年間運用した場合は投資収益が400万円(8万円×50年)プラス元本の100万円となり、50年にわたる受取額の合計は500万円である。
 
利益を再投資して複利効果を得ていれば約4,700万円になった運用成果を、500万円の受け取りで終えてしまうというのはあまりにももったいなくはないだろうか。こと超長期投資において、複利効果とはかくも絶大な効果を発揮するのである。老後資金のためにといった明確な目標がある超長期投資においては、複利効果の恩恵に浴するべく生活資金と投資資金は区別し、投資資金には手をつけないことが肝要である。
 
元本100万円を50年間投資した成果.png
 

実績はどうなのか?

しかし、現在の市場環境下で年率8%ものリターンを安定的に達成するような投資対象が存在するのかという問題がある。バブル期であれば、郵便局(現ゆうちょ銀行)の定額郵便貯金の最高利率が8%に達した時代もあったが、現在これらの預金性商品の利回りはほぼゼロである。一定の市場リスクを取らなければ、相応のリターンは望めない超低金利環境になっている。
 
複利効果を着実に得るためには、安定的に利益を生み出すタイプの投資対象が望ましい。銀行預金のように一定の利息支払いを期待できる資産をと考えると、現在の環境下においては、債券が有力な投資対象候補となる。債券投資においては、債券の発行体の信用力に応じて利回りが異なり、外貨建てのハイイールド(高利回り)債券の中には利回り8%を超える銘柄も少なからず存在する。もちろん、相応の債務不履行リスク(発行体の倒産などによって元利払いが履行されないリスク)がある点には注意が必要である。
 
ただし、投資信託ならば比較的少額の投資であっても十分な銘柄分散ができるため、そうしたリスクも低減できる。中でも、企業の財務や市場環境について詳細に分析している資産運用のプロフェッショナルが銘柄を厳選しているアクティブ運用型のファンドであれば、債務不履行リスクが高まった場合にも機動的な対処が可能になる。ここで、実際の市場の値動きを見てみよう。図表3 では、代表的なハイイールド債券のインデックスであるブルームバーグ・バークレイズ・米国ハイイールド社債指数(米ドルベース)のトータル・リターン指数と、複利曲線を示している。
 
これを見れば、米国ハイイールド社債指数は、1989年9月末からの30年間に、年率8%の複利曲線に近い成長をしていることが分かる。しかもその値動きは、上下動はあるものの長期にわたって基本的に複利曲線に沿うような形で成長していることが見て取れる。これは、債券投資では、債券価格の変動ではなくインカム収益がリターンの中心であることが大きな理由となっている。
 
債券投資の成果.png
 
 

投資タイミングへの依存が少ない債券投資

債券投資の特長をより良く捉える為に、株式市場との比較を見てみよう。図表4 は先ほどのグラフにS&P 500トータル・リターン(配当込み)指数を加えたものである。
 
株式と債券を比較すると、その値動きの大きさ(ボラティリティ)が違うことが良く分かる。米国株式市場もこの30年間は非常に強い成長を達成しているが、その値幅の大きさはハイイールド社債の比ではない。これは株式投資ではより投資タイミングが重要である事を示唆している。株式市場で割高になっているようなタイミングで投資を行えば、価格下落のリスクが大きい。
 
これに対して、インカム収益に根ざした債券投資の強みの1つは、ドローダウン(短期的な下落による損失)が限定され、かつ回復が速いことだ。言い換えれば株式投資ほどタイミングに敏感になる必要はないのだ。株式市場の値動きを見れば、何度か局所的な最高値をつけてから下落している局面がある。過去の最高値を更新するのに要した時間をリカバリー期間と呼ぶが、株式市場を振返ると過去に何度か長いリカバリー期間を経験していることが分かる。
 
株式と債券の比較.png
 
1つ目はITバブル崩壊後の期間である。2000年8月に高値を記録した後、S&P 500指数は下落しているが、これを回復したのは2006年10月で、実に6年以上のリカバリー期間を必要とした。リーマンショックの際は、2007年10月の高値を取り戻したのは2012年3月で、4年5カ月を要している。しかも、世界の株式市場の中でも米国市場は過去30年間において最も力強く成長した市場の1つである。日経平均は、1989年12月の高値を30年近く経った現在でも回復していない。
 
これに対して、債券のリカバリー期間は相対的に短い。ITバブル期については、2001年2月の高値を回復したのは2年1カ月後の2003年3月。リーマンショック時も2007年5月の高値を2年2カ月後の2009年7月には回復している。景気悪化に伴い、価格が急落(利回りが急騰)したとしても、債券は発行体が倒産しない限り当初額面価格に向かって回復するため、十分に銘柄が分散された指数であればパフォーマンスは一時的な下落からの回復も早いのである。この点を理解していれば、たとえ一時的な値下がりに直面しても、投資家は冷静を保ち易いだろう。十分に分散されたポートフォリオにおいては、投資時の利回りが投資収益の目安となり、長期的に利回りが安定していれば、パフォーマンスは複利曲線に沿って理屈どおり上昇してくれる。
 
人生100年時代といわれる長寿化と少子化による年金財政のひっ迫という問題は、2,000万円問題という見出しが世間を騒がせたとおり、若年層を中心に多くの人の心にトゲのように刺さっているのではないだろうか。しかし幸い若者は時間を味方に付けることができる。また超長期投資には複利効果という大きな武器があり、金融市場には債券という予見性の高いインカムを生み出す投資対象がある。
 
若い現役世代にとって自身の年金受給は遠い未来の話かもしれないが、それは生きていれば確実に訪れる未来である。その時には自分を支えてくれる現役世代が今よりはるかに少なくなるという現実もわかっている中で、将来のために超長期的な視点を持った資産運用の必要性が増している。数十年という単位の時間を掛けて計画的な資産運用を続けていくことで、来るべき未来に十分備えることが出来るはずである。投資は余裕資金のある中高年だけのもではなく、資金はあまりなくても時間というかけがいのない特権を活用できる若年層のためのものでもある。いつかではなく、今こそ一歩を踏み出すべきではないだろうか。
 
 
 
 
 
 
 
 
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