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コロナ対策: 「ツケ」を払うのはいつ?

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エリック・ウィノグラド 
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
債券部門 シニア・エコノミスト 
 
 
 

 

 

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2020年5月11日

 
 
新型コロナウイルスの猛威により、米連邦準備制度理事会(FRB)と議会は緊急対応策の相次ぐ発表を余儀なくされた。米国経済は最終的には回復するだろうが、これら政策の影響は良くも悪くも長らく残存するだろう。
 
新型コロナウイルスの危機発生以来、FRBと議会は金融システム維持及び経済支援のため、その権限を最大限に活用して前例のない措置を展開してきた。FRBが緊急融資枠の設定など財政政策すれすれの対応に踏み切ったこと(以前の記事『The Fed Could Roll Out De Facto Fiscal Policy Under Section 13(3)』(英語)ご参照)、議会が2兆米ドル規模の新型コロナウイルス支援・救済・経済保障法(CARES法)を2020年3月下旬に可決したこと(以前の記事『The Key Part of the US Fiscal Relief Package? Willingness to Act』(英語)ご参照)などがその代表的な動きだ。
 

政策は必要だ。しかし「タダ」ではない

アライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)の見解では、これらの取り組みは実施されて然るべきものであり、今後数週間のうちにさらに多くの動きが出てくるだろう。政策当局による迅速かつ広範な対応は、苦境に立たされている医療制度の拡充、職を失った人々や困難に直面中の企業に対する支援、金融市場の機能維持など、あらゆる側面で効果を発揮している。
 
これら全ての施策は新型コロナウイルスによるショックを緩和する機能を果たし、最終的な回復に向けての地固めの役割を担おう。しかし、これほど大規模な政策の恩恵は「タダ」ではなく、最終的には「ツケ」を払う必要がある。一部の政策は一時的措置に留まるため、時間の経過に伴い元に戻るだろうが、ものによっては今後何年にもわたって米国の経済及び市場に多大な影響を及ぼすだろう。
 

FRBのバランスシートは年末までに倍増する見込み

今般の危機においてFRBは2つのチャネルを通じた支援策を打ち出しており、ABでは特に流動性チャネルに着目してきた。FRBは市場流動性の回復に向けて、多くの略語を用いて無数のプログラムを発表してきた(QE、PDCF、MMLF、CPFF、PMCCF、SMCCF、TALF、MLF、MSNLF、MSELFなど)。過去、FRBはこのような流動性供給プログラムの下で米国国債や不動産担保証券(MBS)を「一時的に」購入してきたが、結果としてFRB のバランスシートは大規模かつ長期にわたって肥大化してきた歴史がある。
 
今回の量的緩和は「無期限(Open Ended)」であり,従前のものより規模が大きくなることは間違いない。実際、FRBのバランスシートは2020年末までに100億米ドル近くに膨らむと予想されており、これは危機前の2倍以上の規模だ。FRBは景気回復の足かせになる金利上昇を決して許容しないだろう。その姿勢は前例のない政策に裏付けられている。
 

政府債務急増と税収激減の先に

肥大化しているのはFRBのバランスシートだけではない、政府債務もそうだ。経済下支えに不可欠な大規模財政出動とロックダウン等を受けた税収激減の組み合わせが意味するところは単純で「財政赤字の急増は免れ得ない」という事実だ。したがって、長期的には増税、とりわけ富裕層を中心とした累進課税の強化が政府の資金調達にあたって重役を担うだろう。が、残念ながらこれだけでは済まない。
 
上述の課税強化を前提としても、財政赤字の拡大に伴い、より多くの国債発行が必要になることは不可避だ。ABでは、政府の対GDP債務残高比率が近々100%を超えると予想しており、同比率はしばらく高止まりすると見ている。つまり国債発行の急増であり、その意味するところは金利上昇に伴い債務返済負担が顕著に増加してしまう体質になった、ということだ。
 

政策新世界の幕開け

要するに、財務省による国債発行量が未曾有の規模となり、FRBは低金利維持のために国債を爆買いする未来をABは予想している。これが物議多き財政ファイナンスに聞こえるとしても致し方ない。多かれ少なかれ実際そうなのだから。当然、当局はこのような表現は用いず、経済活性化及び金融市場の機能維持といった意義を声高に強調するだろう。
 
だが、どう取り繕おうとも、とどのつまり本質は変わらない。我々は、財政政策と金融政策が一体となった新世界に突入したのである。米国経済と政府はもはや金利上昇に耐えられず、FRBは金利上昇回避のためには、文字どおり「何でもする」だろう。
 

清算のとき

「新世界」と書いたが、これは突如降って沸いた現象ではない。ABはポピュリズムの広がりが政策をこの方向に押し進めている点を以前から指摘しており、今般の危機はあくまで時計の針を予想以上に進めたに過ぎない。そして、残念なことに中央銀行の財政ファイナンスに対して歴史が下す評決は概して無慈悲だ。多くの判決文にはこう書いてある。「経済効率悪化とインフレ昂進の刑に処す」と。
 
これはあくまで長期的な視点に立ったリスクであり、短期的に顕在化するものではない。米国経済がまだ苦境に立たされている間は、高インフレとはならないだろう。しかし、経済が回復して相応の年月が経った後、政策当局は古傷の疼きとともに思い出すだろう。戦後処理はまだ終わっていないと。
 
 
 
 
 
当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

https://blog.alliancebernstein.com/library/the-coronavirus-policy-wave-when-will-the-bill-come-due.htm

 

 

 

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