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コロナショック後の債券投資、ここが変わった4つのポイント

                                                                                                                                                                     

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荒磯 亘
アライアンス・バーンスタイン株式会社
AB未来総研 主任研究員
運用戦略部長 兼 ポートフォリオ戦略室長





 

2020年5月20日

 
 

コロナショックがもたらした昨日と違う日々

米国10年国債の利回りの推移を振り返ってみると、思いのほか大きく動いていることに気付く。年間の最高水準と最低水準の差が1%を超えた年が、2019年までの4年間のうち2度あったし、2020年も開始4カ月にしてすでに昨年末からの低下幅が1%を超えている。金利はそう頻繁に大きく水準が変わるものではないはずだが、近年は「常識」が変わることが多々ある。
 
2020年3月のコロナショックは、経済減速の世界的な広がりや急激さにおいても、それに対する政策対応に関しても、従来の常識を超えたものである。株式市場や投資適格社債のスプレッドを見れば、コロナショックによる下落は4月のひと月で六割ほど戻したことになるが、それで資本市場が元の「正常な」状態に戻りつつあると考えることができるのだろうか? 本稿では、ポスト・コロナショックの債券投資を考える上でカギとなるであろう大きな構造的変化について検証したい。
 
 

債券市場のこれから①
財政と金融のハーモニーがもたらす国債利回りの低位安定

米国は政策金利をゼロまで引き下げたが、これからの米国債利回りはどうなるだろうか。新型コロナウイルスとの戦いは長期戦だ。ソーシャル・ディスタンシングを実施するために各国政府が企業や消費者を支援しており、マクロ的に考えると政府が民間のリスクの一部を引き受けていることになる。歴史的に見ても、戦争のような非常事態の際には主要国の債務は膨張してきたし、今回もそれに相当する動きが予想される(図表1)。では、その結果として、国の信用リスクが高まり、利回りが上昇することになるだろうか? アライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)では、そうはならないと見ている。
 
G7の政府債務の合計(対GDP比).png
 
理由としては、まず需給が挙げられる。そもそも量的緩和をしているのだから、利回りは上がりにくい。財政拡大によって増大する国債発行を中銀の量的緩和で吸収している状況は、どの地域も変わりない(図表2及び図表3)。また、景気見通しがこれまでになく不透明で、投資家も安全資産の国債を手放しにくい。
 
これだけ債務が増えると、各国政府は債務の持続性を維持することに、今まで以上に配慮するようになるだろう。債務の残高が大きくなるにつれ、金利が仮に上昇した場合の利払い負担も大きくなるからだ。言葉を変えれば、低金利政策を維持するインセンティブが働くようになっている。
 
 
先進国と中国の財政赤字の合計.png
 
中央銀行の債券購入額の合計(米国、ユーロ圏、日本、英国).png
 
 

債券市場のこれから②
産業構造のリバランスにより、淘汰される企業も

新型コロナウイルスが人間の行動をどう変えるかについては、確たることは誰も言えない。だが、戦争や自然災害などで社会に大きな被害がもたらされると、人の価値観が変わることがあり、今回もそうなる可能性がある。近年では、例えば2008年の世界金融危機後、それまで自由主義経済の象徴であった金融セクターで規制が大幅に強化された。
そして、その結果、産業全体で収益率が低下した。
 
コロナショックによる景気減速は、通常の景気循環的な経済活動の縮小だけではなく、消費者が求めるサービスや、危機を耐えしのいで新しいサービスを提供できる企業の台頭といったリバランスを伴うだろう。例えば、エッセンシャル・ワーカーに向けられる眼差しが変わり、「医食住」への意識が高まるかもしれない。このような価値観の変化により、景気の回復は産業によって濃淡が出るだろう。
 
図表4 は、米国GDP成長率のコロナショックの有無によるシナリオ比較だ。ショックの発生でGDP成長率は大幅に落ち込むものの、その後は巡航速度への回復が想定されている。しかし、個別企業レベルでは、いったん倒産すればその後の回復はない。当初の景気落ち込みの一部は、デフォルト・リスクの顕在化として現れる可能性がある。
 
米国GDP成長率の予想シナリオの変化.png
 
 

債券市場のこれから③
政策が誰を利するのか、見極めには長期的な観点も必要

コロナショック直後の買い戻しでは、同じ社債でもハイイールド債が相対的に出遅れた。投資適格企業に対する流動性供給が手厚かったことと比べ、政策支援効果が見劣りしたからだ。これには二次効果がある。格付の高い、つまり借金の少ない企業は低い金利で資金調達を続ける一方で、格付が低く借金の多い企業は高い金利を強いられる。今後はさらに優勝劣敗が進む可能性があるのではないだろうか。
 
より複雑な例もある。あまりに急激な失業の増加に対応するため、米国ではモーゲージ・ローン返済の一時的な滞納を許している。これにより一部の住宅ローン担保証券(MBS)証券の価格が急落しているが、逆にこの施策によって最終的なデフォルトが防止されれば、期限前の返済は減るだろうがモーゲージ・ローンの満期日までにはつじつまが合う。巨大なモーゲージ市場を救うために、社債とは違うアプローチが取られたと考えられる。同様に巨大市場である新興国債券に対してIMFが行う支援、欧州周辺国に対して欧州連合や欧州中央銀行(ECB)が行う支援も、長い目での評価が必要だ。 
 
 

債券市場のこれから④
ゼロ金利の復活で、外債の利回り妙味も復活

債券は「ノーリスク・ノーリターン」ではない。外国債券の利回りは、国債では低下したが社債ではコロナショックの前後で上昇している。また、各国の政策金利がゼロ近辺で揃ったことで、為替ヘッジ・コストも低下している。このため、日本の投資家から見れば債券投資の利回りはむしろ上昇している(図表5)。 
 
コロナショック前後の外国債券投資環境の変化.png
  
 

コロナショック後の債券投資

債券のインカム創出能力は健在だ。しかし、その利益を享受するために考慮すべき要素は、上述のとおりコロナショック前とは異なってきている。
 
新型コロナウイルスと人類の戦いは長期戦が想定される。今後も、政策動向は最重要課題であり、個々の債券セクターへの支援内容を吟味する必要がある。そして、投資成果を上げるためには、支援を受けずとも債務を履行できる発行体を見極める分析力や、歴史に例を見ないほどの経済指標のブレに惑わされず魅力的な利回りの債券を購入する判断力がカギを握る。特定の債券セクターへの限定や時価総額構成への意識にこだわらない、アクティブな投資姿勢が求められる。
 
 
 
 
 
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