期待リターンはさらに低下し、コストや規制改革に伴うプレッシャーがのしかかる中、機関投資家が対処しなければならない課題がますます増えている。アライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)では、さまざまな地域のコンサルタントに、マーケットのトレンドから手数料、そして将来の投資の成功を育む資産運用会社の文化的特性に至るまで、資産運用業界が抱える最大の課題についての取り組みについて聞いた。

1. アセット・オーナーが直面する最大の課題を挙げてください

JANAインベストメント・アドバイザーズ(オーストラリア)最高投資責任者、Steven Carew氏 :

+ 投資目的の達成: インフレ率を3-4%上回る実質リターンを達成するなどといったポートフォリオの投資目的を達成することは、過去10年間よりも今後10年間の方が難しいと考えます。予想リターンは、キャッシュ、債券、クレジット、不動産、インフラを含む利回りベースの資産クラス全体の低い利回りに制約されるでしょう。さらに、経済成長は比較的緩やかなものになるという見通しや現在のバリュエーション水準は、株式市場にとって逆風となっています。しかし、その多くは将来のインフレ率の動向にかかっています。インフレ率が低水準となれば、現在の資産のバリュエーション水準を維持しつつ低金利を持続させることが可能となり、リターンを押し上げることもできるかもしれません。現在のバリュエーションを支えているインフレ率1-2%の環境では、1桁台半ばのリターンが達成可能であり、大半のポートフォリオがリターン目標を達成できるでしょう。

+ ポートフォリオにおいて信頼性の高いリスク・ヘッジ手段を見つけること: ここ数年、債券と株式のプラスの相関の度合いが高まっており、債券のリターンの低迷(2018年下旬のように利回りの上昇が原因)と株式のリターン低下が同時に発生しています。ほとんどの投資家のポートフォリオにおいてリスクの大部分を占める株式に対するヘッジとしての債券の信頼性には疑問の余地があり、株式と債券のパフォーマンスが同時に低下するというシナリオは非常に現実的になっています。先ほど述べたように、インフレ・リスクは、投資家がデュレーションの長い資産に対して高いエクスポージャーを有していること、及びインフレ率や金利が長期にわたって上昇した場合のポートフォリオのバリュエーションに及ぼす潜在的な影響を考慮すると、重要な意味を持ちます。

+ 規制改革と複雑さの管理: 投資コスト、ポートフォリオの保有銘柄、議決権行使やエンゲージメント活動、ESG(環境・社会・ガバナンス)や気候変動に伴うリスク管理に関して、より多くのそして詳細な情報開示が求められており、リソースや多くの関係者への効果的な情報伝達という点で、基金の大きな課題となっています。基金はまた、規制当局が他の基金に対する相対パフォーマンス評価に一層重点を置いている一方、受益者のために設定した運用成果の達成にも一層注力しなければならず、その両立という難題にも直面しています。これら2つに取り組む方法は必ずしも同一ではなく、互いに矛盾する可能性もあります。

カラン(米国)シニア・ヴァイス・プレジデント、ファンド・スポンサー・コンサルティング、Brian Smith氏 :

+ リターン目標の達成: アセット・オーナーは今までで最も困難な投資環境にさらされているだけでなく、米国そして米国以外でも金利は歴史的に低い水準にあり、成長は横ばい、事実上全ての資産クラスで資本市場の見通しが徐々に低下している状況でリターン目標を達成することは非常に難しくなっています。

+ ボラティリティの上昇: 当社独自の資本市場予想では、現在の投資家は、7.5%のリターンを生み出すためにわずか15年前の2倍のリスクを取る必要があります。2004年を振り返ってみると、7.5%のリターンを達成するためには、ポートフォリオにおいて公開株式を半分の割合で保有していました。しかし2019年では、同等のリターンを達成するためには、ポートフォリオの最大96%をリターン追求型の資産で構成する必要がありました。つまり、わずか15年で、7.5%のリターンを達成するために必要なリスクは、8.9%から18%へとほぼ2倍になったのです。

+ 複雑さとコストの増加: リスクが増大する理由は、デフレ環境では防御策があまりないからです。債券のアロケーションを4%に下げなければいけない状況では、リスクから投資家を守る「安全資産」は事実上無いことになります。18%の標準偏差とは、ポートフォリオ全体において株式並みのボラティリティを意味するため、アセット・オーナーは非常に高いボラティリティと直面していることになります。

重要なことは、リターンを追求するポートフォリオは、これまで以上に複雑でコストがかかるものにとなっているということです。2019年におけるリターン追求型のポートフォリオでは、債券はわずか4%で、プライベート・エクイティと不動産が約30%を占めていました。アセット・オーナーがより多くのリスクを取ることで多くのリターンを獲得しようとすればするほど、分散のコストは高まり、すでに厳しい環境においてさらにストレスが高まるばかりです。

レディントン(英国)マネジャー・リサーチ責任者、Nick Samuels氏:

割高とはいかないまでもほとんどすべての資産クラスが適正価格で取引されているため、アセット・オーナーが、これらの資産のリターンを予想する時、今後は過去のリターンから大幅に低下しうると認識しています。このような環境下で必要なリターンを達成できるでしょうか? 理論上は難しいでしょう。

もう1つの課題は、我々が直面している環境問題において、アセット・オーナーは彼らの権限を持ってしてどこまで責任を負うかという点があります。彼らは気候変動問題をどの程度考慮するべきなのでしょうか? 社会そして世界人口の一人として抱えるリスクのために、どの程度リターン低下を許容すべきなのでしょうか? これは彼らが向き合わなければならない長期的な課題であり、彼らの資産にも直接的に影響するでしょう。

株式会社大和ファンド・コンサルティング(日本)年金運用コンサルティング部長、三田部充氏:

  1. 金利水準の低迷による期待リターンの低下
  2. 1を受けた、運用手法等の多様化による管理の複雑化
  3. スチュワードシップ・コードへの対応、ESGへの対応

2. 先の課題のうち、資産運用会社とコンサルタントが適切に対処できていないものはどれですか

Nick: 明らかに、資産運用会社やコンサルタントたちは、これらの問題や対処方法について考えてはいますが、特に環境面での取り組みについてはまだ始まったばかりという印象です。バリュエーション面では、市場ベータにあまり依存しないオルタナティブ投資戦略が長年打ち出されており、今後もその傾向が続くでしょう。

三田部氏: 金利水準の低迷による期待リターン低下の問題。数年にわたり、日本の年金基金等は投資対象資産の拡張、運用手法の多様化・分散化を進めており、実際に進展が見られているものの、金利低迷の長期化を受け、更なる対応を今なお模索しています。

Steven: 資産運用会社やコンサルタントたちは、これらの問題への対処方法を探し求めていますが、おそらく、最も対応策が求められているのは、信頼性の高いリスク・ヘッジ手段を見つけることではないでしょうか。オーストラリアの投資家にとって、豪ドルは、市場のストレス局面で主要通貨対比で下落する傾向があるため、緩衝材の働きをし、海外資産へのエクスポージャーによる下落の一部を相殺します。しかし、1米ドル=70豪セントを下回っているため、その役割を果たす力は低下しているでしょう。

オルタナティブ投資戦略の多くは、アクティブ運用のパフォーマンスが悪いため、近年、苦境に陥っています。しかし、だからと言って、この先のストレス局面で同戦略における相関が高まったり、ダウンサイド・リスクを抑制する機能が低下することを必ずしも意味するものではありません。最も信頼できるヘッジ手段であるキャッシュやインフレ連動債はバリュエーションの観点で魅力度が非常に低いように思われ、特にインフレ連動債はインフレ率の上昇と同時に起こりうる実質金利の上昇の影響を受けるため、インフレ・リスクに対するヘッジ手段を見つけることは困難です。

Brian: 多くのアセット・オーナーが、ポートフォリオにおける「成長を目的とした資産配分」の定義を練り直し、その配分を減らすことなくリスクを抑制するために、ハイイールド債券、不動産デット、転換社債、低ボラティリティ株式、ファクター・ベース戦略、オプション戦略が含まれるようにしています。

これは、ほとんどの資産運用会社がとってきた商品革新のアプローチとは逆のトレンドです。資産運用会社が新商品あるいは改良された商品を立ち上げる際、大半が今までよりもリスク及びリターンが高くなっています。最も重要なことは、手数料などの費用が従来と比較して高く設定されていることです。リスクそして手数料が高い商品が増えたことが、多くの資産運用会社の経営リスクを高めています。景気サイクルが進むにつれて、リスク軽減型の戦略に対する需要が増大する可能性が高いからです。

3. アルファが不足しているため、多くのアセット・オーナーとそのコンサルタントが伝統的な従来の資産配分を再検討するようになりました。資産配分でどういった工夫をしていますか、何が機能していて何が機能していないのですか

カラン(米国)エグゼクティブ・ヴァイス・プレジデント、キャピタル・マーケッツ・ディレクター、Jay Kloepfer氏: 

私たちは依然として伝統的な資産配分の正当性を信じています。また資産配分とアルファの追求は別々の課題だと考えます。投資を構成する基本要素は引き続き株式と債券の2つであり、キャッシュを入れれば3つだと考えているため、株式、債券、キャッシュへの適切なエクスポージャーが資産配分を構成します。そして策定された資産配分を実行に落とし込むところで投資家はアルファを追求できると考えます。私たちは「伝統的」アプローチを見直して、過去30年間、特に過去10年間に機関投資家の間で急速に取り上げられている数多くの戦略やサブ資産クラスを分析の対象とし、それらをポートフォリオに組み入れることも視野に入れています。

私たちは、株式と債券という基本的な投資対象に難解な投資の枠組みを重ね合わせる際に、「目的主導型」の資産配分という表現を用いたいと考えています。

その目的には、成長、リスク軽減、実物資産、予期せぬ投資機会など実にさまざまなテーマが含まれます。例えば、成長の定義を広げれば、純粋な公開/未公開株式だけでなく、プライベート・デット、ハイイールド債券、バンク・ローンやその他のクレジット、転換社債、さらにはおそらく証券化商品やファクター・ベース戦略、ポータブル・アルファ、ロングバイアスのマルチアセット戦略、リスク・パリティ戦略などの複雑な株式投資戦略も投資対象とすることができます。

少し俯瞰的に見ると、成長、リスク軽減/インカム/流動性など に分類するには、どの程度の成長が必要か、どの程度のリスクを許容できるか、重要なリスク(ドローダウンや流動性)を抑制するためにどの程度のリターンを犠牲にできるかなど、従来の株式60/債券40の資産配分の構築時と似た思考プロセスが必要となります。リターンのニーズ、リスク許容度、市場の予想により合致したポートフォリオを構築できるツールはあるでしょうか?

投資資産の選択肢が大きく広がっているため、多くのポートフォリオで分散の重要性が劇的に増しており、非常に複雑になっています。何が機能していないのでしょう? アルファの追求が資産配分やリスク許容度の設定と一緒に語られていることが問題です。資産配分をアルファの源泉とすると、設定したリスク許容度から意図せず逸脱してしまい、長期的に期待どおりのリターンを得られなくなってしまいます。適切なリスク水準で長期的なリターン目標を達成するためには、思慮深い実行と慎重な姿勢が必要です。

Steven: アルファではなく、政策金利や債券利回りの低下が、資産配分の在り方を大きく変えています。金利及び債券利回りの低下は、投資家のポートフォリオのうち債券やキャッシュに投資していたかなり大きな部分で、インフレ率と同等あるいはより高い水準のリターンを得ていたのが、インフレ率より大幅に低いリターンしか得られなくなってしまい、期待リターンを大きく低下させています。また、 債券の部分においては、エクスポージャーを削減した分を何に再投資するかによって結果がまちまちとなっています。例えば、債券の割合を減らした分、クレジット、不動産、インフラ・デットなどの利回り追求型のエクスポージャーを増やした場合、リターンは上昇しています。一方、(アクティブ運用にとって厳しい環境だからという理由で)キャッシュ、短期デュレーション債券、多くのオルタナティブ資産に投資した場合、リターンは債券より劣っています。

三田部氏: 日本の年金基金を例に挙げると、投資対象資産の拡大、あるいは資産区分の変更(例:国内外の区分撤廃、目的別等新たな資産区分の設定)等の工夫を行っています。これにより、運用の多様性・柔軟性を高め、あるいは運用についての考え方の再整理等を図っています。結果として債券運用手法の多様化、低流動性資産等のオルタナティブ投資の増加等が進んでいます。

一方で低金利による期待リターン低下を、どの程度・どのように補完するか、という点については明快なコンセンサスが無く、模索を続けています。

Nick: 私たちは従来と異なる2つの視点で資産配分を捉えています。1つはリスク・プレミア戦略などのオルタナティブ戦略に注目したり、かつてはヘッジファンドに分類されていましたが現在では幅広い機関投資家がより容易にアクセスできる資産を見直したりしています。もう1つは、非公開のプライベート資産、特にプライベート・クレジットに着目しています。

4. ここしばらくの間、手数料の水準は低くなっています。今後10年間で手数料体系はどのように進化すると思いますか

三田部氏: 投資家(アセット・オーナー)の立場からすると、手数料水準の低下は一般論として好ましいことですが、行き過ぎた水準低下は運用サービスの質の低下を招きかねないとの懸念があります。したがって、単純かつ一方的な手数料水準の低下が進むことはないと考えていますが、手数料の引き下げ圧力自体は何がしか存在し続け、投資家に妥当性・合理性が容認されない部分について、選別的に水準の低下が進むと予想しています。

Steven: 手数料引き下げの圧力は、いくつかの形で続くと思われます。流動性の高い資産クラスでは、パッシブまたはリスクが低いベンチマークに基づく戦略の採用を増やす、または手数料を引き下げるためにインハウス運用を行う傾向が強まるでしょう。また、アセット・オーナーの統合や規模拡大により、アクティブ運用商品を巡る力が売り手(資産運用会社)から買い手(アセット・オーナー)に移るとともに、パッシブ戦略の採用やインハウス運用の増加で需要が減るため、アクティブ運用を行う資産運用会社の利益は引き続き縮小することが予想されます。

非上場の資産クラスでは、手数料がはるかに低く、場合によってはゼロとなっている(投資家が独自のデュー・デリジェンスによって資産を直接購入する)直接投資と(投資家が資産及びプライベート・エクイティのファンドを直接購入する)共同投資が飛躍的に増えています。言うまでもなく、(運用手数料2%/成功報酬20%のような)手数料が高い商品については、オーストラリアの機関投資家の間では需要が激減しています。

Nick: 手数料は絶対値という観点でかなり下がったと思いますが、さらに下がる可能性がある分野があると思います。特にプライベート・エクイティにおける手数料は、一般的に依然として高いと言えます。そのため、今後10年間で絶対値としての手数料がさらに下がる余地があると考えます。

しかし、より成果に基づく手数料体系を構築することも重要だと思います。ヘッジファンドの世界では長い間、ベース・フィーと成功報酬の概念が使われていましたが、他の多くの資産ではさまざまな理由で使用されていません。ここ数年では、アルファに応じて追加報酬を課す成功報酬体系のようなものも見受けられます。今後顧客のお財布にもう少し優しくもあり、もう少し成果に基づいた、バランスの取れた手数料体系ができれば良いと思います。

5. 資産運用会社やアセット・オーナーにとって、業界が直面する課題に対処するために必要とされる最も重要な文化的特性は何ですか

Steven: 次の文化的特性が最も重要になると考えます。

目標とその達成のための計画が明確であること。投資家は、どのような責任を負い、何を信じるかについて明確でなければなりません。どのように規模を達成または維持するか、リターンが低い世界でどのような投資を行うか、受益者が求めているものをどのように提供するかなどの課題に取り組む方法について、計画を立てる必要があります。

機敏であること。急速に移り変わり、ダイナミックに変化する世界と投資業界において、投資家は、商品設計やポートフォリオ構築から、メンバー同士のコミュニケーションやエンゲージメント戦略に至るまで、運営のあらゆる側面に適応できなければなりません。

自身の競争上の優位性を知ること。投資家は成功の可能性を最大化するために、自身の競争優位性が何であるかを知り、その強みを生かす必要があります。

三田部氏: それぞれの立場における、それぞれの責務に対する誠実さ。アセット・オーナーは、自らの運用の目的、制約条件を明確にして資産運用会社に運用を委託し、適正な評価を実施するとともに、適正な報酬を支払うことが必要です。資産運用会社は、オーナーの要望に対する十分な理解の下、自身の能力・手法を駆使して要望事項にふさわしい運用サービスを提供しなければなりません。

Nick: お客様のことを第一に考え、個々のニーズを理解し、それに応える個別のソリューションを提供すること。これは少なくとも一部の資産運用会社がこれまで行ってきた、単にさまざまな資産に優先順位をつける方法とはまったく異なるものです。商品は適切なレベルの運用キャパシティ上限が設定され  、特定の顧客に対して適切な水準の手数料で作成されるべきです。

顧客重視の姿勢を高めるということは、よく売れるであろう商品を考案し、それを立ち上げて積極的なマーケティング活動を行って販売促進を図るのではなく、顧客にとって正しいことを行うことで利益を生み出すということです。それは、売ろうとすることではなく、耳を傾け、ソリューションを見つける努力をするということです。

カラン(米国)シニア・ヴァイス・プレジデント、グローバル・マネジャー・リサーチ共同責任者、Mark Stahl氏:

次の6つの文化的特性が最も重要になると考えます。

意味を理解し、目的を持つ
信頼できる創造性を持つ
物事を完全に理解する
バランスを保つ
皆の意見を尊重する
他人の感情を理解する

6. アルファと手数料以外に、資産運用会社が、アセット・オーナーとそのコンサルタントから支持を得るための最も重要な特性は何ですか

Steven: 変化が進み、ますます複雑になっている環境の中で、投資家は長期にわたって信頼できる戦略的なパートナーシップを結べる資産運用を求めるようになると思います。そこには、知的財産権の譲渡(資産配分や投資戦略、商品設計、インハウス運用の支援)、ニーズに応じてカスタマイズした商品、運用キャパシティに上限を設定する戦略、投資家が望む手数料体系(おそらく複数の投資で単一の手数料体系を用いる形)などが含まれるでしょう。

Nick: アセット・オーナーは資産運用会社を評価する際に、ESGの面にますます注目するようになっています。例えば、ダイバーシティにどのように取り組んでいるか、環境問題についてどのように考えているか、どのような信念を持っているか、などの視点を取り入れています。エンゲージメントの面では、投資先の企業と改善に向けてどのように協力し合っているかに注目しています。今後はこのような点への注目が高まるでしょう。

Mark: 信頼。資産運用会社は、採用され、顧客との関係を維持するために、多くのハードルをクリアする必要があることは、誰もが十分に認識しています。それらのハードルの多くは、目に見て取れ、測定することができます。安定性、パフォーマンス、ポートフォリオ特性、手数料はすべて測定し、競合他社と客観的に比較することが可能です。従来、資産運用会社の評価にはこれらの基準が使われてきました。

しかしながら、不確実性が高まっているため、将来の意思決定に関する重要性がさらに増しています。。このような状況においては、信頼、誠実さ、明確な投資哲学などの「ソフト」で主観的な要因が重要になります。お客様のことを第一に考える企業文化こそ、アセット・オーナーやコンサルタントが必要としているものであり、資産運用会社の採用だけでなく、関係の維持にも重要な要素だと考えます。

お客様は、パートナーシップのような特性を持たない資産運用会社の採用は短期間で終了し、逆に、お客様のことを理解し、信頼できる資産運用とは長期にわたって関係を維持するという状況を長年見てきました。信頼が構築できていると、市場が下落する局面やパフォーマンスが短期的に振るわない状況で、お客様は我慢強く待ってくださいます。お客様は、時間をかけて資産運用会社との関係を築き上げることで、彼らのことをよく理解してもらい、長期的な目標の達成に向けて支援してもらうことができます。現在の環境においては、アクティブ運用ビジネスはリスクが高く、非常に強いプレッシャーに晒されていると言えるでしょう。これからは、資産運用会社にとって、信頼と顧客第一の理念を打ち出すことが重要になると考えます。

三田部氏: 適切なコミュニケーションにより、将来の運用に対する、アセット・オーナーの期待と信頼を維持する能力。例えば、個々の運用の目的及びその手法、実際の投資行動と計画などに関して、アセット・オーナーがその合理性について納得できるだけの、適切かつタイムリーな説明と情報開示を行うことだと考えます。

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。
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