ハイテク株上昇の勢いは衰えを知らないようだ。アップルやマイクロソフト、そしてアマゾンやアリババ・グループのようなテクノロジーを駆使した消費者向け企業は、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中でも好調である。また、クラウドベースのサービス・プロバイダーやフィンテック、電子商取引の企業など、回復力が強い革新的なリーダーたちも、パンデミックによってビジネスや消費者にもたらされた急速な変化に後押しされ、堅調な成長を見せている。

ハイテク株が多く組み入れられているナスダック総合指数は、2020年初来7月31日時点で20.5%上昇し、またMSCI ワールド・テクノロジー指数は同期間に20.8%上昇した。S&P 500指数やMSCI ワールド指数の回復の弱さと比較すると、投資家がハイテク株に注目していることは明らかだ。

堅調な上昇がハイテク株のバリュエーションを押し上げている。世界のハイテク株の予想株価収益率は26.5倍で、これはMSCI ワールド指数に比べて30%のプレミアムがついていることになる。この差は正当なものなのか、それとも非合理的な投資家心理に基づくものなのか。この未曾有の時代にあっては、特に持続的な成長ドライバーを有する企業については、ある程度の高値は妥当であると考える。投資家は、いくつかの通説の真偽を見抜き、投資機会を見極める必要がある。

通説1: すべてのハイテク株は割高である

テクノロジー・セクターを構成する企業は多種多様であり、すべてのハイテク企業が割高なわけではない。実際、当セクターのバリュエーション・プレミアムは、過去の高い水準に比べて低い(図表1)。

過去との違い: 現在のハイテク株のバリュエーションは過去の水準より低く、株価上昇の余地がある.png

2000年3月の市場のピーク時には、MSCIワールド指数においてテクノロジーと通信サービスを合わせたセクターが時価総額の35%を占めている状態で利益が占める割合は18%未満であったが、現在はこの2つのセ クターが時価総額の30%を占める中、利益は25%近くを占めている(図表2)。その理由は何か? これまで以上にインターネットに接続された世界では、ハイテク企業はネットワーク効果の恩恵をますます受けており、スケールメリットを活用して、より高い利益を生み出しているのだ。

過去との違い: テクノロジーと通信サービスのセクターは指数の中で占める割合が高いが、利益が占める割合も大きい.png

通説2: 割高 = リスク

高バリュエーション株に投資することは高リスクとなるのか? 必ずしもそうではない。高バリュエーションの背景にある理由や見通しが大きく異なる場合には特にそうである。例えば、長期的な成長ドライバーを持つハイテク企業はより高水準の実現可能性の高い利益成長が期待されるが、一方で景気敏感型の企業は、パンデミックによるダメージを受けたマクロ経済に左右されるため、よりリスクが高いと考えられる。

足元の決算発表の内容を見ると、ハイテク企業群は前年比で増収増益を報告している数少ない企業群の1つである。また、ハイテク企業は事前予想をはるかに上回る業績を上げた。MSCI ワールド指数を構成するハイテク企業の約74%が事前予想を上回り、78%の企業の利益が事前予想を上回ったのに対し、市場全体ではそれぞれ51%と56%にとどまった(図表3)。

ABでは、バリュエーションの上昇は、幅広い投資家層のリスク許容度の低さを反映していると考えている。現在、ハイテク企業は、生活必需品セクターの企業と同水準のバリュエーションで取引されているが、より質の高い成長特性を有している。例えば、実店舗をベースとする小売業者やITサービスや機器を実際の現場で提供するテクノロジー企業の株式は割安に見えるかもしれないが、パンデミックが続き、逆風が強まれば、さらに株価が下落する可能性がある。

低金利環境もまた、ハイテク企業の成長見通しを後押ししている。高成長企業は、将来の収益や利益に基づき、より高いインカムを得る傾向にある。そのため、低金利が続けば、インカムは割引率の低下の恩恵を受け、株価が押し上げられる。

ハイテク企業は予想を大きく上回る決算を発表.png

通説3: ファンダメンタルズよりもバリュエーションが重要

ABでは、バリュエーションに偏った議論は正しいものではないと考える。また投資家は株価を重視しすぎて、利益成長の可能性に十分に目を向けていないのではないかと考えている。

2007年にアップルが第1世代iPhoneを売り出した時のことを思い出してみよう。アップルの株価は、初年度に世界で300万台を販売するという予測に基づいて、約18米ドルという驚異的な高値で取引された。それが現在では毎年2億台が売れている。これは、常に割高と考えられていたアマゾンと一緒によく知られる成長物語である。しかし、2019年末時点で2,800億米ドル規模の収益を上げている企業であっても、同社は一貫してアナリストの収益予想を上回りながら、利益も上向いている。

革新的なハイテク企業は、ある一時点でのコンセンサス予想だけに基づいて見ると、割高に見えるかもしれない。しかし、真のテクノロジー・リーダー企業はビジョンと粘り強さを持っている。そのような企業は、常に改善と改革を続けており、変化・成長する市場ニーズに対応した新製品やサービスを提供することで競争力を 維持している。成功を収めるためには、将来も確実に生き残るために、現在のビジネスモデルを自己否定することをいとわない覚悟が必要になることもある。恐らくそれは最も難しく、賛否の分かれる選択であるだろうが。ネットフリックスが良い例だ。同社が最初に市場を驚かせたのは、当時成功していたDVDのメール便レンタル・サービスから劇的にシフトして、今日では1億9,300万人の会員を誇るものの当時はまだ検証されていなかったストリーミングモデルを導入したときであった。アマゾンも典型的な例だ。伝統的なオンライン書店としてスタートした同社は、小売り、広告、 ストリーミングメディア、物流、クラウドベースのインフラサービスを含むテクノロジー大国へと成長した。そして、この変化の間、一時点での予想では、リスクを見誤ったり、利益を過小評価したために、同社の成長の可能性と持続可能性は過小評価されていた。

成功する革新的な企業は、単に新しくて良いアイデアを持っているだけではない。将来も生き残る革新企業は、収益と利益が持続的に成長する可能性を有しているべきだ。現在は流動性が潤沢であるため、成長企業が見逃されている。そしてその多くは小規模であまり知られていない企業である。すべての企業がアマゾンのようになるわけではないが、中には次世代のリーダーとなるにふさわしい特性を持っている企業もあるかもしれない。その特性とは、変革をもたらすインパクトのある製品やサービス、そして成長の過程で常に自分自身を絶えず改革し続けることのできるDNAを有していることだ。短期的な予想に基づくと割高に見える企業もあるかもしれないが、テクノロジーのイノベーションに投資する者にとって最終的に最も重要なことは、息が短いブームに左右されず、持続的かつ過小評価されている成長を実現できる次世代の真のリーダーを見極めることである。

 

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