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米国大統領選挙が株式投資家に与える影響

 

 
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アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
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2020年10月28日

 
 
 
米国の大統領選挙が間近に迫り、投資家は不安を感じている。過去において政治が株式のリターンに大きな影響を与えることはなかったが、今回の選挙は状況が異なるかもしれない。ここ数十年の間に進展したいくつかの政治のトレンドが、株式市場に徐々に影響を及ぼしている可能性がある。
 
選挙日が近づくにつれ、株式市場は政治的なニュースをうまく消化している。10月初旬には、トランプ大統領が新型コロナウイルスに感染し、選挙戦の終盤がどのように展開されるのかについての懸念が高まった。追加景気刺激策については、議会での協議が行き詰まり立ち往生している。また、米国や欧州の一部で新型コロナウイルスの感染者が増加しており、米国経済が不況に対抗するための政策決定を必要とされているこの時期に、大統領選挙の行方が不透明であることが、その後の数カ月間の不確実性を引き起こす可能性があるとの懸念が高まっている。
 

歴史的にみると、株式リターンと政治との相関性は低い

政治リスクはしばしばヘッドラインニュースになる。しかし長期的に見れば、どちらの政党に所属する候補が大統領になっても、株式リターンにほとんど影響を与えていない。実際、1937年以降、どの政党の大統領がホワイトハウスを占拠していても、ダウ工業平均株価指数のリターンは年率9%強で推移している(図表1)。
 
どの政党が政権を握るかで株式市場のリターンは変わるのか?.png
 
2020年の大統領選挙は異なるのだろうか? かなりの確率で、過去とは異なると言えるかもしれない。というのも、アライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)では、コロナ危機により、過去40年以上にわたって発展してきたいくつかの長期的な課題があぶりだされ、選挙の議題や株式市場の見通しに大きな影響を与えていると考えているからだ。
 

2020年の選挙議題は40年前にさかのぼる

選挙戦にまつわるニュースは24時間ごとに更新されるかもしれないが、2020年の選挙の議題は1981年頃までさかのぼって考える必要がある。当時、4つの主要なトレンドが加速し始め、我々が現代金融史の中で最も強力な「ファンダメンタルズ・カクテル(いくつかの要因が融合したもの)」を生み出した。
 
この時期、団塊の世代の最高齢者が35歳になった。第二次世界大戦後に生まれた団塊の世代の所得がピークを迎えると、記録的な額の収入と貯蓄が株式市場に流れ込んだ。金利やインフレ率は二桁台の水準から低下し始めた。また、多くの産業でサプライチェーンのグローバル化や生産の自動化が進み、生産性の向上と企業収益の向上に拍車がかかった。
 
このような背景から、米国株式市場はおよそ20年間一貫して上昇を続けてきた。しかし、これには問題があった。これらの4つの要素が巨額の投資リターンを生み出す一方で、米国の所得格差の拡大に影響をもたらしていたのだ(図表2)。
 
政治的な流れは重要か?.png
 
2000年を迎えた時、過去20年間の追い風が逆風に変わり始めた。この間、市場は2つの大きな金融危機に見舞われた。2000年のITバブル崩壊と2008年から2009年にかけての世界金融危機だ。団塊の世代が引退し、市場から資金を引き揚げ始めた。同時に、政府は巨額の債務を背負うことになった。そして、賃金の伸びのペースが企業の利益や経済成長のペースよりもはるかに遅い中で(図表3、左図)、グローバル化に対する反発が生まれ、それがやがて政治的なポピュリズムの台頭を促すことになった。2000年から2009年までの米国株式の年率リターンは平均-5.1%だった。また、株式60%と債券40%を組み合わせた60/40のポートフォリオのリターンは横ばいだった。2009年以降の世界金融危機からの10年間、株式市場は順調に回復したとはいえ、貧富の格差は劇的に拡大し続けた(図表3、右図)。
 
収入格差の拡大によるポピュリズムの台頭.png
 

選挙後のシナリオを予測するのは難しい

これらのトレンドは、大統領や政治家によって作り出されたものではない。しかし、これらの傾向は、移民問題や人種的不平等からコロナ危機に至るまで多くの問題について、政党派間の考え方に大きな溝を生じさせているという点で、2020年の選挙キャンペーンに大きな影響を与えている。
 
選挙後の影響を予測するのは困難だが、ABのエコノミストは、下院は民主党が維持するという現状維持の前提で選挙後のシナリオを作成した(以前の記事『2020 US Election: What the Polls Could Mean for Policy and Markets』(英語)ご参照)。鍵を握るのは財政政策だ。共和党が大統領戦と上院戦で勝利した場合(「レッドウェーブ」)、おそらく拡大的な財政政策が維持されるとみている。民主党が大統領戦と上院戦に勝利した場合(「ブルーウェーブ」)、法人税の増税が予想され、短期的には金融市場に影響を与える可能性があるが、財政政策はおそらく拡大基調を維持するだろう。その他のシナリオとしては、共和党の大統領と民主党の上院、あるいはその逆のシナリオでは、さまざまな形でのこう着状態が予想される。
 

政治的な理由で投資戦略を決定させてはいけない

しかし、いくつかの理由から、選挙結果の予測に基づいて投資戦略を構築することは得策ではないと考える。第一に、政治的な結果を予測することは難しいことで知られている。第二に、結果を正しく予測したとしても、市場が必ずしも予想どおりに動くとは限らない。2016年の大統領選挙では、トランプ氏が大統領に当選したら市場は困難に陥ると多くの専門家が想定していたが、結果、株式市場は上昇を続けた。
 
第三に、政治的議題は、実体経済で想定外の形で出現することが多い。したがって、特にテクノロジー、医薬品、エネルギーなどのセクターでは、今日議題に上がっている主要な政策や規制の決定が株式に影響を与える可能性があるが、政治的なプロセスがどのように展開するかを予測することはほぼ不可能だ。
 
では、投資家はどうすればよいのだろうか。このような環境下では、市場の上昇による利益をすべて取り込むことはできずとも、ダウンサイド・リスクを緩和できるポートフォリオを検討すべきだろう。このようなポートフォリオの方が長期的にはより良い投資成果が得られるとABでは考える。
 
そのためには、投資戦略は政治的要因を超越したものでなければならない。投資家は政治的な課題に基づいて投資を行うのではなく、その課題を支える世界の状況に焦点を当てるべきだと考える。選挙戦の結果がどうであれ、今後数年間の株式リターンは過去に比べて緩やかなものになるだろうというのがABの見解だ。これは、上述した負債、人口統計、地政学・ポピュリズムのトレンド、パンデミック関連の影響があるためだ。
 

不確実な時代のためのクオリティの高い株式

新型コロナウイルスの影響を考えると、クオリティの高い株式と事業トレンドを考慮したポートフォリオは、長期的に一貫したリターンを提供する可能性が高いとABでは考える。しかし、それらの銘柄をどのように選択するかで大きな違いが出てくる。例えば、持続的な収益性を持つ企業は、不況下の課題を乗り越えるための十分な備えができているはずだ。バランスシートが強固な企業は、パンデミックを乗り越えて、繁栄していくことができる。また、潤沢なフリーキャッシュフローは、企業に競争力を高めるための柔軟性を提供する。
 
テーマに基づいたトレンドの多くは、どのような政治シナリオの下でも持続する可能性が高いといえる。例えば、ヘルスケア分野では(以前の記事『Should Investors Avoid US Healthcare Stocks in an Election Year?』(英語)ご参照)、製薬会社が薬価をめぐる政治的圧力に直面したとしても、デジタルヘルスデータやDNA塩基配列決定技術への需要は拡大を続けると考えられる。次期政権が気候変動対策の取り組みを支持するかどうかにかかわらず、持続可能な交通機関やクリーンエネルギーに対する民間部門の需要は継続するだろう。
 
これらの要素に基づいて戦略を練ることは、政治的に不安定な時期であっても投資家が戦略を維持するための手助けとなる。これは非常に重要だとABでは見ている。なぜなら、長期的に見ると、政治的変化に基づいて投資を行った場合、リターンが劣後するからだ(図表4)。投資家が政治的リスクを無視すべきだと言っているわけではないが、これらの危険性は個々の企業のリスク要因の一部として評価すべきであり、ポートフォリオやアロケーション戦略の主要な指針として評価すべきではない。
 
戦略的な投資計画が政治に支配されてはならない.png
 
そのため、ABでは、今回の選挙は株式市場にとっては重要かもしれないが、株式の投資戦略に影響を与えるべきではないと考えている。個々の企業のファンダメンタルズのリサーチに基づいた戦略に従うことで、選挙の結果が決定した後も長期的に堅実な結果をもたらすようなアロケーションを構築できるだろう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

https://blog.alliancebernstein.com/library/do-us-elections-matter-for-equity-investors

 

 

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当資料は、2020年10月19日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。当資料に掲載されている予測、見通し、見解のいずれも実現される保証はありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。当資料中の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。アライアンス・バーンスタイン及びABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。
 

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