新型コロナウイルスの感染が世界中に拡大して半年が過ぎた。株式市場は当初の混乱から順調に回復したが、それは手際の良い金融緩和と財政出動に支えられたもので、コロナ危機の早期収束や経済のV字回復に対する期待はついえていると言って過言ではないだろう。現在の相場を支えているのは依然として手綱を緩めない政策支援の姿勢にあるとみているが、実体経済が強くない中では、投資家は不安を拭い切れない。かといって、ポートフォリオをより低リスク指向に傾けるのも難題だ。金融緩和の影響で、債券投資によって得られるインカムは以前より低くなったからだ。

債券投資で得るものは変わっていない

パンデミックに対する世界的な政策対応の一貫で金利は急低下したが、その内容は十重二十重の政策が入り込んでいる。大幅な利下げに加え、量的緩和プログラムを導入した国も多数ある。流動性供給策の拡充も続いており、市場の混乱に備えている。かたや、景気刺激目的で財政支出が拡大しており、国庫の資金繰りの観点からも量的緩和による国債買い入れと国債市場の安定は望ましい。したがって、現在の低金利は当面続くと予想される。

しかし、このことは債券投資の価値がなくなったことを意味するものではない。コロナショックが金融市場を襲った2020年3月、危機の初期局面では、上場投資信託(ETF)とバスケットの価格かい離が拡大するなど、市場流動性の枯渇が見受けられた。ここで、多くの投資家が キャッシュの確保のために、当初は国債の売却に動いた。逆に言うと、この危機の渦中でまとまった規模で現金化できる資産は国債しかなかったのだ。その後、米国金融当局が直接流動性供給に踏み出すのに伴い、今度は「質への逃避」の結果として国債の価格は上昇に転じている。債券は、リスクを低減・相殺するという伝統的な安全資産としての役割を果たし続けたのだ。

低金利環境への対処法

投資家のポートフォリオにおいて債券が引き続き重要な役割を担っているとしても、債券の利回り水準が下がったのは事実であり、これに対する対処法が求められよう。アライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)は国際分散投資がひとつのソリューションであるとみている。「ウィズコロナ」の環境がもたらした低金利の長期化見通しだが、いつの日か「アフターコロナ」が訪れた時にも、投資対象の分散度を高めておくことは有効であり続けると考えるからだ。

ここからは、債券の国際分散投資のメリットを深堀りしてみよう。

国際分散投資のメリット1:背後にあるリスクの分散 

強力な政策支援による金利低下を活用して新規債券発行を行う企業、財政刺激策のため国債を濫発する国が増えている。しかし、病気だからといって薬を過剰摂取してはならないだろう。長い目線で、アフターコロナの世界をイメージしてみたとき、状況が正常化して支援がなくなることで信用力の悪化が問われる発行体はないだろうか。

図表1はリーマンショックの後に欧州債務危機が訪れた事例を、債務の推移から読み解いたものだ。リーマンショックの時に(2008-2009年)、各国は景気刺激策のために負債を拡大した。今日と同じだ。しかし、同じユーロ圏のドイツとギリシャを比べれば、小国・ギリシャの債務負担が大国・ドイツと比べても顕著に大きかったことがわかる。ギリシャの信用力へのダメージは、後に同国の債務不履行懸念につながり、欧州債務危機(2010-2012年)の引き金を引いた。

債務対GDP比率の推移.png

パンデミックに際し、景気刺激は必要な処方箋だ。しかし、今後副作用に見舞われる発行体が生じた場合の打撃を軽減し、ポートフォリオの機能を維持するために、国際分散投資を行い国・地域のリスク分散を行うことは、投資家にとって大きな意義がある。

国際分散投資のメリット2:為替ヘッジコスト低下でインカムかさ上げ

低金利環境の投資家にとっての数少ない利点として、為替ヘッジコストの劇的な低下が挙げられる。このため、一見、金利が下がったようでも、ヘッジ後の利回りで考えれば、この半年は投資の絶好機であったし、現在も依然として魅力的な投資タイミングであるとみている。為替ヘッジ後の外債に投資することで、インカムが底上げできる可能性がある(図表2)。

主要国の10年国債利回りと信用格付け.png

国際分散投資のメリット3:リスク特性とリターン・ポテンシャルの向上 

機関投資家はすでにヘッジ付き外債をポートフォリオに組み込んでいるケースが多いが、円債・外債の別や、建て通貨の時価総額規模などの枠組みを外し、投資目的にかなった国・地域を選択することで、リスク特性やリターン・ポテンシャルをさらに改善するチャンスがある。

例えば冒頭に記した安全資産としての機能を債券に求めるとしよう。図表3 にコロナショックで市場が大きく混乱した2020年3月の各資産のパフォーマンスを示したが、日本国債は日銀のイールドカーブ・コントロール政策及び投資家による流動性確保の動きからマイナスのリターンを記録し、安全資産としての機能を果たさなかった。国際分散投資で金利低下余地がある国を組み入れていれば、このような場合に弱点を和らげる効果があった。

2020年3月の月次リターン.png

足元では主要債券指数で中国が構成国入りする動きが加速しているが、パッシブ運用を行う投資家にとっては評価が悩ましいケースもありうる。ここで、アクティブに地域分散を組み立てるポートフォリオ構築姿勢をとるならば、投資対象国の拡充はシンプルに歓迎すべき動きと捉えることができそうだ。

超低金利環境が長期化する中にあっても、債券投資が投資家のポートフォリオの中で果たす役割に大きな変わりはない。しかし、インカム水準が低下しているため、債券投資にとって金利低下局面のキャピタル・ゲインの獲得は以前より重要性を増している。債券のリターンは、景気サイクルや金融政策の違い、インフレへの対処方法、地政学的懸念などにより、国によって異なる。足元は、これに新型コロナウイルスの感染状況という新しいファクターが追加された状況だ。より多様な国・地域の中から、信用力や利回り水準などの観点で魅力度の高い債券を厳選して取り込む姿勢は、ベンチマークに対する超過収益を追求する上で有効であると考えている。

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