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米国インフレの行方-押さえておくべき4つのポイント

                                                                                                                                                                     

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エリック・ウィノグラド
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
債券部門 シニア・エコノミスト





 

2021年3月1日

 
 
新型コロナウイルスのパンデミックからの経済回復が進む中、2021年の米国コアインフレ率は不安定な推移が見込まれる。経済の需給ギャップ は、最終的にインフレ上昇を抑制し、米連邦準備制度理事会(FRB)による緩和的な金融政策は維持されるだろう。
 
ここでは、2021年及び今後数年間の米国インフレ率の展開を予想するにあたって、投資家が押さえておくべき4つのポイントをお伝えしたい。
 

1. ベース効果により、「見かけ」のインフレは夏場にかけて上昇するだろう

パンデミックに起因した経済活動の停止により、月次ベースで極めて低水準のインフレ率が2020年に観測された。2020年3月のコア消費者物価インフレ率(CPI)は横ばいだったが、その後4月に0.4%、5月に0.1%低下した。2カ月連続でインフレ率が低下したのは実に40年振りの現象であった。その後、同指数は6月に安定化した後、7月に0.5%、8月に0.3%上昇の動きをみせた。
 
これらの月次データが前年比の計測のベースとなるにつれて、足元のインフレ実態が安定していても、前年比コアCPIの数字は不安定な推移となる可能性が高い。 今後、月次コアCPIが+0.15%(年率1.8%ペース)で年末まで推移すると仮定した場合、上記ベース効果により、夏場にかけて前年比コアCPIは2.4%近くまで上昇することになる(図表)。これは、インフレ率回復のペースが年末まで加速しない前提を置いた上での例示であり、アライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)予想とは異なる点に留意されたい。
 
今後不安定な動きが予想される米国インフレ率.png
 

2. 「真の」インフレ上昇圧力は年後半に表れてくる見込み

経済は供給サイドよりも需要サイドの方で早期に回復する可能性が高い。したがって、たとえ夏の終わりにベース効果がコアインフレの数字に低下方向の力を及ぼし始めるとしても、需給バランスの偏りが2021年後半にインフレ上昇圧力を与えると見る。
 
消費者の財布に直接おカネを供給する形の財政支援が実施されているが、企業側は経済再開後に消費者が行うであろう「自粛明け爆買い」の波を受け止めきれないだろう。企業側が通常どおりのビジネス環境に戻るには、経営資源やサプライチェーンを再調整する時間が必要なためだ。そのような中、自社の処理能力を超える量の発注を受けたり、納期遵守のため各種ベンダーにいわゆる特急料金を支払う必要が出てくる場合、企業は製品価格を引き上げることが予想される。すなわち「真の」インフレ圧力が表れてくるだろう。
 
すでにサプライチェーンは引き締まり始めている。ISM社の製造業指数の中には、受注残やサプライヤーの入荷遅延を測定するサブ指数があるが、これらは足元で既に高い水準にあり、かつ上昇傾向にある。これは今後のインフレ上昇を予感させる動きだ。供給制約の問題は最終的には緩和されるであろうが、それでも過去数カ月の供給制約は今後数カ月のインフレ率に上昇圧力を与え続けるだろう。
 

3. ひとたび企業の生産能力が回復すればインフレは低下し、
その後落ち着くだろう

インフレ率を正確に予想することは不可能であるが、ABでは2021年末近くの前年比コアインフレ率は2.1%程度で落ち着いて推移すると予想している。急速な景気後退があったものの、大規模な政策対応の恩恵により、供給サイドに残された爪痕は過去の景気後退時のものより軽いと思われる。
 
つまり、供給制約はかなり短期間で緩和が見込まれることから、米国経済の需給ギャップが物価上昇圧力を抑制し、コアインフレの上昇は鎮静化すると見ている。米国経済の需給ギャップが完全に解消されるまで、コアインフレの顕著な上昇は抑制され続ける可能性が高い。
 
パンデミックを過去形で語るにはまだ早すぎるが、それでもABは数カ月以内に経済がより正常な状態に回帰していくとみている。経済が再開した状態で財政支援がなされれば、経済成長率は顕著に引きあがるだろう。これらの見方によってABの予想は形成されている。願わくば、次回の経済見通し改定にあたっては、経済再開を「不確実な前提」としてではなく「既知の結果」として扱いたいものだ。
 

4. 連邦準備制度(FED)は2021年末まで緩和的金融政策を継続し、
引き締めは極めて慎重に行われる見込み

新型コロナウイルスの状況改善後、資産価格に大きな影響を及ぼす要素はインフレ上昇に対するFEDの姿勢・反応であろう。FEDは、経済成長が堅調かつインフレ率が上昇傾向にあったとしても、現行の量的緩和政策を年末まで維持し続けるとABでは見ている。いまや中央銀行は遅すぎる引き締めより早すぎる引き締めによるリスクを強く警戒しており、経済支援により発生しうるインフレのオーバーシュートをもいとわない姿勢を取っている。
 
つまり、FEDは2021年末まで緩和的金融政策を取り続け、引き締め実施に至るまでには数年間の時間軸が予想される。経済、インフレ等すべての要素が順調に進展すれば、FEDは2022 年に量的緩和の下での資産買入れを段階的に縮小(テーパリング)するとのコミュニケーションを2021年後半に始めるだろう。2013 年に発生したテーパー・タントラム(米FRBの量的緩和縮小観測に伴う市場の混乱)のような状況を回避すべく、FEDは前広に引き締めに関する市場との対話を始めると思われる。
 
一方、利上げに関しては依然として道のりは長いだろう。テーパリングには丸々1年を要し、その後少なくとも半年間FEDは利上げを行わないとABは見ている。つまり、利上げが開始され得る2023年に入るまで、米国経済は良好な状態が続くと見込まれる。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

https://blog.alliancebernstein.com/library/four-things-investors-should-know-about-us-inflation-in-2021.htm

 

 

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