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アライアンス・バーンスタインのストーリー戦略(1)(エッセイ)

 

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山本 誠一郎
アライアンス・バーンスタイン株式会社
代表取締役社長

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2013年9月30日

さて、アライアンス・バーンスタイン*のストーリー戦略を少しご紹介させていただきたい。

前稿では、資産運用業が顧客に提供している価値とは、「不確実性をマネージする能力」と申し上げた。言い換えれば、それは「心の安らぎの提供」あるいは「ソリューションの提供」という表現になる。これはまさにアライアンス・バーンスタインが顧客に提供しようとしている価値そのものである。

会社として「世界で最も信頼される運用会社になること」をビジョンとして掲げている。そのためのミッションとして「資産運用における成功」と「心の安らぎ」を提供することを掲げている。そのビジョンを達成するために重視していることは、1.徹底した顧客第一主義、2.ダントツのリサーチ力、3.リサーチ力を活用した運用成果と知見の提供である。行動様式として、全従業員には1.Relentless(たゆまぬ努力、妥協しない精神)、2.Ingenious(創意工夫、チャレンジ精神、革新性の追及)、3.Team Oriented(チームワーク、パートナーシップ精神)、4.Accountable(自分の役割に対する強い責任感および真摯さ)の4つを求めている。ここでは、「心の安らぎ」、より具体的には「ソリューションの提供」についてご紹介したい。

そもそも「ソリューションの提供」とはどういうことなのだろうか。ソリューションを提供するということは、顧客にとっての課題を定義付け、経営資源や知見を総動員し、解決策にいたる道筋や選択肢を提供するということになる。解決策そのものを提供することは難しい。なぜならば、意思決定の主体はあくまで顧客であり、最終的な判断はできない。顧客の課題を完全に把握することも困難である。あくまでその意思決定の判断をサポートする材料、選択肢の提供にすぎない。

それでは、資産運用会社が提供しようとしているソリューションとは何か。ここでややまわり道になるが、医者と患者の関係の事例をご紹介しながら考えてみたい。今から10年以上前に米国中西部で100人の患者と35人の医者を対象にインタビューを行った結果をご紹介しよう(参考文献 『U理論』オットー・シャーマー著 英治出版)。 

医者と患者の関係性には大きく4つのレベルがあるという。

レベル1 患者の病気を診断し、治療する。薬を処方する。
レベル2 病気の原因を指摘し、改善指導する。
レベル3 病気の原因をもたらしている心のあり方について一緒に考える
レベル4 病気を通じて人生について深く一緒に考える。

具体的には、レベル1は、問診や血液検査やレントゲンにより、病気を例えば糖尿病と特定し、適切な薬を処方する。いわゆる対処療法のレベルである。レベル2は、糖尿病の原因となっている生活習慣、例えば、ストレス、過食、アルコール摂取、運動不足などを指摘し、改めるよう指導することである。レベル3では、そもそもそうした生活習慣を引き起こしてしまう原因、(弱い)心のあり方について一緒に考え、どう改善すべきかアドバイスすることである。レベル4は、糖尿病を患ったことを契機に、人生について一緒に深く考え、家族の温かさや健康のありがたさなど新たな前向きな気づきを与えることである。

このインタビューによれば、95%以上の患者が医者とはレベル3と4の関係性を望んでいるにもかかわらず、実際に医療の現場で起こっていることは、医者が患者に提供しているサービスの95%がレベル1かレベル2にとどまっているという。こうした患者と医者の「すれ違い現象」は、実は医療現場だけでなく、教育現場、農業の現場、弁護士と依頼主などの現場でも同様に起こっているという。おそらく、資産運用業においても同様のことが起こっているのではないだろうか。

例えば、顧客(ここでは年金基金とする)にとっての課題は、福利厚生の一貫としての年金制度をどう位置付け、構築するか、給付金をどう確保するか、負債構造を考慮したALMをどう構築するか、目標利回りの水準を理論的にどう設定し、戦略的な資産配分をどう構築するか、母体企業への説明責任をどう果たすか、などである。理論によれば、トータルリターンの9割近くは戦略的な資産配分で説明できるという。一方で、運用機関が提供しているサービスの大半は個別の運用商品についてである。むろんそれは重要であるに違いないが、顧客全体の課題の約1割を占めるに過ぎない。まさにここで顧客と資産運用会社の間ですれ違いが起こっている。

リテール顧客(投信販売会社)を例にとろう。投信販売会社にとっての課題は、会社としていかに持続的に収益を上げるか、雇用をいかに確保するか、会社の個人のキャリアをどう磨き組織として成長するか、個人顧客の老後の生活が経済的に豊かになるようにいかにアドバイスするか、個人顧客の財務相談の一貫としてリスクの所在を説明した上で、いかに適切なポートフォリオを提案するか、などである。一方で、運用会社が提供していることは、多くのケースでは一運用商品の提案にとどまっているのではないだろうか。ここでも顧客と資産運用会社の間ですれ違いが起こっているに違いない。

そのギャップを埋めるべくアライアンス・バーンスタインではさまざまな工夫を凝らしている。次稿ではその方策などについてご紹介してみたい。

 

 

 

* アライアンス・バーンスタインはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。

当資料は、2013年9月26日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン株式会社が作成した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。

 

 

 

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