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ミクロ分析が物語る「インフレは一時的な現象」

                                                                                                                                                                     

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スーザン・ハットマン
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
クレジット・リサーチ ディレクター
(投資適格債及び地方債)兼 債券責任投資戦略ディレクター
 
 
  
エリック・ウィノグラドHeadshot1-Winograd_Eric.png
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
債券部門 シニア・エコノミスト
 
 
 
 
ロバート・ホッパーHeadshot1-Hoppers-Robert.png
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
クレジット・リサーチ ディレクター
(ハイイールド債及び新興国社債)
 

2021年7月26日

 
 
米国のインフレは2021年5月も急速な上昇が続き、コア消費者物価指数(CPI)は前月比で0.7%上昇した。前年同月比では3.8%上昇し、25年以上ぶりの高い上昇を記録した。それが投資家の不安をかき立てたのはもっともである。インフレは緩やかな上昇でも投資リターンの実質的な価値を損ない、金利上昇につながるケースも多い。だが、インフレの上昇は今後も持続するのだろうか? アライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)はそうは考えていない。 
 
ABでは今回のインフレの上昇について、一時的な現象だと考えている。時間の経過とともにパンデミックに起因する供給面の制約が和らげば、需要に供給が追いつき、物価上昇圧力が鈍化すると予想している。それは、マクロ経済の観点から一過性のインフレをABが主張してきた根拠である(以前の記事『米国インフレの行方-押さえておくべき4つのポイント』ご参照)。
 
さらに、ABはこの仮説を検証するため、企業ごとに基本的なデータを深く掘り下げて分析し、ミクロ経済の観点から状況を理解しようと試みた。果たしてビジネスの現場は違うことを物語っているのだろうか?
 

自然言語処理(NLP)分析:ビッグデータのパワーを活用する

インフレをミクロの観点から分析することは、海岸の砂を一粒一粒調べ、海岸線を描き出すデータを作成するようなものだ。こうした膨大なデータを処理するには、ビッグデータを用いたソリューションが必要となる。そこで、ABはコンピュータに文書の内容を理解させることが可能な自然言語処理(NLP:Natural Language Processing)に着目した。
 
ABは米国の上場企業3,200社の決算説明会30,000件近くの記録について、NLP分析を行った。インフレに関する経営陣の説明にはすべてフラグを立て、インフレの要因や、経営陣がどのように対応しているかを調べた。さらに、インフレについて経営陣が用いた単語や表現を分析し、企業の利益率に与えそうな影響を探った。その結果、次のことが分かった。
 
まず、2021年2月には、インフレに関する言及が2021年1月や2020年2月に比べ3倍に増加し、コスト圧力に対する経営陣の関心が高まり始めていることが示された。インフレに関する発言が最も多かったのは、工業セクターや消費セクターの企業だった。経済活動の停止が物やサービスに与えた影響が大きかったことを考えれば、それは意外なことではない。
 
第二に、企業は今のところ、コスト上昇分を買い手に転嫁するのではなく、自らほとんど吸収しているように見える。インフレに関する経営陣の発言に照らして考えれば、利益率にとって全般的に中立的、またはネガティブなトーンで語られている。それとは対照的に、利益率にプラスに作用することを示唆する発言は、価格引き上げを通じてコスト上昇分を消費者に転嫁できることを示している。
 
第三に、経営陣はインフレのかなりの部分について、労働市場やサプライチェーンの混乱が原因だと考えている(図表1)。ABの見解では、こうした圧力は一時的なものだと思われる。なぜなら、今後数カ月のうちにワクチン接種が進み、学校が再開され、失業手当の増額措置が期限切れを迎えれば、人々が再び労働力に加わるとみられるからである。
 
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深く掘り下げる: クレジットアナリストの分析

企業経営陣が考えていることを知るのは出発点に過ぎない。ABはさらに、現在の、そして持続している物価圧力について、社内のボトムアップ型クレジット・リサーチから得られる情報を知りたいと考えた。そこで、ABのアナリストが推計した企業レベルの投入コストと生産能力に関する足元のボトルネック状況を集計し、経済全体及び業界レベルでインフレの状況を把握しようとした。
 
その結果、全般的に見れば、コスト圧力は大きいものの、永続的なものではなさそうなことが判明した(図表2)。米企業の約3分の2は、少なくとも何らかの投入コスト圧力に直面しており、残りの3分の1の企業も多くの圧力を受けている。しかし、ABのアナリストは、これらの圧力は大半が一時的なもので、2021年に経済活動が再開される時期までしか持続しないと考えている。
 
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セクター別に見ると、より詳細な状況が分かる。航空会社、自動車、ホテル及びレジャー、工業、小売り、スーパー、テクノロジーなどの一部セクターでは、投入コストに中程度から深刻な圧力がかかっており、それは経済が完全に再開された後の2022年以降も持続する可能性がある。これらは、パンデミックが最も深刻化した場面で、工場や店舗の閉鎖、移動制限などで最も打撃を受けたセクターの1つである。
 
これらの企業の多くは、程度の差こそあれ、投入コストの上昇を転嫁できる能力がある。つまり、これらのセクターではしばらく最終価格の上昇が続く可能性がある。しかし、価格上昇ペースは今後も加速するのだろうか? それを判断するため、ABはさらに2つの変数を検証した。それは在庫が低水準から再び積み増されるスピードと、生産能力の制約の厳しさである。
 
その結果、サプライチェーンが正常化に向かい始めれば、たとえ在庫の再積み増しに時間がかかったとしても、企業は概して、価格上昇圧力が持続するのを防ぐ上で十分な生産余力を持っていることが分かった。唯一の例外はテクノロジー業界だったが、幸いなことに、多くのテクノロジー企業はこの問題に取り組むため、2022年は生産能力の増強を計画している。
 
コスト圧力が持続しそうな業界とは対照的に、現時点で強いコスト圧力に直面している一部の業界では、圧力が早々に解消される可能性がある。例えば、基礎素材、住宅建設、消費財、食品・飲料業界などでは、主にコモディティ価格の上昇に起因するコスト圧力に見舞われている。しかし、コモディティ先物市場は、これらの価格上昇は短期間に終息しそうなことを示唆している。
 

インフレの一時的な急上昇: ミクロとマクロが合致

結論としては、一部の業界では持続的な価格上昇が見込まれるが、全体的な物価に関する見通しは明るくなっている。
 
企業レベルの分析では、米国企業はパンデミックによる経済活動停止の影響で、著しいコスト圧力を受けていることが確認された。しかし、パンデミックが終わった後も物価上昇が続くことを示す明確な証拠は見つかっていない。実際、米国企業を対象にABが実施した詳細かつ綿密な調査は、現在の高インフレは潮が引く様にいずれ収まっていくことを物語っている。
 
 
 
 
 
 
 

 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

 

 

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当資料は、2021年6月23日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。当資料に掲載されている予測、見通し、見解のいずれも実現される保証はありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。当資料中の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。アライアンス・バーンスタイン及びABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。
 

 

 

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