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カーボンハンドプリント:株式投資家の気候変動への取り組みにおける鍵

                                                                                                                                                                     

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デビッド・ウィーラー
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
サステナブル・グローバル・テーマ株式運用 シニア・リサーチ・アナリスト
 
 
 
  
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アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
サステナブル・グローバル・テーマ株式運用 最高投資責任者
 

2021年8月24日

 
 
環境意識の高い投資家は、気候変動問題に取り組むポートフォリオを求める姿勢を強めている。カーボンハンドプリントや、製品やサービスが環境にどんな影響を与えるかを評価することは、世界の気候変動問題に対処する強力なソリューションを提供するとともに、魅力的な成長の可能性を秘めた企業を見つけ出す優れた方法である。
 
気候変動に焦点を当てたポートフォリオには、投資家から巨額の資金が流入している。モーニングスターによると、主要テーマとして気候変動を含むファンドは2020年12月時点で400を超え、運用資産総額は1,770億米ドルに達した。多くのポートフォリオ・マネジャーは、カーボンフットプリントの少ない「素行が優れた」企業を見極めることで、気候変動問題に取り組もうとしている。このアプローチにはメリットがあり、特にパッシブ型ポートフォリオの間で人気を集めている。
 
しかし、気候変動を意識した投資には、非常に効果的に機能しうる別の方法がある。カーボンフットプリントに注目する代わりに、企業のカーボンハンドプリント、すなわち製品やサービスによるポジティブな環境インパクトに目を向けるのだ。企業が環境に与える悪影響を測定するカーボンフットプリントとは対照的に、カーボンハンドプリントを持つ企業は、世界の気候変動問題に対処する好ましい解決策を生み出している。
 

なぜ気候問題のソリューションに注目するのか?

圧倒的なカーボンハンドプリントを持つ企業は、世界の炭素強度(経済活動量当たりの炭素排出量)を引き下げる取り組みの最前線に立つことになる。多くの企業が、低炭素経済への移行を促す製品やサービス、また気候変動がもたらす災害への対応手段などを提供している。具体的な例としては、クリーンエネルギー、資源効率、輸送、持続可能な農業などの脱炭素化ソリューションや、水資源やインフラの耐久力を高めるソリューションを提供している企業が挙げられる。
 
気候変動に対するソリューションを見つけ出すためには、気候に関する世界最大の課題を深く理解する必要がある。投資家にとっては、国際連合(国連)の「持続可能な開発目標(SDGs)」がいい出発点となる。国連が定めた17のゴールと169の具体的なターゲットは、持続可能なエネルギーへのアクセス、貧困と飢餓の撲滅、教育と保健医療へのアクセス改善など、人類にとって極めて重要な分野に取り組むものである。中でも、気候変動がもたらす悪影響に対処するためのゴールやターゲットは、投資家が注目に値する気候関連ソリューションを提供する企業を発掘する際のロードマップとして活用することができる。
 
アライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)のリサーチによると、SDGsに定められた169のゴールのうち、57項目が特に気候問題のソリューションに関わるものである。ABは何年かにわたってSDGsについて独自の調査を進めた結果、これらのゴールに合致した45以上の製品やサービスを特定した。例えば、ターゲット7.2は「世界のエネルギー構成に占める再生可能エネルギーの割合を2030年までに大幅に引き上げる」というもので、その達成を可能にする製品として、風力タービン、太陽電池パネル、エネルギー貯蔵用バッテリー、スマートグリッドシステムなどが挙げられる(図表1)。株式投資家にとって次のステップは、これらの製品で収益を上げている上場企業を探すことである。ABのリサーチによると、世界で約750社の企業がよりグリーンな未来に向けて世界を動かしており、多くのセクターや業界を含む幅広い投資ユニバースを生み出している。
 
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気候変動問題に対処するため、今後数十年間に多額の資本が投入されるとみられる。UBSによると、世界経済の脱炭素化に必要な投資額は、2050年までに140兆米ドル(年間約4.7兆米ドル)に上ると推定されている。脱炭素化に貢献している企業は、各国の政府、企業、個人による世界的な排出削減努力により、今後何年にもわたり追い風を受けることになる(図表2)。それは、気候問題のソリューションを提供している多くの企業が長期にわたり力強い成長を遂げるとみられる理由である。
 
気候問題のソリューションは長期的な成長への差別化された投資機会を提供.png
 

3つの投資原則

では、投資家はどうすれば低炭素経済への移行に関わることができるのだろうか? まず、さまざまな地域やセクターで、気候変動に対処するソリューションを探し求めることだ。多くの場合、気候変動に焦点を当てたファンドは、再生可能エネルギーなど人気の高い狭い分野に焦点を絞った一面的なものとなっている。投資家は多面的なアプローチを取り入れることで、クリーンエネルギーのほか、資源効率、輸送、農業、水、インフラなどの分野における変化を把握することが可能になる。
 
例えば、フィンランドの石油精製会社ネステは、廃棄物である脂肪、残渣油、植物油から再生可能なディーゼル燃料を生産している。素材セクターでは、オランダのDSMが、牛のげっぷを減らすための改良型飼料を生産しており、これにより農場からの最大の温室効果ガス排出源である腸内メタンの排出を削減している。テキサス州ヒューストンに本社を置くウェイスト・マネジメントは、廃棄物処理、収集トラック、埋立地メタンから二酸化炭素を排出している。しかし、同社が提供する炭素削減サービスがもたらすハンドプリントのプラス効果は、カーボンフットプリントが生み出すマイナス影響の3.3倍に達する。
 
多くの場合、スコープ4の炭素排出量は、気候変動に対するソリューションを提供している企業を見つけ出すためのいい目安となる。 スコープ4とは、製品やサービスを使用することで排出せずに済む二酸化炭素の量を示している。風力発電機の設計、製造、販売を手掛けるベスタス・ウィンド・システムズは、スコープ4排出量の重要性を示すいい例である。同社製品の使用によって回避される排出量は非常に大きいため、風力タービンの製造過程で直接または間接的に発生する同社のスコープ1及びスコープ2の排出量は小さく見える。実際、同社は、風力タービン1基で、製造段階で発生する排出量の40倍を回避できると推定している。
 
第二に、ターゲット企業のファンダメンタルズがしっかりしていることを確認しなくてはならない。気候変動問題の解決に注力している企業のすべてが、長期的に高いリターンをもたらし得る、バリュエーションが魅力的な優れた投資対象であるとは限らない。投資家は規律ある銘柄選択を通じて、差別化された製品、持続可能な競争力、高い資本利益率、強力なバランスシートを持つ、経営のしっかりした企業を見つけ出すことができる。
 
第三に、投資先企業と積極的にエンゲージメントを行っているポートフォリオに投資すべきであるとABは考える。経営陣と対話しているポートフォリオ・マネジャーは、企業の気候変動対策の影響や戦略、そして潜在的なリスクについて、より的確に把握することができる。ポートフォリオ・マネジャーはまた、企業との対話を通じて、外部機関の格付けよりもより包括的な、独自の見解を形成することができる。投資家は企業に対してより責任ある活動を促すことで、長期的にさらなる株主価値の創出に寄与することができる。
 
気候変動に対処するための特効薬はない。そのため、さまざまな技術がそれぞれ異なるスピードで進化し、世界の炭素排出問題の解決に大きく貢献することになろう。株式投資家にとって、持続的なカーボンハンドプリントを持つさまざまな企業を気候変動ポートフォリオに取り込むことで、環境に好ましい変化をもたらし、長期的に高いリターンを得る可能性が生まれるとABは考えている 。
 
 
 
 
 
 
 
 

 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

 

 

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当資料は、2021年6月17日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。当資料に掲載されている予測、見通し、見解のいずれも実現される保証はありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。当資料中の格付けは特に記載のない限りABの定義に基づきます。当資料中の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。アライアンス・バーンスタイン及びABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。
 

 

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