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新興国のイノベーション:グロース株投資家が注目すべき3つのトレンド

                                                                                                                                                                     

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セルゲイ・ダバルチェンコ
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
エマージング・マーケット・グロース株式運用 ポートフォリオ・マネジャー
 
 
 
  
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アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
エマージング・マーケット・グロース株式運用 最高投資責任者
 

2021年8月26日

 
 
新興国は長い間、コモディティ・サイクルと低コストの製造業に依存して輸出主導型の成長を遂げてきた。しかし、企業のイノベーションの波はそうした状況を変えつつあり、企業に内部成長を促し、多くの国で質の高い持続的な投資機会を株式投資家に提供している。 
 
インドやブラジルなど一部の国は依然として新型コロナウイルスの抑制に苦しんでおり、新興国株式に投資する投資家は困難に直面している。MSCI エマージング・マーケット指数は2021年6月30日時点の年初来リターンが米ドルベースで6.5%と、MSCIワールド指数の12.2%をアンダーパフォームした。特に、グロース株のリターンが低調だった。しかし、業績見通しが改善する中で、イノベーションにけん引された3つの強力な長期トレンドが成長機会を生み出しており、それはパンデミックの期間及びそれ以降も持続するとみられる。
 

トレンド1: 新興国における新たなテクノロジー

そうした動きをけん引しているのはテクノロジーである。テクノロジーやインターネットを事業の中核とする企業が新興国市場のベンチマークに占める比率は足元で40%となっており、2007年12月の11%から大幅に上昇している。それに対し、MSCI米国指数に占めるテクノロジー企業の比率は39%で、MSCI欧州指数ではわずか9%にとどまっている。アライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)では、新興国テクノロジー企業の驚異的な成長ストーリーはまだ始まったばかりだと考えている。
 
新興国のテクノロジーが起こす新たな波は輸出だけではない。実際、多くの新興国企業は国内で使用する新技術を開発している。多くの場合、これらの企業は国内における市場シェアを獲得する上で米国の同業他社よりも優位に立っており、それは中国だけに限らない。インド、韓国、ロシアなどさまざまな国で現地のインターネット企業が急成長し、市場で強力な地位を築いている。例えば、ポーランドのアレグロ社はインターネットショッピングを提供し、同国の電子商取引市場で33%のシェアを握っている。これはアマゾンなど米国の競合他社を大幅に上回る水準だ。
 
新興国企業が飛躍的な躍進を遂げている分野はショッピングだけではない。フィンテックが最も急成長している市場はどこだろうか?そのひとつはインドである。ACIワールドワイドによると、インドでは2020年に255億米ドルのリアルタイム決済が行われた。インドの銀行はビジネスを拡大するため、テクノロジーとビッグデータを活用している。例えば、HDFC銀行は顧客の個人ローンをわずか10秒で承認する技術を開発し、個人ローン事業は2021年4月に前年比12%以上の成長を遂げた。
 
ロシアの労働市場では、企業は人的資本の問題に直面している。ロシア企業は平均を上回る従業員の離職率に悩まされており、失業率が5.8%にとどまる中で代わりの労働者を見つけるのが難しくなっている(図表1)。
 
ロシアでは高い離職率と低い失業率により、人材の確保が困難.png
 
ロシアではオンラインの人材あっせんはあまり普及しておらず、全求人の30%以下しかオンラインサービスに掲載されていない。オンライン就職情報サービスの世界的リーダーであるリンクトインは、データ保存を巡る問題を理由にロシア市場に進出していない。
 
ロシアを拠点とするヘッドハンター社は、雇用主がこうしたジレンマを解決する手助けをしている。求職者は、自分の履歴書と5カ国の求人をマッチングするサービスを無料で受けることができる。雇用主はこれらすべての履歴書にアクセスできるなどの、付加価値のあるサービスを受けることができる。ヘッドハンター社は業界2位の2倍以上の求人情報を掲載しており、将来的な成長余地が大きなオンライン人材あっせんサービス市場のリーダーである。
 

トレンド2: パンデミックで医療分野に予想外の変化

最近の新興国市場の発展はパンデミックの副産物でもある。ロックダウンの結果、新興国では先進国とほとんど同じように、企業も消費者も買い物から商談まであらゆる行動をオンラインに移行した。
 
中国の医療も2020年にパンデミックによって変革に弾みがついた。イノベーションが迅速に導入され、将来の成長に向けた道筋が作り出された。
 
中国では2019年以前にオンライン薬局が認められていなかったため、パンデミックが始まったときには、そのビジネスはまだ生まれたばかりだった。だが、中国はボトルネック現象を解消するために急激に方向転換し、2020年にオンラインを通じた医薬品販売を積極的に推進し始めた。オンライン薬局の市場規模は今や530億米ドルに達しており、クレディ・スイスでは2030年までに3,000億米ドルを突破すると予想している。
 
オンライン診療もすぐに日常的なものとなった。中国では2020年1-3月期に、オンライン診療予約が前年同期比で17倍に急増した。今回のパンデミックで、オンライン医療の利点と効率性が浮き彫りになった。例えば、遠隔診断を使用すれば都市にいる医師が何千キロも離れた患者を治療することが可能になり、農村部に住む人々の医療問題の解決に役立っている。
 
オンライン医療システムはコスト削減や慢性疾患のモニター改善につながり、健康を促進する効果も期待できる。また、人工知能が治療に関する意思決定をサポートし、効率を高めている。中国以外にも、人口高齢化が進み、医療ニーズが急増している国々では、すぐにもこうした技術進歩を活用できる市場がある。こうしたトレンドを推進してきたアリババ・ヘルス・インフォメーションやJDヘルスなどの中国企業は、パンデミック後のヘルスケア関連イノベーションの普及を促進する上で有利な立場にある。
 

トレンド3: 国内外のグリーンテクノロジー

現在、200カ国以上がパリ協定を支持しており、世界各国の政府が地球温暖化の抑制を目指した政策を取り入れている。新興国だけでも、炭素排出削減に向けた取り組みに今後20年間で2兆米ドル以上が投じられると見込まれている(以前の記事『低炭素投資ではエネルギー効率の改善余地にも注目しよう』ご参照)。最先端の環境ソリューションを提供する企業は、環境改善を約束した政府にそれを売り込むことができる。
 
例えば、電気自動車に使われる最先端の電池技術は、韓国や中国で開発されている。現在、電気自動車のコストの約30%は電池が占めているが、急速な技術進歩によって経済性や需要が改善されており、電池のコストは毎年10%近く低下している。電気自動車のコストは2〜3年以内に、内燃機関エンジン車と同じ程度になる可能性がある。多くの国がわずか5〜10年以内に内燃機関エンジン車を禁止しようとしている中で、それは心強いニュースである。
 
環境改善の動きが生み出しているもう1つの成長市場は、産業廃棄物や医療廃棄物の処理である。これらのサービスに対する需要は増加しており、規制強化も追い風となっている。新たな廃棄物処理施設が相次いで稼働しているものの、処理能力には依然として制約があり、参入障壁も高い。また、規制は一般的に工業化の後追いをする傾向があるため、新興国の成長に伴い、過去の環境破壊を修復することも事業機会となる。台湾のサニー・フレンド・エンバイロメンタル・テクノロジーは台湾におけるこの事業分野をリードしており、中国本土にも事業を拡大している。
 

新興国企業のバリュエーションは魅力的

これらの市場の一部では先進国企業が強みを持っている一方で、新興国の競合企業は投資家に魅力的な投資機会を提供している。多くの新興国企業は高いクオリティと持続的な成長力を備えており、先進国の同業他社に比べバリュエーションが割安な水準にあるケースが多い。新興国企業の2021年の利益成長はさらに高まるとアナリストが予想しているにもかかわらず、現在の株価は先進国の同業他社に比べ30%近く割安な水準にある(図表2)。
 
新興国株式:利益成長が見込まれる中、割安なバリュエーション.png
 
主要な新興国市場におけるセンチメントの低迷が、力強い成長トレンドを曇らせている。短期的な見通しは厳しいが、今は長期的な動きが追い風となりそうな銘柄を買い入れる絶好の機会である。パンデミックの影響が消え、持続的な回復が始まれば、革新的な強みを持つ新興国企業は、これまで抑え込まれていた潜在的なリターンが顕在化することで、予想をはるかに上回る恩恵を受けるとABでは考える。
 
 
 
 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

 

 

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当資料は、2021年7月7日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。当資料に掲載されている予測、見通し、見解のいずれも実現される保証はありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。当資料中の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。アライアンス・バーンスタイン及びABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。
 

 

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