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低炭素投資に必要なクオリティ重視の視点

                                                                                                                                                                     

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ケント・ハーギス
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
ストラテジック・コア株式運用 共同最高投資責任者
 
 
 
  
サミー鈴木Headshot1-Suzuki_Sammy.png
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
ストラテジック・コア株式運用 共同最高投資責任者
 
 
 
 
ロイ・マズレンHeadshot1-Maslen_Roy.png
アライアンス・バーンスタイン・オーストラリア・リミテッド
オーストラリア株式運用 最高投資責任者
 

2021年12月24日

 
 
低炭素戦略を重視する株式投資家は、企業のファンダメンタルズについて妥協する必要はない。クオリティ指標と魅力的なバリュエーションが均等に考慮されていれば、世界的な気候変動との戦いに加わることと、高いリターンを創出することは両立させることができる。
 
先に開催された国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)では、世界のリーダーが地球温暖化防止を目指して野心的な約束を掲げたが、今後の困難な作業にこれまで以上の懸念を抱いている様子が見受けられた。約束を実現することは容易ではなく、目標を達成するには総力を挙げて取り組まなければならない。この点、株式投資家は、リターン目標を達成しながら炭素排出量を削減するという適切なアプローチを取り入れることで、大きな役割を果たすことができる。
 

気候問題に取り組む作業は膨大で、その恩恵は大きい

今回のCOP26は、重要な転換点となった「パリ協定」が成立した2015年の会合よりもさらに画期的なものとなった。COP26では米国がインフラ整備を目指した「ビルド・バック・ベター」計画の一環として、過去最高の5,550億米ドルをクリーンエネルギープロジェクト向けに支出する計画の概要を示すなど、多くの確たる目標が掲げられた。それ以外にも、次のような成果が得られた。
 
・ G20のリーダーが海外の石炭火力発電所への資金拠出を停止することで合意した
・ 温室効果ガス排出の最も多い中国とインドが、それぞれ2060年、2070年までに排出量をネットゼロにすることを約束した
・ 韓国は2030年までに温室効果ガスを40%削減するほか、他の国と共同でメタンを30%削減する
・ カナダは2030年までに石炭火力発電を廃止する
・ デンマークは2030年までに排出量を70%削減する
・ イタリアは気候変動対策に向けた予算を3倍の14億米ドルに引き上げることを約束した
 
これらの目標は心強いものだが、会合では全般的には冷静な雰囲気が漂っていた。新しい科学も、既知の科学も、依然としてもっとやるべきことがあることを示している。そして、今後10年が命運を左右することになる。排出量削減のため、国も企業も投資家も同様に、直接または間接的に自分たちの役割を果たすことが求められており、2030年に向けて無駄にできる時間はほとんどない。 
 

国や政府が方向性を示し、企業がそれを推進する

そのことは株式投資家にとって、より良い環境か優れたリターンかの選択を迫られることではないことを意味している。なぜなら、その両方を手に入られる可能性がますます高まっているからである。
 
各国が目標を掲げているほか、多くの質の高い企業がすでに炭素排出を削減している。将来を見据えた企業は、以前からカーボンフットプリントを引き下げることに大きな価値を見出してきた。それは変化を生み始めている。例えば、事業活動が環境に与える影響を調査しているCDPワールドワイドによると、世界の排出量が2015年から2019年までに3.4%増加したのに対し、科学的根拠に基づく削減目標を取り入れている企業は温室効果ガスの排出量を25%削減した。こうした測定可能な目標について企業と積極的に協働することは環境改善に向けた大きな一歩であり、アクティブな低炭素運用戦略にとって銘柄選択プロセスの重要な要因となる。
 
低炭素投資は、数多くの分野や業界が対象となる。企業が気候変動を乗り切るための戦略を構築していれば、気候イベントが起きた場合に負担をシフトできるほか、事業の継続性を高めることも可能になる。例えば、ネスレはリソースや規模を活かし、再生可能な農業に注力することで、気候変動や生物多様性の問題に取り組んでいる。また、今では多くの企業が他社の炭素排出削減を支援している。エネルギー管理を手掛ける大手企業であるシュナイダー・エレクトリックは、米国におけるウォルマートのサプライヤーに対し、再生可能エネルギーの導入や利用を促している。
 
これまで環境問題に関する実績が低かった企業も、低炭素化を目指す取り組みを進めている。ロイヤル・ダッチ・シェルのような排出量の多い企業も、マイクロソフトなどの排出量の少ない企業も、低炭素戦略を通じて収益を改善しているほか、サプライチェーンのあらゆる部分でビジネスのやり方を根本的に変化させている。 
 

気候変動リスクを評価する多面的な視点

気候に関する戦略は、低炭素排出企業に投資するだけにはとどまらない。アライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)のリサーチを用いれば、長期的な脱炭素目標を掲げている質の高い企業を手始めに、ポートフォリオを積極的に「脱炭素化」することができる。こうした計画を策定していない企業は、今はまだ質の高いビジネスを展開しているように見えても、いずれは炭素排出による負担が膨らみ、バランスシートやキャッシュフローが大きなリスクにさらされる恐れがある。 
 

「カーボンプライシング」は大きな変革をもたらす

実質的にすべてのビジネスモデルは、エネルギーの生産者または消費者として、もしくはサプライチェーンを通じて間接的に、炭素排出に関わっている。
 
炭素排出量のレベルは企業によって大きく異なるため、排出量見合いのコストを事前に考慮すれば、投資ユニバース全体について同じ条件で比較することができる。この「カーボンプライシング」の取り組みは、即座に企業の行動変容を促す重要な要素である。世界銀行はそれを、「気候変動対策に資金をシフトさせるための最強のテコ」の1つと呼んでいる。カーボンプライシングは、企業が戦略を立てる際の内部指標として急速に普及しており、低炭素を重視する投資家にとって、それらを正確に評価するための強力なツールとなっている(図表1)。意思決定の際にカーボンプライシングを考慮する企業が増えれば、投資アナリストも同じような行動を取るため、魅力的な投資機会を見極めるためにより正確な予想を立てることが可能になる。
 
「カーボンプライシング」を用いる企業が増加.png
 
カーボンプライシングは、潜在的な規制(炭素税)や基準の順守(コスト増となる基準の更新)など、関連がなさそうで実際には関連ある、企業の収益に影響を与えるファンダメンタルズを把握する上でも役立つ。これらは、4タイプのCO2排出「スコープ」に典型的に見られるもので、すべて等しく精査されるべきである(図表2)。 
 
炭素排出の4つの「スコープ」.png
 
炭素は化石燃料の燃焼や消費で発生するものもあれば、まだ消費されていない燃料から将来放出される可能性のあるもの、第三者によって生成されるものもある。しかし、投資家はそれらが企業価値に与える影響を完全に把握するには、それらすべてを考慮する必要がある。その上で、ビジネスのクオリティや株価といった他の重要な要因に調査を掘り下げていくことになる。
 
気候変動に対する企業のリスク度合いを評価するには、シナリオ分析に基づく、広範で先を見越したアプローチが必要である。それは、多種多様なシナリオが異なるタイプの企業にどんな影響を与える可能性があるかについて、体系的に考えることを意味する。例えば、物理的環境の変化や、新たな政策や技術の導入によって、低炭素経済への移行が加速する可能性がある。ABの見方では、極めて多くの危険に耐えうる投資機会を発掘する唯一の方法は、適切な質問を投げかけることである(図表3)。 
 
気候へのコミットメントをファンダメンタル・リサーチに取り入れれば投資成果の改善につながる.png
 

クオリティが伴えば、脱炭素化はパフォーマンスに貢献

COP26で示された決意にはある程度の価値があるかもしれないが、今は行動の成果が求められている。ネットゼロの実現や気温上昇を摂氏1.5度以内に抑えるといった測定可能な目標は、危険な方向に向かっている地球の航路を変えることにつながる。さらに、低炭素経済に移行する手段や方法を開発するための企業のイノベーションや投資に関する新たなアイデアや道筋も生み出している。
 
ABの見方では、低炭素投資は環境の改善に寄与するだけでなく、長期的に超過収益を創出することもできる。ESG(環境・社会・ガバナンス)の「E」はパフォーマンスを犠牲にするものではなく、戦略的な株式アロケーションを支える強力な要因であると考えている。また、アクティブ運用により選択された高クオリティ企業と適切なバリュエーションを最適に組み合わせた低炭素ポートフォリオは、投資家が収益性の高い長期的なリターンを得るグリーン運用アプローチを発展させるという目標を達成する一助になり得ると思われる。
 
 

 
 
 

 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

 

 

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