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FRBが加速する利上げとテーパリングの駆け引き

                                                                                                                                                                     

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エリック・ウィノグラド
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
先進国マクロ分析-ディレクター
 
 
 
  
 

2021年12月28日

 
 
米連邦準備制度理事会(FRB)は、米国経済の頑強なインフレ圧力に対応するため、量的緩和(QE)の資産購入を縮小するペースを2倍に引き上げた。また、中期的に経済を均衡状態に戻すために必要と考えられる利上げの回数を増やした。
 
このどちらの展開も特に市場を驚かせるものではないが、数週間前の予想と比べて変化の大きさを見逃してはいけない。2022年半ばに終了する固定的で緩やかな縮小ではなく、現在は2022年3月に終了する加速的で急速な資産購入の縮小になっている。FRBは2022年後半か2023年前半に利上げを行うかどうかを議論するのではなく、今後3カ月以内に利上げを行うかどうかを議論することになる。
 

新型コロナウイルスの影響、FRBの見解に大きな変化あり

このFRBの姿勢の変化は、新型コロナウイルスが米国経済に与えるであろう影響について、見方が大きく変わったことを反映している。1年前、FRBやアライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)も含めたほとんどの予想者は、パンデミックは主に需要ショックであり、おそらく成長を阻害するだろうと見ていた。
 
しかし現在では、新型コロナウイルスは主に供給ショックであり、インフレ率を押し上げると考えられている。金融政策にはリスク管理が不可欠であるため、リスクの見通しが変化すれば、政策スタンスを変更する必要が出てくる。連邦公開市場委員会(FOMC)がここ数カ月の間に進めてきたのは、まさにこの点であり、今回の発表にもそれが強調されている。
 

もうすぐ利上げ・・・しかし積極的なサイクルではない

ABは、FRBは2022年3月に初めての利上げを行い、その後6月と9月にも利上げを行うものの、年後半には利上げを一時停止すると予想している。FOMCは、インフレ率の上昇が来年後半まで続いてしまうリスクを管理しようとしている。他方、金融政策が効果を発揮するまではラグがあるため、2022年後半までインフレが続くことを懸念するFRBは、できるだけ早く利上げを行う必要があるのだ。
 
長期にわたる積極的な利上げサイクルが必要であるとの確信はまだない。インフレは新型コロナウイルスのゆがみが薄れるにつれて自然に減速する可能性が依然として高く、金融市場が織り込むインフレ期待指標からは、FRBの金融政策への信頼性が危うくなっていることを示す兆候はほとんど見当たらない。経済調査ベースのインフレ期待指標は上昇しているが、憂慮すべきものではなく、FRBには十分な余裕がある。つまり、FRBは必要に応じて利上げを辛抱する余裕があることが示唆される。
 

2022年後半には成長率とインフレ率が減速する可能性が高い

2022年の後半には成長率とインフレ率は現在よりも大幅に減速し、追加利上げの必要性は明白ではなくなるとABでは予想している。したがって、2023年については1回から2回の利上げに留まり、FRBの新しいドットプロットが示す3回よりは穏健な利上げとなるだろう。
 
ABは景気の先行きに対して悲観的に考えているわけではない。少ない回数の利上げで米国経済が持続可能な成長とインフレ水準に戻るのであれば、結果的にはより長く、より持続可能な景気拡大への道が開かれるはずだ。逆にFOMCがより積極的に利上げを行う必要があるとすれば、経済と金融市場のリスクは大幅に高まると考えられる。どちらのシナリオでも2022年は金融市場にとって困難な年になるかもしれないが、大幅なリスクオフには至らないと考えている。
 

初回利上げの鍵は労働市場にあり

FOMCは、雇用の最大化と物価の安定という政策目標の達成の観点からは、物価について利上げの条件を満たしているので、完全雇用になったと判断したらすぐに利上げを行う、と明言している。
 
しかし、完全雇用とは正確には何を指すだろうか?このテーマについては、今後数週間にわたって注意深く観察していきたいと思う。この場合のモニタリングにおいては、必ずしも経済指標を見ることではなく、労働市場に関するFRBの考え方の変遷をたどることが重要だ。パウエル議長が繰り返し述べたように、完全雇用の尺度は1つではない。過去数カ月、パウエル議長はいくつかのベンチマークに言及してきたが、それらの間のバランスは流動的であり、解釈の余地がある。
 
この完全雇用に関する解釈のゆらぎが、労働市場の状況が今後数週間のFOMCでの議論の重要な歯車となることを意味する。仮に、労働力人口は危機以前の水準にとどまり、退職は加速し続ける可能性が高く、小売業の雇用が回復する可能性は低い、などとFRBが結論づけたとしよう。この場合、米国経済は総雇用者数の減少(という後ろ向きな理由)で完全雇用に達する可能性が高く、利上げは差し迫ったものになると考えられる。ABはこれがメインシナリオと予想している。
 
とはいえ、経済指標は重要であり、少なくともある程度は重要である。今から2022年3月のFRB会合までの間に、3つの雇用統計が発表される。3月の利上げのきっかけとなるような強い数字である必要はないが、特に弱い数字でない限り、利上げはおそらく行われるだろう。ここでいう「弱い」とは、市場予想を下回るという意味ではなく、労働市場がもはや縮小していないことを示唆する数値を意味している。他方、予想外にインフレが鈍化すれば、利上げへの動きが鈍る可能性もある。
 

新型コロナウイルスは完全雇用を阻害するのか

米国経済が完全雇用に至らないシナリオを考えると、新型コロナウイルスのパンデミックが原因となる可能性が高いのではないか。このシナリオはABやFRBが想定しているものではないものの、新型コロナウイルスの感染状況の道筋を予想するのは困難であると謙虚に想定する必要がある。
 
もしウイルスの状況が悪化して経済が大幅に減速し、それに伴って完全雇用への移行が進むようなことがあれば、2022年に対するFRBの予想は間違ったものになるだろう。したがって、困難なことではあるが新型コロナウイルスの影響を経済見通しから外すことはできない。少なくともその意味では、2022年の始まりは一年前からあまり進歩していない。一年後の2023年の年明けには状況が変わっていてほしいと願うばかりだ。
 
 
 
 
 
 

 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

 

 

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