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ESG投資への批判に対する4つの反論

                                                                                                                                                                     

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ダン・ロアティ
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
サステナブル・グローバル・テーマ株式運用 最高投資責任者
 
 
 
  
 

2022年3月28日

 
 
環境・社会・ガバナンス(ESG)を重視したサステナブル投資の劇的な拡大を受け、投資家の間では懐疑的な声も上がっている。メディアでも、「ESGバブル」に対する警告や、サステナブル投資の効果への疑問などが見受けられる。アライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)はこうした否定的な見方の多くは的外れだと考えている。
 
サステナブル投資ファンドは急増している。モーニングスターによると、同社のグローバル・サステナブル・ファンド・ユニバースの運用資産残高は2021年12月31日時点で2.75兆米ドルに達し、新型コロナウイルス・パンデミック以前の3倍近くに膨らんでいる。2021年10-12月期には、全ファンドへの資金の純流入額が6%減少したにもかかわらず、同ユニバースには1,420億米ドルの純流入があり、これは7-9月期から12%の増加となっている。資産運用会社は急増する需要への対応に奔走する一方で、サステナブル投資以外のファンドへの資金流入鈍化への対処も迫られている。サステナブル投資ファンドは、2021年10-12月期だけで新たに266本がローンチされ、合計で5,932本という驚くべき水準に達した。
 
こうした急激な成長に対する監視の目も強まっている。金融メディアに最近掲載された記事には、ESG投資はバブルであり、うまく機能しないと論じているものも多い。投資家のためにはもっと高い透明性が必要で、一部のファンドがその期待に応えていないことは確かだが、ABでは、サステナブル投資自体に関する多くの批判はミスリーディングであると考えている。ここで、よく聞かれる4つの批判について考えてみたい。
 

【批判1】すべてのESGファンドが同じような目的を掲げている

事実ではない。批判的な記事や研究の多くは、すべてのESGファンドが同じ目的を持ち、同じようなプロセスに従っているという誤った認識に基づいている。実際には、パッシブ運用からアクティブ運用、分散型戦略から単一テーマ型の戦略まで、幅広いアプローチが用いられている。社会に好ましい影響を与える「良い企業」のみに投資するファンドもあれば、積極的なエンゲージメントを通じて前向きな変化を促すために「悪い企業」をターゲットとするファンドもある。また、ESGに関する配慮をリスク軽減という単一の目標と一体化しているファンドもあれば、長期的な観点から魅力的な成長機会の追求を目指すファンドもある。ESG投資は一律のアプローチを採っているわけではなく、すべての戦略を一くくりにすることは間違っている。 
 

【批判2】ESG投資はバブルである

ここ数年のESGファンドへの大量の資金流入は、バブルを生み出し、破裂しようとしているのだろうか?データがそうした見方を裏付けているとは思えない。サステナブル(及び非サステナブル)銘柄の一部はバリュエーションが過大な水準に達しているが、それらはESG銘柄全体のごく一部に過ぎない。国際連合の持続可能な開発目標(SDGs)に沿った2,000以上の銘柄で構成するABのグローバル株式ユニバースの中で、株価予想収益率(予想PER: 次年度の予想利益に基づく株価バリュエーション)が50倍を超えているのはわずか7%で、また22%の銘柄は10倍未満にとどまっている。バリュエーションのバブルをどう定義したとしても、ESG投資全般をバブルと呼ぶのは言い過ぎだと思われる。ウォールストリート・ジャーナル紙は最近、「人気のあるMSCI USA ESGリーダーズ指数は、2021年末時点の予想PERが市場全体を代表する指数を約6%上回った」と記しているが、これは少し割高であるとは言えるかもしれないものの、いかなる定義を以ってしてもESG投資がバブルだと言うほどのものではなかろう。
 

【批判3】最近のアンダーパフォーマンスは、ESG投資が機能していないことを裏付けている

2020年に起きたコロナ禍による最初の下落局面とは異なり、2022年1月の下落時には大半のESG戦略がパフォーマンス低迷を免れ得なかった。モーニングスターがサステナブルと定義したグローバル・ファンドのグループは9%以上下落し、より幅広い市場ベンチマークを約4.5%アンダーパフォームした。しかし、これをもってESG投資の継続的な有効性に関し懸念するのは見当違いだと思われる。最近のアンダーパフォーマンスは、投資スタイル別のリターンが変化したことが主因で、ESGを重視していることが理由ではない。BARRAなどのリスク分析モデルで見ると、多くのサステナブル投資ポートフォリオは、グロースとクオリティのファクターに傾いており、1月はこれらのファクターがアンダーパフォームした。ABのリサーチによると、1月のバリュー株への急激なシフトの大きさは、月次ベースの百分位でみると1978年以降のすべての期間の99分位相当だった。サステナブル戦略に限らず、あらゆる投資アプローチは、非常に短い期間に焦点を当てればその有効性について誤った理解が生じ得る。
 

【批判4】ESG投資が現実世界の変化を促すことはない

最近のいくつかの記事は、多くのESG戦略がやっているように「良い企業」に資本を配分して「悪い企業」を排除しても、実際のビジネス上の意思決定に影響を与えるほど資本コストが変化することはないため、ESG投資は失敗すると結論づけている。ABも、現在入手可能なデータが不完全であり、株式などの流通市場における資本配分はせいぜい間接的な影響しかもたらさないことには同意する。だが、すべてのESG戦略がインパクト戦略であるわけではない。インパクト戦略であっても、資本コストを変えることは通常、戦略の中心的な課題ではない。
 
経営陣とのエンゲージメントを通じて影響力を行使することは、変化を促す有効な手段となる。実際、ヘッジファンドのエンジン・ナンバーワンが2021年にエクソンモービルにおける議決権行使の戦いに勝利した結果、気候変動対策を重視する3人の取締役が新たに任命された。議決権行使助言会社グラス・ルイスによると、米国企業における環境関連議案に対する株主の支持率は2021年上半期には42%に達し、前年の31%から大幅に上昇した。社会的議案に対する支持率は3%ポイント上昇して31%となった。投資家は社会的課題にますます注目し、影響力を行使するため声を上げており、企業もそれに応えている。フォーチュン100社のうち、57%の企業が2021年の株主総会に向けて温室効果ガス排出量の削減目標を公表しており、その割合は2020年の35%から上昇した。従業員のダイバーシティに関する目標を公表した企業の比率も10%から23%に高まった。
 

規制当局が透明性向上の取り組みを後押し

もちろん、サステナブル投資ブームにリスクがないわけではない。規制当局は、明確な定義や報告基準がないままESG資産が急増していることに懸念を表明している。投資プロセスや投資目的を偽って顧客に伝える「グリーンウォッシング」は、現実的なリスクである。
 
欧州連合(EU)では、「タクソノミー」規制によってどのような事業活動や投資ポートフォリオが「環境的にサステナブル」であるかについて、単一かつ明確な定義を提供することを目指している。これは最も重要な規制の一つであり、顧客がポートフォリオの持続可能性についてより明確に理解するのを手助けすることを目的としている。同じような取り組みは、米国、英国、アジアでも進められている。最近では、原子力や天然ガスなどのプロジェクトが持続可能なエネルギー源に含まれることが賛否両論を呼ぶなど、規制は決して完璧ではない。しかし、ABは、サステナブル投資に関する透明性や説明責任を改善する取り組みを歓迎している。
 
サステナブル投資は、新型コロナウイルス・パンデミックのさなかに注目度が高まった真のニーズに取り組んでいるため、大きな人気を集めている。コロナ禍を経て、投資家は健康、経済、社会、気候などに関する危機に通底する問題を考えるようになった。その結果、民間セクターが社会に与える影響の大きさや、これらの危機に対処する際に企業が直面するリスクや機会に注目が集まった。
 
投資家は、ESG要因が企業にとって財務的に重要であることを認識し、何らかの形でESGを考慮していることを明示する戦略を好む姿勢を明確に示している。一部の評論家が指摘するように、社会を変える責任を政府だけに委ねることは間違いであり、大きな機会損失を生むことを市場は教えている。ESGに関する目標や運用リターンの目標を達成する能力を真に示すことができるポートフォリオは、サステナブル投資に否定的な見方をはねのけ、投資家の信頼を獲得することができるだろう。
 
 
 
 
 
 
 
 
当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版は こちら。

 

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当資料は、2022年3月1日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。当資料に掲載されている予測、見通し、見解のいずれも実現される保証はありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。当資料中の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。アライアンス・バーンスタイン及びABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。
 
 
 

 

 

 

 

 

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