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SFDRを読み解く~第8条と第9条のポートフォリオに何を求めるか~

                                                                                                                                                                     

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ミシェル・ダンスタン(写真)
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
チーフ・レスポンシビリティ・オフィサー 兼
グローバルESGインプルーバー戦略 シニア・インベストメント・アドバイザー
 
 
 
  
アメリア・セクストン
アライアンス・バーンスタイン・リミテッド
グローバル・ビジネス・デベロップメント ESGプロダクト・スペシャリスト
 
 
 
  
 

2022年4月27日

 
 
 
欧州の投資家は、ポートフォリオの環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する信頼性を確認するために新たに策定された規則を理解することに苦しんでいる。規制のガイドラインが曖昧なため、資産運用会社は、自社の商品がサステナブル投資の分類にどう適合するかを示す明確なフレームワークを提示しなくてはならない。
 
欧州連合(EU)のサステナブルファイナンス開示規則(SFDR)は、投資ポートフォリオを第8条または第9条の商品に分類することで、それらのESGに関する透明性の改善を目指している。しかしながら、第8条と第9条の定義は非常に広範にわたっている。2023年1月にSFDRのレベル2要件が発効すれば、企業はポートフォリオがこれらのカテゴリーに合致していることを詳細に説明する必要が生じる。開示内容を読み解くためには、投資家は3つの問題に焦点を当てる必要がある。それらは、ESGリサーチがどのように投資プロセスに組み込まれているか、発行体とどんなエンゲージメント活動が行われているか、ポートフォリオを分類する上で明確な手法が取り入れられているかどうか、といった点である。
 

全体像を把握するには統合されたESGリサーチが必要

SFDRでは、第8条に分類されたポートフォリオについて、「投資先の企業が良好なガバナンス慣行に従っている場合は、環境、社会的特性、またはそれらの特性の組み合わせ」を促進する必要があると定めている。しかし、それは実際に何を意味するのだろうか?
 
投資家が企業の行動や潜在的なリスク/リターンを評価するためには、ESGに関する問題を、単に議決権を行使するだけでなく、また、ESG専門チームで精査するだけでなく、企業価値算定の責任を持つアナリストによるファンダメンタル・リサーチに組み入れなくてはならないとアライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)では考える。企業のビジネスや財務に焦点を当てているファンダメンタル・アナリストは、非財務情報を含むESGの問題が企業の将来にどんな影響を及ぼし、企業が好ましい変化を推進するためにどう進化しているか(またはしていないか)について、財務情報に落とし込む上で、最も適切にESGに関する問題を判断することができる。
 
企業は気候変動がもたらすどんな脅威に直面しているのだろうか?または企業が気候変動及び生態系にどんな影響を及ぼしているだろうか?企業文化、ビジネスモデルは、社会的な問題を解決するようなイノベーションや、環境保護、経済的な成長を後押ししているだろうか?取締役会の構成は、本業執行を監視するのにもっとも適した構成になっているか?企業に精通したアナリストは、ESG等において適切な質問を投げかけ、企業価値向上に資する意義ある議論を経営陣と行っているかが重要である。
 
いくつかの運用会社は、外部機関のESG格付けを用いて企業を評価している。だが、それらは全体像を捉えていない可能性がある。ESG格付けは「解」ではない。格付けは多くの場合、企業が良い方向に変化しているかどうかではなく、企業の過去の行動を反映している。格付けを投資家にとって役立つものにするには、情報に裏付けされた人間の判断や解釈を取り入れた「フォーワードルッキング」なESG分析が必要となる。
 
第8条のポートフォリオを評価する際には、企業を評価する上で主に外部機関のデータに依存しているかどうかを確認しなくてはならない。アナリストがESGの問題に取り組むためのトレーニングを受けているかどうかも確認する必要がある。さらに、どのようにESGリサーチを分析しているか運用チームに説明を求めることが重要である。
 

企業価値の分析だけでなく、影響力を及ぼすエンゲージメント

企業の報告書を用いてESG問題を分析することは困難である。厄介な問題について企業と直接議論すれば、ビジネスが適切に行われているかどうかを判断する一助となる。
 
また、エンゲージメントは影響力を駆使する強力なツールにもなる。公開市場で株式や債券を購入しても、特定のプロジェクトに資金を提供する投資家とは異なり、企業の財務に直接的な影響を与えることはできない。しかし、アクティブ運用マネジャーは、パッシブ運用マネジャーと違い、企業価値の算定に責任を持つアナリストを有しているため、アナリストを通じて企業価値への影響力を行使し、顧客、従業員、地域社会などのステークホルダーに利益をもたらす改善を経営陣に促し、いちオーナーとして株主のリターンを向上させようと努力することができる。
 
投資家はESGの問題についてますます声を上げるようになり、企業もそれに応えている。例えば、グラス・ルイスのリポートによると、環境問題に関する米国企業の提案に対する株主の支持率は2021年上半期に平均42%に達し、前年同期の31%から急上昇した。また、フォーチュン100社の約57%が2021年の株主総会で温室効果ガス排出量の削減目標を示し、その割合は2020年の35%から大幅に上昇した。
 
第8条のポートフォリオを評価する際には、ESG問題に真にコミットしていることを示すサインとして、エンゲージメント慣行を検証しなくてはならない。強力なエンゲージメント戦略を持つポートフォリオ運用チームは、企業の行動を形作る上で重要な役割を果たすとともに、ESGリサーチの優位性からより優れたリターンが期待できる 。
 

一貫性のある手法がパフォーマンスの向上に寄与

ABの見方では、第8条と第9条に分類されたポートフォリオは、正式な手法で裏打ちされた一貫性のある反復的な手順を用いて、投資プロセス全体を通じてESG問題を積極的に統合しなくてはならない。ポートフォリオ・マネジャーやアナリストは企業価値を評価する際、まず企業のビジネスにとって、どのESG課題が重要であるかマテリアリティを特定して経営陣と共有する必要がある。そして、関連するリスクや機会を特定及び評価し、投資に関する意思決定プロセスに組み入れなくてはならない。また、ESG専門家とビジネスに精通したアナリストとがパートナーシップを組めば、両者の専門知識から得られる知見により、信頼度が高いサステナブルなポジションを強化することが可能になる。
 
リサーチやエンゲージメント活動を記録することも重要である。ABは第8条と第9条のポートフォリオについて、リサーチの分析力向上や企業への行動促進を目指した、戦略的で積極的なエンゲージメント及び投票行動を記録している。ABは、企業、そのステークホルダー、ABの顧客にとって、ポジティブで持続可能な財務的成果を支える長期的な視野で意思決定を行うよう企業の経営陣に働きかけている。ABのポートフォリオ・チームは2021年に、炭素排出、従業員の健康や安全、役員報酬などを含む数十項目に上るESG関連トピックについて、1,091社と合計1,566回のエンゲージメントを行った。
 
テクノロジーも独自の評価を促進するのに役立つ。ABのリサーチ及びコラボレーションのツールであるESIGHTを使用することで、アナリストはESGに関するリサーチ・ノート、独自のスコア、社内の他のアナリストや運用チームのエンゲージメント情報、外部機関から提供されたデータなどにアクセスできる。債券ツールであるPRISMは、アナリストによるESG関連リサーチやスコアを記録し、ESIGHTと同期している。これらのシステムは、ポートフォリオが第8条の分類基準を満たしているかどうか評価するための定量的な証拠を提供している。
 
SFDRによると、第9条のポートフォリオは「持続可能な投資を目的」としなくてはならない。しかし、持続可能な投資目的を定義及び追求する方法は数多くあり、資産運用会社は第9条の基準をどのように満たしているか明示する必要がある。ABは、国際連合の持続可能な開発目標(SGDs)の達成に貢献する、またはパリ協定に沿った発行体に投資することが、堅実なサステナブル戦略だと考えている。サステナブルなアジェンダを明示したポートフォリオも、目標を達成するため、第8条のポートフォリオと同様にESGの統合に向けて規律あるアプローチを採用しなくてはならない。
 
どんな資産クラスでも、第8条や第9条のポートフォリオでは、ESGに関するリサーチを投資先選択プロセスに組み込むことが成功のカギになるとABでは考えている。経営陣とのエンゲージメントでは、ビジネスモデルをESGの観点からマテリアリティの特定、解決に向けた取り組み、結果の検証なども議論する必要もある。したがって、単にスチュワードシップ専門チームによるエンゲージメント及び議決権行使の実施、ESG専門部隊によるESG評価だけでは十分ではないといえる。ESGを投資プロセスに組み入れるESGの統合、ESGを投資判断に活かすために定量化して評価するスコアリング化、投資先の企業価値向上を目指すファンド・マネジャーや企業価値算定に責任を持つアナリストによる経営陣とのエンゲージメントは、SFDRの下で第8条と第9条のポートフォリオを分類する上で中心的な役割を果たす。規制を満たし、投資家の期待に応えられるESGに焦点を当てたポートフォリオを構築するための近道はない。
 
 
 
 
EUサステナブルファイナンス開示規則(SFDR)に基づく分類は、EU規則2019/2088に従い、また、その目的に沿って行われ、潜在投資家の投資ニーズのためにポートフォリオの適合性に関する包括的な情報の提供を意図したものではない。
 
 
 
 
 
 

 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

 

 

本文中の見解はリサーチ、投資助言、売買推奨ではなく、必ずしもアライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)ポートフォリオ運用チームの見解とは限りません。本文中で言及した資産クラスに関する過去の実績や分析は将来の成果等を示唆・保証するものではありません。 
 
当資料は、2022年3月15日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。当資料に掲載されている予測、見通し、見解のいずれも実現される保証はありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。当資料中の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。アライアンス・バーンスタイン及びABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。
 

 

 

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